近藤真彦が語る「オトナの流儀」。16歳で始めて44年、ラジオは「好きなものが詰まった『遊び場』」

近藤真彦が語る「オトナの流儀」。16歳で始めて44年、ラジオは「好きなものが詰まった『遊び場』」

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歌手デビューから44年、レーシングドライバーとして40年。今年7月には還暦のバースデーに武道館ライブを開催するなど、今なお精力的な活動を続ける近藤真彦さん

文化放送では『近藤真彦 RADIO GARAGE』のパーソナリティを務めているほか、「オトナのホンネ キャンペーン」アンバサダーに就任しました。

ラジオについて、そして近藤さん流の「オトナ像」について、お話をうかがいました。

※こちらは文化放送のフリーマガジン「フクミミ」2024年8&9月号に掲載されたインタビューです。

目次

  1. スタジオの机が「伝言板」に
  2. 好きなものが詰まった「遊び場」
  3. 伊集院静氏との思い出から語る「オトナ像」
  4. 「オンオフ」の切り替えができるオトナを目指して

スタジオの机が「伝言板」に

─ 近藤さんのラジオ出演といえば、文化放送『マッチとデート』(1980年10月放送開始)がスタート地点になります。当時は文化放送が四谷にあった頃ですよね。

近藤 あの頃の四谷のスタジオって、机が落書きだらけだったんですよ(笑)。机の表面にフェルトっぽい布が張ってあって、そこに出演者が落書きをするようになったんだけど、途中から伝言板みたいな使い方をするようになって。たとえば僕だったら、(野村)義男さんが次に収録するときに読んでもらえるように「義男さん、ごはん食べに行こうね」と書いたり。デビューしたばかりの新人だと楽曲名を書く人も多かったですね。

─ 番組が始まったのは16歳のときですが、ラジオで喋ることは難しくなかったですか?

近藤 もう40年以上ラジオをやってきたから今はいろいろ分かってきたけど、当時は何にも分かってなかったですね。ただ、一つだけ当時のディレクターに教わったことがあって。「このマイクの向こう側で、一人の女の子が部屋で僕の話を聴いてくれている」ということだけは意識していました。だから、上手く話そうなんて思わずに、ラジオの前にいる人に話しかけるように心がけていました。それだけは今でも覚えています。

好きなものが詰まった「遊び場」

─ それから44年が経って、今なお文化放送への出演を続けています。現在の番組『近藤真彦 RADIO GARAGE』やラジオというメディアは近藤さんにとってどんな場所なのでしょうか?

近藤 『RADIO GARAGE』もそうですけど僕が文化放送でこれまで担当させてもらった番組を振り返ってみると、若い頃の番組は、僕を応援してくれているファンの皆さんとコミュニケーションをとる窓口のような場所でした。その後は、ファン以外の人たちも聴いてくれることが年々増えてきている気がします。特にこの『RADIO GARAGE』は、その名の通りテーマが「ガレージ」なわけで。ガレージの中にあるのは車だけじゃなくて、ゴルフバッグや釣り道具もあれば、水槽を置いて熱帯魚を飼っている人もいますよね。

─ 好きなものがいろいろ集まる場所というか。

近藤 そうそう、好きなものが詰まった「遊び場」なんですよね。だから、ラジオって好きなものを語るのにピッタリな場所だと思います。特に文化放送って長年AMの放送を続けてきたわけですけど、無理にかっこつける必要もなく、肩肘張らない空気感で喋ることができる放送局ですよね。『RADIO GARAGE』も「あの番組、かっこいいね」と言われるよりも、「あの番組、すごく楽しいね」と言われる番組でありたいと思っています。

伊集院静氏との思い出から語る「オトナ像」

─ 番組とは別に、今回文化放送の「オトナのホンネ キャンペーン」アンバサダーに就任しました。まず、オファーが届いたときの心境を教えてください。

近藤 自分も大人を代表する一人に見られるようになったのかなと嬉しく思う部分もあり、お引き受けしました。ただ、今回のキャンペーンには他にもアンバサダーの方がいらっしゃいますけど、正統派の「オトナ」の方もいらっしゃれば、僕みたいにちょっとやんちゃなタイプの「オトナ」もいて(笑)、それぞれに役割があると感じています。だから、無理に大人っぽく振る舞うことなく、自然体で臨みたいと思っています。

─ 近藤さんが若い頃に憧れた「オトナ」はどんな方でしたか?

近藤 思い出すのは、作家の伊集院静さんですね。新人時代に「ギンギラギンにさりげなく」の作詞をお願いして以来、長年親しくさせていただいたので。伊集院さんはギャンブルが好きで、競馬を観戦するときは子供のような無邪気さで馬を応援する姿が印象的でした。その一方で、普段はお酒を嗜みながらじっくりと人生を語る姿が素敵でした。そんなふうに子供と大人の間を行き来するような振れ幅がある中で、真ん中に一本しっかりとした筋が通っている方でした。そんな「ぶれない生き方」をしている伊集院さんをそばで見ながら、「大人ってこういうことなのかな」と思った記憶があります。

─ 近藤さんのデビュー35周年シングルは伊集院さんが作詞を担当なさった曲で、タイトルが「大人の流儀」でした。

近藤 「大人の流儀」は伊集院さんの週刊誌連載のタイトルで、このタイトルで詞を書いていただきたいとオファーしました。絶対断られると思ったんですが、「いいよ。これで曲作ろうよ」って。歌詞には「大人なら楽な道を選ぶな」という、伊集院さんから僕へのメッセージが込められているような気がします。

「オンオフ」の切り替えができるオトナを目指して

─ 歌手としての活動の一方で、レース活動も1984年の初出場から40年が経ちます。ここまで長く続けてこられた秘訣はどこにあるのでしょうか?

近藤 最初はアマチュアとして年に1、2回レースに出るぐらいでした。そのとき、他のプロチームから「芸能人が遊びに来ている」という声が聞こえてきたんです。ここは僕の大人気ないところなんですけど、負けず嫌いの血が騒ぎまして(笑)。「俺は本気だよ」っていうところを見てほしくて、しばらくがんばっていたら、周りもだんだん「あいつ、結構真面目にやってるね」という反応に変わっていきました。今は、「近藤真彦が遊びでレースをやっている」と思っている人は、少なくともレース業界にはいませんね。

─ 還暦のバースデーに武道館ライブを開催するなど、ますます精力的な活動を続けている近藤さんから、同世代の方に向けてメッセージをお願いします。

近藤 お伝えしたいのは「思いっきり遊ぼうよ。思いっきり仕事しようよ」ということです。自分を振り返ってみると、オンとオフの切り替えができているから、いろんなジャンルの仕事を続けられている気がします。オンのときは、自分で自分を褒めてあげたいくらい集中するんです。コンサートの前なんかは、マネージャーからの他の仕事の話は一切受け付けません。その仕事が終われば、他の仕事のモードや、お酒を飲んでリラックスするモードに切り替わります。「思いっきり遊んで、思いっきり仕事をする」。そんなオトナを、一緒に目指していきたいですね。

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