「日本の高齢者は働く意欲が強い」 定年引上げが業績に与える影響を考える
8月20日の「おはよう寺ちゃん」(文化放送)では、火曜コメンテーターで上武大学教授の田中秀臣氏と番組パーソナリティーの寺島尚正アナウンサーが、高齢者の雇用について意見を交わした。
高齢者の再雇用も若い世代の働く機会も、経済が安定的に成長しないと全部不可能
2024年の経済財政白書は日本の高齢者について「国際的にみても健康で、長く働きたいという意欲も強い」と分析した。働き手の拡大が続けば60歳以上の就業者は2040年に今の1.4倍となる2031万人に増えるとも試算した。
高齢者は企業にとって貴重な労働の担い手となっている。これまでの知識や経験を生かし、指導者としての役割が期待されている人も多い。
定年後の再雇用では賃金が大きく減ることが多かったが、近年は低下幅が縮小する傾向もみられる。
(寺島アナ)「労働力としての高齢者層。田中さん、これはどう捉えてらっしゃいますか?」
(田中氏)「こういった形で労働力が確保されることは少子化の対応としても非常に良い形だと思います。そういったものが実現するには経済成長が安定的に毎年一定の率で続くことが重要だと思います」
(寺島アナ)「定年そのものを延長する企業もあります。定年延長で給与が下がらなければ、そのままずっと居られるのも魅力の一つですよね?」
(田中氏)「そうですよね。僕なんかも60代になっちゃいましたけど、高齢者って言われても……。実際の定義は65歳以上ですけど、あと2~3年で高齢者って言われても戸惑いがあるくらい気分が若い人多いですよね? そう考えると、まだまだ働ける高齢者を使った方が絶対に良いに決まっていますからね」
(寺島アナ)「田中さんそうだし、私もそうですし……」
(田中氏)「そう考えると“定年の在り方”も選択制にするっていうのも一つの案かと思います。極端な形ですが、退職金を放棄する代わりに定年が無くなり、働ける限りはずっと働くという形にするのも良いんじゃないかと思います」
経済財政白書は定年引上げが経営指標に与える影響も検証した。結果、人件費率に上昇傾向が見られた。収益率については、統計的に優位な差はなかった。
経済財政白書は定年引上げの有無が業績に与える影響は小さかった、と結論付けた。その背景には高齢者の追加的な雇用で人件費率は相対的に高まったが、生産性の改善などの企業努力によって、収益への悪影響を抑えている可能性があると指摘した。
(寺島アナ)「若い世代の働く機会が奪われる。という懸念も指摘されますが、田中さんこの辺りはどう考えればいいんですかね?」
(田中氏)「若い世代の働く機会って、今は若い世代が働けるように就職戦線とか色んな工夫をしていますから、要は高齢者の再雇用も若い世代の働く機会もそうですが、経済が安定的に成長していかないと全部不可能なわけですよ。“生産性を向上させる努力が各企業に目立ったから人件費が増えてもどうってことない”って言いますけど、これも景気が良くなれば生産性って増えるんですよ」
〈出典〉
働く高齢者、40年に1.4倍 処遇改善の動きも | 日本経済新聞 (https://www.nikkei.com/)
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