『大垣尚司・残間里江子の大人ファンクラブ』　　　　子どもの学費、奨学金？教育ローン？

★メールまとめ
大学に入った子どもの学費。親が教育ローンを借りるのと、子どもに貸与型奨学金を借りさせるのと、どっちがいい？

★メール本文

娘が私立大学に入学します。
それはめでたいのですが、めでたくないのが学費です。
学資保険でまかなえるのは、前半２年分くらいで、
後半2年分の400万円ほどをどうするか、頭が痛い。
給付型奨学金はハードルが高そうで、
利子のつく奨学金を借りてもらうか、
あるいは私が「教育ローン」とやらを借りるか、
いま考えられるのがそのどちらかなのですが、
正直、どちらがお勧めでしょう。

（八王子市　びんぼうな父　さん（52歳））

意外に奨学金は受けやすい
奨学金といいますけど、だいたい借金ですよね。でも給付型が増えています。昔は返さなくてもいい、くれっぱなしの給付型はなかったんです。ただ推薦状が必要なものが多いんですね。私、この季節、推薦状を…書くのが大変で、そんなに深く知ってない人だから。それをチャッチャッチャッと聞いて、それっぽく書くんですけど、案外もらえるんです。だから給付型にトライされてはいかがでしょう。ハードル高そうとか、そもそも考えない方も多いようです。まあ当たらないかもと思っても…数打ちゃ当たるということもあります。私もそうですけど、先生は意外とあまり頼まれるわけでもないので、皆さんきちんと推薦状書いてくれます。やってごらんになると、案外当たったりするかもしれないです。

子どもにお金を意識させるのが大切
傾向としてはっきり言えるのは、そうやって言ってくる子はやっぱりしっかりしているので、…勉強ができる、できないとかとは別に、大学で何かちょっとやらないと…という感じが強い子が多いように思います。一番よくないのは親が教育ローンを借りてなんとかしてやると、目の前をお金がまったく通らなくなってしまいます。昔はそれでよかったのかもしれないけど、今はたぶん意識させた方が子どもにいいんじゃないかと。奨学金は返しやすくはなっていますし、利息も低い。親はどうせ保証人になるわけなので。

奨学金を親が返してもいい
奨学金借りた以上はお前が返すんだ、っていうふうにはあまり思わないで、教育ローン借りたつもりで親がさっさと返してあげるのもいいと思います。「借金」として考えれば、利息などは教育ローンより奨学金のほうが有利なので。それでお子さんに「俺に返せ」ってやってあげればいいわけで。いずれ親が子どもの世話になる可能性だってあるわけだし…。

奨学金は自分への投資
昔は親がちょっと年収があるだけで奨学金なんか受けられなかった。私なんか父親がいなかったのでもらえてもよさそうなのに、結局もらえなくて…。えらいソンした気がしたんですけど。今はそんなこと全然ないんです。私が学校の先生として思うのは、お金を意識させた方が…やっぱり自己投資、自分に対する投資なので、その投資っていう感じを持たせてあげるっていう意味で、「貧乏な父さん」が、俺は貧乏なんで頼むよ、って言ってあげるのも、子どものためという気がします。

今日は「奨学金と教育ローン」について考えてみました。
メールをお寄せいただき、ありがとうございます。

大垣尚司　プロフィール
青山学院大学　法学部教授、一般社団法人　移住・住みかえ支援機構代表理事。

第一線で培った金融知識をもとに、住宅資産の有効活用を研究・探究する、家とお金のエキスパート。

東京大学卒業後、日本興業銀行、アクサ生命保険専務執行役員、日本住宅ローン社長、立命館大学大学院教授などを経て、現在、青山学院大学法学部教授。
2006年に「有限責任中間法人移住・住みかえ支援機構」（現、一般社団法人 移住･住みかえ支援機構）の代表理事に就任。
日本モーゲージバンカー協議会代表理事を兼務。著書に『ストラクチャードファイナンス入門』『金融と法』『49歳からのお金ー住宅・保険をキャッシュに換える』『建築女子が聞く 住まいの金融と税制』など。

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