南海トラフ地震臨時情報(巨大地震注意)に伴う呼びかけは15日に終了!今後は?
文化放送と全国32局の制作協力で、月曜から金曜の午後5時からお送りしている「ニュースパレード」
その日に起こった最新の話題を中心に、幅広い分野にわたってニュースを紹介しています。
8月15日17時、南海トラフ地震臨時情報(巨大地震注意)の発表に伴う政府としての「特別な注意の呼びかけ」は終了しました。
今後も巨大地震発生の可能性がなくなったわけではないので、「日頃からの地震への備え」を続けてほしいということです。
例えば、津波による浸水や強い揺れが想定される地域に住んでいる人は、すぐに逃げられるよう服を着たまま眠り、枕元に靴やヘルメットを置くとか、非常持出袋を常に持ち歩くなどの防災対応についての呼びかけは終了。
でも、普段からの備え、家具の固定や避難場所避難経路の確認、水や食糧の備蓄、家族との連絡手段の確認などは続けてくださいということです。
南海トラフ地震臨時情報が発表されたのは2019年に運用が始まってから初めて。
毎年のように気象庁で記者向けに南海トラフ地震関連の勉強会が開かれていましたが、現実に起こってみないとわからない部分も多くありました。
8月8日16時43分頃、宮崎県日南市で最大震度6弱の地震が発生。
(↓ 17時45分からの記者会見で説明する気象庁・青木重樹地震津波対策企画官)
震源域が南海トラフ地震の想定震源域内の日向灘だったことから、17時30分から南海トラフ巨大地震・評価検討会が開かれました。
そして19時15分に気象庁は、震源域が想定震源域内で、モーメントマグニチュードが7.0だったことから「南海トラフ地震臨時情報(巨大地震注意)」を発表しました。
※モーメントマグニチュードは、震源断層のずれの規模を精査して得られるマグニチュード
(↓ 記者会見で説明する評価検討会長 平田直(ひらた・なおし)東京大学名誉教授と気象庁地震火山部 束田進也(つかだ・しんや)地震火山技術調査課長)
政府は防災対策の推進地域29都府県の707市町村に対して、地震発生から1週間、8月15日(木)17時まで、日頃からの地震への備えや、揺れを感じたら直ちに避難できる体制を取るよう呼びかけました。
(↓ 気象庁HPより 緑色に塗られた地域が防災対応を取るべき地域 赤線で囲まれた領域は南海トラフ巨大地震の想定震源域)
1週間以内に新しい巨大地震が発生する可能性は、数百回に1回程度。
平常では30年以内に70~80%の確率ですが、これを1週間以内に直すと1000回に1回程度。
これに比べるとリスクは数倍高くなっています。
もし、モーメントマグニチュード8.0以上の地震が起こり「巨大地震警戒」となった場合、10回に1回程度とさらに可能性は高くなります。
南海トラフ巨大地震は、およそ90年から150年に1回程度起きています。
最期に起きたのが昭和の東南海・南海地震(1944年・1946年)、それからおよそ80年が経過しています。
南海トラフ巨大地震が明日起きてもおかしくはありません。
(↓ 気象庁作成資料より)
8日からの1週間、高知県黒潮町では高齢者等避難の情報を出し避難所を開設。
お盆休みの最中ですが、和歌山県白浜町などは海水浴場を閉鎖、花火大会中止、鉄道にも運休や徐行運転で遅れが出るなど様々な影響がありました。
内閣府は、15日の記者会見で、南海トラフ地震臨時情報の認知度が30%と低かった点にも触れ、今回自治体や住民がどう対応したのかをまとめ、浮かび上がった課題なども検証した上であらためて周知をはかると述べました。
評価検討会会長の平田先生は、7月に文化放送の番組「防災アワー」に出演された際
「地震は予知できない。日本は残念ながら地震・火山・風水害などの自然災害が非常に多い国。そこで生き延びるためには、自分の住んでいる地域の自然と環境をきちんと理解することが大切。耐震化が難しければ、家具の固定、寝室の家具の配置を変える、水・食料の備蓄などできることから始めてほしい」
と話していました。
地震への備えは続けていきたいものです。
気象予報士 防災士 気象庁担当記者 伊藤佳子