【9月2日ワンダーユーマン】9月のおすすめ映画 シネマログ

【9月2日ワンダーユーマン】9月のおすすめ映画 シネマログ

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今月のシネマログ」ではパーソナリティ上地由真ら3人がその月に公開される
新作映画の中からそれぞれの推薦作品を紹介しています。

9月2日放送分では映画ソムリエ・東沙友美さんが、人生を終えた人間が最後にモノになって大切な人の近くで過ごす人々の姿を描き出した「とりつくしま」を推薦。映画評論家・荒木久文さんは、1979年の傑作「エイリアン」の“その後”を舞台にエイリアンの恐怖に遭遇した若者たちの運命を描くSFサバイバルスリラー「エイリアン ロムルス」を解説を挟みつつシリーズ屈指の傑作と激賞。由真さんはリチャード・リンクレイター監督と「トップガン マーヴェリック」のグレン・パウエルがタッグを組み、警察への捜査協力のため偽の殺し屋を演じていた男が殺しを依頼してきた女性と恋に落ちたことから運命を狂わせていく様を描いたクライムコメディ「ヒットマン」を今月のおすすめ作品として紹介しています。

上地    上地由真のワンダーユーマン!今週もよろしくお願いします。
今日は月に一度の映画をフューチャーする回、題して「今月のシネマログ」。
映画ソムリエの「さゆみん」こと東紗友美さん、そして映画評論家の荒木久文さんとお届けしていきます。よろしくお願いします。

荒木・東  よろしくお願いします。

上地    9月公開の映画の中から、私、上地由真とさゆみん、そして荒木さんの三人が「これはおすすめ!」と思った作品をご紹介していきます。まずはさゆみんからお願いします。

東     私がご紹介するのは、9月6日から公開の『とりつくしま』です。
あらすじです。
「この世に未練はありませんか?あるなら、なにかモノになって戻ることができますよ。」・・人生が終わってしまった人々の前に現れる“とりつくしま係”が亡くなった人にこんなふうに尋ねるところから始まります。
そうして夫のお気に入りのマグカップになることにした奥さん、大好きな青いジャングルジムになった男の子。孫にあげたカメラになったおばあさん、ピッチャーの息子を見守るため、野球の試合で使うロージングバッグになった母。・・・この4人がどうやって人生の本当の最後にモノとなって、大切な人のそばでどういうふうに時間を過ごすか映し出す、4つの物語になっています。
この作品、長編デビュー作『ほとぼりメルトサウンズ』という映画で注目を集めた東かほりさんが監督・脚本を手がけ、自身のお母さんでもある作家の東直子さんの小説「とりつくしま」を映画化した作品です。
なんかこの時点でもう、素敵な親子関係ですしお母さまのことを、深く理解している娘さんが映画化したっていうのがまたいいなあと思いながら観ていたんですけども。もう観ていると死後の世界で“とりつくしま係”に何にとりつきたいか聞かれたら、自分だったら何にとりつきたいかなってずっと考えながら4つの物語を私は観ておりました。
私はこの映画を大絶賛で応援しているんですけど、良かったなって思ったのが、4つの物語それぞれの伝えてくれるメッセージが絶妙に違うなと思っていて。ひとつひとつのお話がシンプルなんですけど、温かい気持ちになるものもあれば寂しくもなったり、短いお話でもそれぞれとても心が動かされるようなお話になっていました。
例えば、夫のお気に入りのマグカップになることにした奥さんを描いた「トリケラトプス」では、もう誰かの代わりにはなれないってことを教えてくれましたし、「レンズ」っていう孫にあげたカメラになった祖母の物語では、もう一度この世界をカメラの視点になって旅することで、々の木漏れ陽とか、ベンチから眺める何気ない景色や誰かの笑顔など、こうやって何気なく過ごしている日常がきらめきに溢れているっていうことを教えてくれる作品だったり。あとはね・・・私、この作品が一番グッときたんですけど。息子の野球の試合を見守るために、最後の最後に消耗品のロージンになったお母さんの物語では、息子の未来を信じているからこそ潔く去っていけるお母さんの強さを描かれた作品で、モノによってとりつく期間とか違うんですけど、全然違う過ごし方をしていて、どれもが人生って素敵なものなんだし、誰も誰かの代わりになれない人生を送っている、ってわかるような作品でグッときたんですけど。この映画、白くって、映画ライターさんと話していてみんな刺さる作品が違うし、みんなとりつきたいと思うモノが違ったんですけど。荒木さんと由真さん、どれが刺さりましたか?


「とりつくしま」 9月6日公開 (C) ENBUゼミナール

上地    刺さったというか、私がすごく切なくて泣いたのが、青いジャングルジムになった男の子。お母さんが来るシーンとかはもう切なくてグッときちゃいました。

東     そうですよね。

上地    あとはあの、自分だったら何になるかなって考えた時はロージン、お母さんがなったロージンのように消耗品。ずっとあるものだとちょっと近くにいるのにしゃべれないし、話せないっていうのがなんか見ているのが辛いなって思ったから。ロージンみたいにさっと潔く消えるやつのほうが私はいいなあって。
自分だったら、っていうふうに思いましたね。

東     なるほど~。荒木さんはどうです?

荒木    今、由真さんがおっしゃったロージンというのは、ピッチャーが投げる時に使う滑り止めのロージンバックのことで松脂の粉末ですね。

東     私もこの前初めて知りました。

荒木    僕も息子の野球大会でロージンの粉になって見ているお母さんがとても胸に刺さりましたね。「死んだ者、去る者は日々に疎し」というんですけど、残っていたいという気持ちと、それからやっぱりこのままでいちゃいけないという、そういう自然な流れ、ロージン、というか消耗品ですよね。例えば私だったら固形の石鹼とかね。

上地・東  ああ~!

荒木    これだとほら、いつもそばに・・・

東     触ってもらえるしね。たしかに!

荒木    触ってもらえるし、なくなるじゃん。

東     なんかいろいろそういう身近なモノへの愛着とかも変わるような作品になっていましたよね。

上地    モノに魂宿るとかって言いますもんね。

荒木    そうですね。あとね、生と死を見つめた作品ですよね。生きる者と死んだ人の関係。そういった死者と生者を繋ぐモノとか関係を描いたものっていうのはね、どうしても自分や、それから今いなくなった人たちに対しての思い出もあるから、自分のものとして捉えられますよね、特にね、『とりつくしま』っていうタイトルも面白いですよね。
こんな使い方しないですからね。「とりつくしまがない」まで使う言葉ですけども。
そういった面白さとか、やっぱり若い監督で将来性も期待できる監督の描写だといろんな面で思いました。楽しみな監督ですよね。

東     はい。もうね、死者の未練だけを描くのではなくて、その魂がちゃんと解放されている様子まで描かれているので、とても素敵な気持ちで劇場を後にすることができると思います。私、東紗友美がご紹介したのは、9月6日から公開の『とりつくしま』でした。

上地    続いては映画評論家・荒木さんのおすすめ作品です。

荒木    ずばり今年一番のSFホラーと言い切ります。
とにかく怖いし気持ち悪いし面白い。思い出すとね、まだハラハラドキドキが止まりません!『エイリアン:ロムルス』9月6日公開の作品です。
お二人ともまだ観てないですよね?

上地    観てないんです。

荒木    本題に入る前に映画シリーズの『エイリアン』についてちょっと知っておいてもらいたいんですけども。由真さん、一般に「エイリアン」っていうと、意味はわかりますよね?

上地    「エイリアン」意味わかる。なんか気持ち悪い・・・(笑)

荒木    そうそう。まあ正確にいうと「エイリアン」という言葉はもともと異邦人とか外国人という意味だったんですけど。

上地    地球外生命体?

荒木    そう。生命体でしかも友好的じゃない。侵略的で攻撃的なものを「エイリアン」といつの間にか言うことになったんですね。それまでは悪い宇宙人とか地球外生物とか、言ってきていたんですけど。当然のことながらこれからご紹介する映画『エイリアン』シリーズが生んだ言葉なんですよ。
社会的に大きな影響を与えた『エイリアン』シリーズがどういうものかっていうことをちょっとね、東さんに紹介してもらいましょう。

東     いやいや・・・(笑)私ね、この『エイリアン:ロムルス』まだ観られていないんですけど、必ず観る予定です。
まず『エイリアン』シリーズ1作目は今から45年前、1979年公開です。タイトルも『エイリアン』当時、ほぼ新人監督だったリドリー・スコット監督の作品です。主演はシガニー・ウィーバー。宇宙船が着陸した惑星でクルーの1人が襲われ、体にエイリアンの卵が産みつけられていて・・・というストーリーです。世界中を驚かせ怖がらせ大ヒットしてSFホラーの金字塔という評価が与えられました
そしてシリーズ2作目は1986年『エイリアン2』。前の出来事から57年後 ヒロインのシガニー・ウィーバーは再びあの星に赴きエイリアンクイーンと戦う、というものでした。そして1992年の『エイリアン3』に続いて、1998年の『エイリアン4』といずれもシガニー・ウィーバーがエイリアンたちとの激しい死闘を繰り広げました。
さらに『エイリアン4』から14年後、2012年の新作『プロメテウス』を挟んで、2017年には『エイリアン:コヴェナント』が公開されます。他にも『エイリアンVSプレデター』などを含める8本を超える大人気シリーズになっているんですよね『エイリアン:ロムルス』


9月6日(金)全国劇場にて
(c)2024 20th Century Studios. All Rights Reserved

 

荒木    そうですね。東さんは全部観ているようですけれども、由真さんはどれか観ていますか?

上地    う~ん・・・あんまり観ていないですね。

東     逆に貴重!『エイリアン』に触れていないの、なんか。

上地    うん、たぶん怖かったんでしょうね。

荒木    そうでしょうね。ということでね、これまでのシリーズや予備知識がなくても楽しめるし、よく知っている人は思わずニヤリとする場面もね、たくさん用意されています。
新作『エイリアン:ロムルス』。舞台設定は東さんが説明してくれた1作目と2作目の間に位置する時代ですね。
ストーリーです。2142年頃、今から120年後の世界。地球から遠く離れた宇宙で、人生の行き場を失った6人の若者たちが生きる希望を求めて別の星に渡る途中に足を踏み入れたのが、この「ロムルス」という廃棄された宇宙ステーションだったんですね。

東     あ、宇宙ステーションの名前ですね。

荒木    はい。彼らを待っていたのはあの恐怖と絶望をもたらすエイリアンだったんですね。宇宙最強にして宇宙で最も怖いと言われる、このエイリアン。彼らは全滅から免れるのか、それとも・・・というお話です。
今回主人公のレイン役にはケイリー・スピーニーです。ケイリー・スピーニーちゃんってわかりますかね?前にも観ていただいたかもしれませんが・・・

東     『プリシラ』の・・・はい、わかりました!

荒木    プレスリーの奥さんになった、小柄でとっても可愛らしい・・・今回は恐怖で顔が引きつっていたので可愛いと思いませんでしたけどね・・・
この「エイリアン」シリーズの第1作目の監督がリドリー・スコットという人でした。
今回はね、プロデューサーをやっています。監督はですね、フェデ・アルバレスという人なんですが、この人については後で説明しますけれど、『エイリアン』シリーズは今まで映画そのものはもちろん映画史を彩ってきたのです。たくさんの映画監督を生み出してきました。

東     この『エイリアン』シリーズは比較的若手監督を起用していて、その後飛躍している人ばかりなのが特長です。リドリー・スコット監督はイギリス出身の現在86才。出世作1982年の『ブレードランナー』多くのファンを獲得しました。以降『ブラック・レイン』『テルマ&ルイーズ』そして『グラディエーター』が第73回アカデミー賞作品賞を受賞しました。『ブラックホーク・ダウン』さらに『羊たちの沈黙』の続編『ハンニバル』誘拐事件を描いた『ゲティ家の身代金』彼は「サー」の称号をもつ大監督なんですよね。そして2作目の監督はあのジェームズ・キャメロンです。脚本も書いた『エイリアン2』で大成功しました。のちに『ターミネーター』シリーズが大ヒット、そしてなんといっても『タイタニック』で巨匠になりました。その後も『アバター』シリーズの桁外れのヒット、世界で最も成功したと言っていい監督の1人です。『エイリアン』シリーズ、生み出しまくっていますね。
そして3作目はのちに『セブン』や『ファイト・クラブ』『ベンジャミン・バトン 数奇な人生』などのヒット作を連発したデビッド・フィンチャー。すごすぎる!そして4作目、なんとあの『アメリ』の監督。これ、意外なキャスティングって話題になったんですけど、『アメリ』の監督が『エイリアン』ですよ?ジャン=ピエール・ジュネでした。今思うと『アメリ』の監督が『エイリアン』?みたいに思うんですけど、ナイスキャスティングだったんですけど。こんな感じで今言った4人の監督だけで、もう大変なことになっているじゃないですか。

荒木    今回はね、フェデ・アルバレスという人が監督です。2016年ですけれども、盲目の老人宅に強盗に入った若者たちを描いた『ドント・プリーズ』、恐怖の(笑)。これを作った監督です。鬼才と言われる監督ですよね。今回の『エイリアン:ロムルス』はですね、本当に怖くて恐ろしいというのが本音です。光と影のコントラストがすごい。陰に潜む、闇に潜むエイリアンの一部だけを見せてテクニック的には、怖さを募らせる、なんていう・・・。私たちもね、宇宙ステーションのロムルスに閉じ込められて追い詰められている・・そんな感じです。さらに気持ち悪さも一番です。

上地・東  うわあ~。

荒木    ドロドロのね、ローションみたいなエイリアンのよだれが顔の近くを通るんですよ。

東     体液っていうか、光っているあれですよね。

荒木    そうそうそう。エイリアンのフォルム、私はもう何十回も見ているんですけど、やっぱり気持ち悪いですよね。とにかくね、SFホラーとしての究極のサバイバルスリラーと言ってもいいと思いますよ。

東     必ず観に行きます。

上地    楽しみ~。

荒木    ハラハラドキドキでね。人間ね、ハラハラドキドキしないとね、もうね、人生の損ですよ。何回ハラハラドキドキできるかっていうことで・・・

上地    刺激を受けないとね。

東     怖いって思うのって、生きているっていう実感ありますもんね。

荒木    実感ありますよ。そう、だから私はときどき競輪場なんかでハラハラドキドキしていますよ。

東     そのため、かい!(笑)

荒木    最近はモラハラだとかセクハラだとか言われてハラハラドキドキしますけども・・・

東     (笑)

上地    生きているね~。

荒木    うん。とにかくこの映画でね、本当にハラハラドキドキ、怖いっていうね、人間の根本的な感情を起こさせる映画ですので、ぜひ観てください。
『エイリアン:ロムルス』9月6日公開です。

 

 

上地    トリは私、上地由真のおすすめ作品です。
私がご紹介するのは、9月13日から公開の『ヒットマン』です。あらすじを紹介します。偽りの殺し屋として警察のおとり捜査に協力していた実在の人物を基にしたストーリーで、主人公・ゲイリー役を『トップガン マーヴェリック』で人気になったグレン・パウエルが演じています。
2匹の猫と静かに暮らすゲイリー・ジョンソンは、大学で心理学と哲学を教える一方、ささやかな刺激を求めて地元警察に技術スタッフとして協力していました。そんなある日、おとり捜査で殺し役となるはずの警官が職務停止となり、ゲイリーが急遽代役を務めることになります。戸惑いながらも見事に役をこなしたゲイリーはいろいろな人格になりきるという自分の新たな才能に目覚め、殺し屋という設定でおとり捜査官として活躍し始めます。様々な事件で犯人逮捕に協力して評判を上げていたある日、マディソンという女性が男の殺害を依頼してきます。支配的な夫との生活に傷つき追い詰められた様子の彼女にゲイリーは「僕に払う金で人生を新しくやり直せ」と諭し、彼女を帰してしまいます。
この日の出会いからお互い惹かれ、恋に落ちたふたり。ゲイリーは殺し屋として彼女と付き合い始めますが、マディソンの夫が何者かに殺害され、疑惑の目が彼女に向けられて・・・というお話です。
これがね、もういろんな人になりきって、おとり捜査するという実在の人がいたっていうのが本当にこの作品を観て驚いたんですけども。
あと主演のグレン・パウエルのいろんな役。本当に堪能できたな、っていう。
一作品でいろんなグレン・パウエルを見られて、ちょっと得した気分になったというか。

東     由真さん、タイプですか、グレン・パウエルは?

上地    すっごいかっこよかったです。

東     かっこいいですよね。今ね日本でもね、出演すごいですよ。『恋するプリテンダー』にはじまり、夏にはワーナー配給のディザスタームービーの『ツイスターズ』ですとか、今 最もハリウッドで忙しい俳優の1人とされていてそんな彼が今回脚本もやっているから、自分の良さをわかっているなと思いながら観ていたんですけど。

上地    特に私は“彼女”の前に現れた時のあの・・・かっこよかったですね~、グレン・パウエルが。

荒木    たくさん映画に出ていますよね。もうしょっちゅう、なんか見ている感じがします。マンションの管理人さんじゃないかと思うぐらい顔を見てます。

東     こんな管理人さんいる?(笑)

上地    こんな管理人さんいたらもう、すぐ引っ越すわ!(笑)

 


『ヒットマン』
9月13日(金)新宿ピカデリーほか全国ロードショー
© 2023 ALL THE HITS, LLC ALL RIGHTS RESERVED

東     本当、でもそんなグレン・パウエルの七変化がいちいち面白い作品になっていましたよね。なんかロマンス要素と殺し屋のおとり捜査っていうことでスリリング。
このどっちも十分に満足させてくれるクライムコメディっていうのかな、そういうジャンルになっていたのかなと思っていて。私も非常に楽しく観たんですけど。荒木さん、どう?

荒木    はい、注目したのは監督ですよね。あのリンクレイター監督。

東     意外なんですよね~、これが。

荒木    意外でしたよね。このリンクレイターっていう人、なんといっても有名なのは2014年の『6才のボクが大人になるまで。』という、テキサスの6才の少年が6才から18才までになるまでの、本人と成長と家族の軌跡を実際に12年かけて撮影した作品です。

東     撮り続けて?

荒木    そう、すごいドラマですよ。ドキュメンタリーじゃないんだよ。
少年・主人公を演じるエラー・コルトレーンをはじめ、母親役、父親役、それからお姉ちゃん役も全部、12年間同じ役を演じ続けて作った作品なんですよ。12年間よくスタッフも頑張りましたよね。それでアカデミー賞でいろいろノミネートされたりしています。とにかく異彩を放っていると言ったらいいのかな、他の監督より。
こういったインディペンデント映画とハリウッドでも両方できる監督なんですよ。
だいたいがインディペンデントからハリウッドに行っちゃうんですけど、ハリウッドからまた戻ってインディペンデントを作ったり、とか行き来している印象がありますよね。
そういう意味では本当に有能な監督なので。今回の作品傾向はどうですか。ちょっと意外でしたよね。

東     なんか私、そこをすごく荒木さんにお聞きしたかったんですけど。
「リンクレイター」って言っただけでも映画ファンを獲得できるような名前の監督だと思うし、先ほど言ったロングタームっていうイメージが強いんですけど。今回の映画にリンクレイターらしさみたいなものって、荒木さん的には感じましたか?私はやっぱりラストの方の展開であんまり言えないんですけど、ちゃんと時間の経過でどうなっていくかって描くとところ、これリンクレイターの映画だな、なんて思っていたんですけど。荒木さんはいかがですか。

荒木    そういう意味でいうと、基本的にはリンクレイターがグレン・パウエルのために捧げた映画かなという感じですよね。
原作をグレン・パウエルが持ってきて、脚本を一緒に書いてやったので、グレン・パウエルを立てて彼が輝くように作ってやっている。今回はあんまりリンクレイターは自分の主張を出さないかな~、っていうような気はしますけどね。

東     まあグレン・パウエルがプロデューサーと脚本をやっているっていうところでも・・・

荒木    10才の頃から2人は仲良しなんですって。

上地・東  えっ・・・!そうなんですか?

荒木    うん。

上地    よく知っている人なんですね。

荒木    だからそういうこともあって、バックアップしてあげようという気持ちで作ったところもあるんじゃないかなと思います。

東     本当にね、殺し屋と言えど、毎回ビジュアルがね、依頼人に合わせて変わるのがすごく面白かったですよね。

上地    面白かった。

東     衣装もね、約40種類の変装をね、衣装チームが考えて「この依頼人だったら、この殺し屋タイプでいこう」こんな殺し屋のタイプ、ちょっと荒っぽい人だったり、真面目なスーツのエリートっぽい殺し屋だったり、いろいろいてね、これが実際の話から着想を得たといったら相当・・・

上地    すごいですよね。ていうか、こんな殺しの依頼って多いんだ?!って思いましたね(笑)

東     そう!たしかに~(笑)衝撃!だってあのひとつの州というかエリアの話だと思うんですけど・・・

荒木    そうですね。実際本当に70人以上逮捕したって、モデルになったゲイリー・ジョンソンは書いていますからね。あとほら、いろんな格好をするとやっぱりグレン・パウエル自身もそう思ってやっているんでしょうけど、気分が違いますよね。こういろんな格好で別の人になりきる。

東     服装とかアクセサリーまで変えていますからね。

荒木    そう。だからお二人とも浴衣を着た姿、写真を見せていただきましたけれども、まるで別人のようでした。

上地・東  あら~!

上地    いつもより色気出ていました?

荒木    ん・・・・・はい。

上地    あははは!

東     なんだか元気なくなっちゃって(笑)

上地    やっぱね、衣装とか形から入るとか言いますもんね。

荒木    変わるんだよね~。気分が。それとやっぱり自分が持っているセルフイメージと他人が持っているものは違うから。 他人のイメージを受け入れたり、逆もあるので。時々そういうことをやるとね・・・まあ役者さんはみんなやってらっしゃることだからだけど、他の人はなかなかできないから。たまに思い切ってイメージを変える、髪形を変える。で、みんながどういうふうに思うか、というのも楽しみですよね。

上地    そうですよね。

荒木    なかなかできないけどね。

東     一周回って見せたい自分のあり方を考える映画でもありますね。

荒木    ああ、そうそう。そういうことになりますね。

上地    そうですね。私がご紹介したのは9月13日から公開の『ヒットマン』でした。9月公開の映画作品の中から、それぞれの推しをご紹介しました。ぜひ映画館でチェックしてください。映画評論家の荒木久文さん、映画ソムリエの東紗友美さん、ありがとうございました。

荒木・東  ありがとうございました。

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上地由真のワンダーユーマン

上地由真のワンダーユーマン

月 21:30~22:00

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上地由真がメインパーソナリティを務め、アシスタントとして文化放送・山田弥希寿アナウンサーが進行役を務めます。 番組では毎週テーマを設け、“由真的”テイストで進…

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