人種や肌の色を理由に職務質問……レイシャルプロファイリング問題について考える

鈴木敏夫（文化放送解説委員）「今日、泉谷さんにお話いただくテーマは“レイシャルプロファイリング”ということなんですけれども、ハフポストで継続して特集をされてますが、人種・肌の色・国籍などを理由に相手を選ぶ職務質問、あるいは取り調べをレイシャルプロファイリングと呼ばれていて、国連の人種差別撤廃委員会が防止のためのガイドライン策定などを勧告するなど、いま国際的な問題になっているということなんですよね」

長野智子「日本でも結構ニュースになってますよね」

泉谷由梨子「そうなんです。発端は2021年、あるツイッター(現X＝エックス)の動画が拡散されたんですけども、東京駅の構内でバハマと東京にルーツがある、いわゆるミックスルーツ(ハーフ)の男性が職務質問を受ける様子を自分で動画撮影していて、それを上げてバズったというのが最初に皆さんが目にした事態なんですね。で、(職務質問をした)警察官が何て言ったかっていうと『ドレッドヘアーの人は私の経験上、薬物を持っている人が多いんで職務質問しましたよ』というふうにその男性に言っているんですよね。この人(ミックスルーツの男性)は国籍が日本で横浜育ち。『こっちを見ていたようだったんで声かけました』ということも同時に警察官は言っているんですけども、30分くらい引き止められて所持品を検査されたと。この人はなんで動画を撮っていたかというと、この5ヶ月間で3回も職質を受けていたそうです。私は日本人らしい見た目なんですけども、こういう人はあんまり(職質を)受けない。一方で、これって特権であるということを、こういった取材から感じさせられるんですよね。東京弁護士会も調査していて、日本在住の外国人対象のアンケートで、3年以内に職務質問を受けたという人は63人、3年で10回以上受けている人っていうのも8人いたんですね」

鈴木「そうなんですね」

長野「ドレッドヘアーって、だって普通にブラックルーツの方々の文化なんですよね？」

泉谷「はい。単におしゃれな髪型じゃないんですね。黒人のカルチャーであり、人種に基づいた髪型なので、こういった『ドレッドヘアーの人だから薬物持ってんだろ？』みたいなものはやっぱり人種差別と言わざるを得ない。そういった捜査が常態化しているということを今回問題として取り上げています」

長野「レイシャルプロファイリングって、無意識に警察官の人がやってしまうっていうことだと思うんですけども、何か特徴的なことってあるんですか？」

泉谷「現役の警察官の方とかOBの方とかにも取材していたり、この問題は2021年から大きくなっていて、国会で取り上げられたりしているんですけども、実は愛知県警で2009年に作成されていた内部文書っていうのが国会で取り上げられたことがあって、(内部文書の中では)寧ろ外国人への職務質問を推奨しているんですね。“心構え”っていうのがあって『外国人は旅券を見せないだけで逮捕できます。外国人は入管法・薬物・銃刀法なんでもあり。応援求め追求、所持品検査を徹底しよう』っていうチラシを現役の警察官に出していたという問題があります。実際にOBの警察官に取材したものもあるんですけども、外国人を職務質問すれば実績を上げやすいっていうのが内部では常識になっていると」

鈴木「なんでなんですかね？」

泉谷「それはですね、オーバーステイ(不法滞在)の問題があるので。オーバーステイは外国人っぽい人たちに声をかければ他の人をあたるよりも確率として非常に捕まえやすいと。数打てば当たるという考え方が警察では常識だというふうに(警察官OBの方は)言ってます。そして、このベースにあるものは職務質問とか検挙の件数というのが、どこの都道府県警でも実質的にノルマ化していて、たくさん(成果を)上げた警察官のほうが給料が高いとか、こういった人事評価にも紐づいている。なので『数字が足りないのでオーバーステイ狙いで今週は外国人あたっていこうぜ』みたいな号令がかけられることがあるそうです」

「長野智子アップデート」は毎週月曜～金曜の午後3時30分～5時、文化放送
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