『大垣尚司・残間里江子の大人ファンクラブ』    「マイホーム・ブルー」って知ってますか?

『大垣尚司・残間里江子の大人ファンクラブ』    「マイホーム・ブルー」って知ってますか?

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情報番組「大垣尚司・残間里江子の大人ファンクラブ」では、残間里江子さん(フリープロデューサー)と、大垣尚司さん(青山学院大学教授、移住・住みかえ支援機構代表理事)が、お金や住まいの話を中心に、大人世代のあれこれを語ります。

この連載は、番組内の人気コーナー「おとなライフ・アカデミー2024」の内容をもとに大垣さんが執筆した、WEB限定コラム。ラジオと合わせて、読んで得する家とお金の豆知識をお楽しみください。

★メールまとめ
家を買ったばかりの娘が、やたらと機嫌悪く、八つ当たりしてきます。「マイホーム・ブルー」ではないかと思いますが、どうすればいい?

★メール本文
35歳になった娘が、その夫と一緒に、家を買いました。
うれしいだろうと思ってたら、その直後から気分が落ち込んで元に戻らず、イライラも激しくなって、実家の私たちにも八つ当たりしてくることが多いんです。
どうやら「マイホームブルー」という現象らしいとわかりましたが、どうすれば真人間に戻ってくれるでしょう。

(町田市 コバちゃん さん(63歳))

ブルーの原因は「ローンを抱えること」
マイホーム・ブルーっていう言葉知ってました? マタニティ・ブルーとかマリッジ・ブルーとかはよく知られていますけど。ネットで調べてみるといっぱい出てくるので、割と一般的な言葉みたいですね。いろいろなサイトを見ると、最大の原因は「ローンを抱えちゃって、気分がブルーになってしまう」のが大きいみたいです。確かによく言うんですよね、結婚と家を買うのは似てるって。勢いでこう、いっちゃうじゃないですか。

ローンは勢いで借りてしまうが
家を買うときって、まず間取りとか、設備とかの話をしますよね。ローンの話は置いておいて。そうすると夢があるし、どんどん盛り上がるのはいいんだけど、勢いでローンを借りちゃうわけです。ところが現実には…でっかい会社に勤めていらっしゃると、家賃補助は出るけど、家を買っちゃった人には補助がなかったり、すごく減っちゃったりとかというケースが多いんですね。でも返済額は増えます。そうするとやっぱり、お小遣いも減るしね。
この場合、もう買っちゃってるから、戻るわけにもいかない。ただお金のことだから、少し慣れてくるとなんとなく、大丈夫になるのかもしれません。

育児のブルーが合わさることも。
もう一つ、家を買う方って、ほとんど小学校に行く前くらいのお子さんがいらっしゃるんです。そうすると、小学校上がるときにいろいろグジャグジャあったり、そういう育児系のブルーも考えられます。それから家を買っちゃって、二人目をどうしようかってなったりして。そっちもあるんじゃないかな。二人目を産むなら早い方が…と思っても、ローンのことを考えると…とか。上の子どもにはどんどん手がかかるし、お金がかかるようになるけど、家のローンの支払いにも追われて…とか。

銀行は「とにかく貸したい」
ペアローンっていって、二人がそれぞれローンを組むと一人で借りるより余計に借りられる仕組みがあります。夫婦それぞれが700万くらいの収入があると、1億ぐらい借りられる。でも、不動産の値段がこれだけとんでもない水準になってるいま、そうやって多額を貸してしまうのって、大きな問題だと思います。銀行って本当はできるだけ貸さないというか、危ない人には貸さないっていう話にしてるのに、最近はできるだけたくさん借りさせよう、みたいな話ばっかりで。
いま一番ヤバいのが、ローンの期間を5年延ばす、10年延ばす…となってること。でもこれ、もう当たり前になっちゃってるんですよ。

住宅ローンに生涯縛られないために
35歳で借りたってことは、いちばん短い借り入れでも70歳まで続きます。しかも東京、町田で借りたっていうことは、75か80歳まで続く可能性が高いと思います。そうするともう、ローンにずっと縛られる…
住宅ローンはなかなかなくならないものなので、それで私は 残価設定型住宅ローンを作りました。できるだけどんな家でも使えるように、いまがんばっているところです。

家を買うのは悪いことではない
娘さんは、暗い側面ばかり考えるのではなく、やはり「家を手に入れることで、暮らしが充実していること」を考えるといいと思います。家もかわいそうですからね。
それから、お母さんはあんまりグズグズ言わないほうがいいと思います。これはウツに近いものだと思うので、励ましたりとかしないで「そうかい、そうかい」って聞いてあげるのが一番いいと思います。八つ当たりだと思わずに、グチをただただ聞いてあげてください。

今日は「住宅ローンとマイホーム・ブルー」について考えてみました。
メールをお寄せいただき、ありがとうございます。

大垣尚司 プロフィール
青山学院大学 法学部教授、一般社団法人 移住・住みかえ支援機構代表理事。

第一線で培った金融知識をもとに、住宅資産の有効活用を研究・探究する、家とお金のエキスパート。

東京大学卒業後、日本興業銀行、アクサ生命保険専務執行役員、日本住宅ローン社長、立命館大学大学院教授などを経て、現在、青山学院大学法学部教授。
2006年に「有限責任中間法人移住・住みかえ支援機構」(現、一般社団法人 移住・住みかえ支援機構)の代表理事に就任。
日本モーゲージバンカー協議会代表理事を兼務。著書に『ストラクチャードファイナンス入門』『金融と法』『49歳からのお金ー住宅・保険をキャッシュに換える』『建築女子が聞く 住まいの金融と税制』など。

家とお金に関するご質問、お待ちしてます
番組では、家とお金にまつわるメールやご質問をお待ちしています。
宛先は、otona@joqr.netまで。

※この記事で掲載されている情報は全て、執筆時における情報を元にご紹介しています。必ず最新の情報をご確認ください

お知らせ
パーソナリティの一人である大垣尚司さんが代表理事を務める一般社団法人「移住・住みかえ支援機構」(JTI)では、賃貸制度「マイホーム借上げ制度」を運用しています。

住まなくなった皆さまの家をJTIが借り上げて、賃貸として運用。
入居者がいない空室時でも、毎月賃料を受け取ることができます。
JTIは非営利の公的機関であり、運営には国の基金が設定されています。

賃料の査定や、ご相談は無料。資格を持ったスタッフが対応いたします。

制度についての詳しい情報は、移住・住みかえ支援機構のサイトをご覧ください。

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