『大垣尚司・残間里江子の大人ファンクラブ』    水道が安全な場所は、どこですか?

『大垣尚司・残間里江子の大人ファンクラブ』    水道が安全な場所は、どこですか?

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情報番組「大垣尚司・残間里江子の大人ファンクラブ」では、残間里江子さん(フリープロデューサー)と、大垣尚司さん(青山学院大学教授、移住・住みかえ支援機構代表理事)が、お金や住まいの話を中心に、大人世代のあれこれを語ります。

この連載は、番組内の人気コーナー「おとなライフ・アカデミー2024」の内容をもとに大垣さんが執筆した、WEB限定コラム。ラジオと合わせて、読んで得する家とお金の豆知識をお楽しみください。

★メールまとめ
能登半島地震で水道が大きな被害を受けたのにショックを受けています。関東近郊は大丈夫?

★メール本文
能登半島地震に関連して、日本中の水道管がかなりヤバいという話が出ています。地震は仕方ないにしても、水が出ないとか、下水が流れないというのは、本当に困りますよね。
関東近辺で、水道が一番安心なのは、どのへんなのでしょう。

(渋谷区 裏金マニア さん(51歳))

上下水道はほとんど「寿命」
前にもお話ししましたが、日本の上下水道を整備したころから50年ぐらい経ってるので、ほとんど寿命なんです。直さないといけないんですけど、これも前からずーっと言われていて。それで、必要なインフラを全部直すのに300兆を超えるぐらいのお金がかかると言われてます。これって、やっぱりアメリカで1980年代ぐらいに…「America in ruins(荒廃するアメリカ)」って言う政府の本が出て、それがまさにその話なんです。アメリカって日本よりだいぶ早いじゃないですか、そういうのが。それでもう、その頃からちょっとヤバくなってきていたんですね。

災害そのものより水道被害が問題
2005年にルイジアナがハリケーン・カトリーナに襲われて大変なことになったときも、やっぱり直接の影響より、老朽化しているインフラのほうが問題だった、みたいな話になっていて、古い下水の管とか上水の管とか…鉄管(昔は、塩ビじゃなくて鉄管だった)が腐ってくるわけです。ところどころ、モグラがボコボコ出るみたいに土から水が吹き出したり。

どこに整備のお金を回すのか
問題なのは、全部入れ替えればいいんだったらはっきりしてるんですけど、結局、人が住まなくなると水道代が入らないんですね。水道代って、上水を使った分ぐらいは下水も流れるだろうってことで…下水は基本的に公共団体の責任で、上は公的な企業。もちろん、お金が入ってこないと整備できないんです。だから人が住まなくなるところを再整備しても、元が取れない。そうすると、水道を直すかっていう議論になると、どこを残すかっていう議論と重なってくる。それと、後はもうやたらと法律がグジャグジャいっぱいあって、直せないっていうことみたいなんです。

自治体は地味にがんばっているようだが
昔、その民営化の仕事に関わってたことがあって、そのときから大変だったんです。でも、最近ほとんど誰も話題にしなくなったけど、地味にがんばっていらっしゃるようです。ただ、金額を見てると、やっぱりこれは大変だろうなっていうぐらい少ない…。外側から老朽化している箇所がわかるといった技術開発もいろいろあって、取り組みが進んではいるようです。最近全然話題にならなくなりましたけど、去年「地域インフラ群再生戦略マネジメントが第2フェイズに入った」とかいって盛り上がってるみたいです。でも、全然新聞にも載らないですよね。災害が起きないとみんななかなかリアルには感じないんですね。

水がないのは本当に大変
先日来ていただいた「限界分譲地」のお話でも、下水を地域だけでやってると、誰もやらなくなって住めなくなるとか…。だから、これからは戦略的に見ていく必要があります。
というのは、お金がもう…財政が全然ないから、なんともならない可能性もあるかもしれません。いまだに水が出ない被災地は大変だと思います。水がないって本当に大変なことなんです。関東近辺ということになると「限界分譲地」も入ってきます。これからは「どのあたりに人が残るのか」も考えないといけない時代なのかもしれません。探してみたら、値段の高いところばっかりかもしれませんが…。

今日は「水道が大丈夫な場所」について考えてみました。
メールをお寄せいただき、ありがとうございます。

大垣尚司 プロフィール
青山学院大学 法学部教授、一般社団法人 移住・住みかえ支援機構代表理事。

第一線で培った金融知識をもとに、住宅資産の有効活用を研究・探究する、家とお金のエキスパート。

東京大学卒業後、日本興業銀行、アクサ生命保険専務執行役員、日本住宅ローン社長、立命館大学大学院教授などを経て、現在、青山学院大学法学部教授。
2006年に「有限責任中間法人移住・住みかえ支援機構」(現、一般社団法人 移住・住みかえ支援機構)の代表理事に就任。
日本モーゲージバンカー協議会代表理事を兼務。著書に『ストラクチャードファイナンス入門』『金融と法』『49歳からのお金ー住宅・保険をキャッシュに換える』『建築女子が聞く 住まいの金融と税制』など。

家とお金に関するご質問、お待ちしてます
番組では、家とお金にまつわるメールやご質問をお待ちしています。
宛先は、otona@joqr.netまで。

※この記事で掲載されている情報は全て、執筆時における情報を元にご紹介しています。必ず最新の情報をご確認ください

お知らせ
パーソナリティの一人である大垣尚司さんが代表理事を務める一般社団法人「移住・住みかえ支援機構」(JTI)では、賃貸制度「マイホーム借上げ制度」を運用しています。

住まなくなった皆さまの家をJTIが借り上げて、賃貸として運用。
入居者がいない空室時でも、毎月賃料を受け取ることができます。
JTIは非営利の公的機関であり、運営には国の基金が設定されています。

賃料の査定や、ご相談は無料。資格を持ったスタッフが対応いたします。

制度についての詳しい情報は、移住・住みかえ支援機構のサイトをご覧ください。

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