『大垣尚司・残間里江子の大人ファンクラブ』 あなたも一緒に歌いませんか!?
情報番組「大垣尚司・残間里江子の大人ファンクラブ」では、残間里江子さん(フリープロデューサー)と、大垣尚司さん(青山学院大学教授、移住・住みかえ支援機構代表理事)が、お金や住まいの話を中心に、大人世代のあれこれを語ります。
この連載は、番組内の人気コーナー「おとなライフ・アカデミー2024」の内容をもとに大垣さんが執筆した、WEB限定コラム。ラジオと合わせて、読んで得する家とお金の豆知識をお楽しみください。
今回は特別編。大垣さんの歌の先生で、大垣さんが出演された演奏会の指揮も担当されているウーヴェ・ハイルマンさんをゲストにお迎えした、2月10日放送のダイジェストをご紹介します! 放送の後、4月19日には、みなとみらい大ホールで大垣さんも出演した「マタイ受難曲」のコンサートも行われました。
(ウーヴェ・ハイルマンさん プロフィール)
1960年9月7日生まれ。
ドイツ、ヘッセン州ダルムシュタットのご出身。
ヨーロッパを代表する名門、デトモルト音楽大学で学ばれ、
1981年に「魔笛」タミーの役でデビュー、
1985年にシュトゥットガルト国立歌劇場に入団。
・90年代にはメトロポリタン歌劇場、ミラノ・スカラ座等で活躍。
モーツァルト作品のテノールとしては第一人者に。
ソプラノ歌手の中村智子さんとご結婚後、1996年に来日。
沖縄県立芸術大学教授、鹿児島国際大学教授を歴任。
1996年のベルリン・フィル来日公演では「第九」ソリスト
2004年には日産スタジアムでのサッカー国際試合、
日本とドイツの試合でドイツ国家斉唱のご経験も!
現在は鹿児島とオーケストラで合唱団、
そしてオーケストラを結成、指揮者としても活躍中。
歌を始めたきっかけは…
残間 大垣さんは、どうして先生と知り合われたの?
大垣 家内がもう10年ぐらい前から、先生に師事していて…
残間 奥さんはプロだからわかるんだけど、あなたはなぜこれだけ偉大な先生のところに、ノコノコといったの?(笑)
大垣 2年ぐらい前、仕事もグジャグジャしていた時期があって。それでなんか気分転換があったほうがいいんじゃない、って、連れ出してくれたんです。
ハイルマン 奥さんが初めてコーラスに連れて来て、後ろをついてくるアヒルちゃんみたい(笑)。何もしゃべらなくて、静かにだまって、チュンチュンチュンチュンって来て。それが今ではアヒルちゃんから…白鳥になりました。すごいな。
先週はみなとみらいで、みんな東京芸大とか国立とか出た人ばかり35人が歌う独唱会をやりました。大垣先生はコーラスで、ちょこっとソロもやっています。
いまの目を見て…ほら、キラキラキラ、輝いてるじゃないですか。キラキラと。それで、10分のソロを歌いませんか? と聞いたら、(大垣先生は)「私…できますか?」とちょっと考えて「はい、がんばります!」って。
残間 10分も? 歌ったの?
大垣 一人の舞台で、10分のソロ。
残間 そんなこと言ってたっけ、私たちに?
鈴木 聞いてないです。
残間 1分ぐらいの話してたよ。
大垣 1分ぐらいのやつは、コーラスの中でのソロで、ちょっと前に出て歌うやつ。
ハイルマン やっぱり黙ってたね(笑)。初めてのときは怖い。人前で歌うのは難しい。どういう精神的なプロセスで…ピアニストやヴァイオリニストは楽器の後ろに隠れることができるでしょう。でも、歌は、まっすぐ、裸。人々の前に立ってる。全部見える。魂、心、歌い方。全部見せないといけない。どういう精神的なプロセスが必要か。ステージに歩いて出るときから、その人のキャラクターとか、よく見えるから。どう振舞うか、自信があるのか。どんな風にがんばるのか、とか。やっぱり全部見える。(大垣先生は)かなりがんばりました。でも初めてだから、自分のことわからない。演奏会のあとホメても、奥さんが「なんで私のほう見てるのか…」って言ってたからね(笑)。フランツ・シューベルトの「冬の旅」から難しい2曲を歌いました。素晴らしいです。
残間 初耳です。
ハイルマン 来年、ぜひ来てください。
2回の練習で、こんなに変わった人は初めて
大垣 いろいろ褒められ過ぎてますけど…。ラーニング・カーブがすごい高いわけ。40年ぐらい何も歌ったことがないでしょう。カラオケもあんまり行かないし。だから最初は荒っぽい…声を出して。すると声の出し方を教えてくださるんですが、カミさんには怒られました。「先生みたいな人に発声なんか習うもんじゃない」って(笑)。でも基礎から教えていただいて、全然声が変わっていくんです。普通は、今ぐらいからやったことないことを習っても、なかなか上達しないじゃないですか…。
残間 それは人によるし、先生によるのよ。
ハイルマン 先生と生徒のコンビネーションだと思いますね。日本で28年ぐらい先生をやっていて、400人ぐらいが大学院を卒業しました。大垣先生は一度に300人ぐらいを相手にすることがあるけれど、歌は生徒と先生、1対1。人間の歩き方と同じで、みんな全然違う。歩き方も、振舞いも、歌い方も、400人いれば400通り。考え方とか、イメージとか、見える角度とか、全然違うから。大垣先生を、今日はホメすぎかもしれないって言ってたけど、2回発声のレッスンをやっただけで、こんなに変わったのは、大人の生徒では初めて。私にとっても新しい勉強、経験になりました。歌には声以外にもいっぱい必要なことがあります。理解とか、感じること、何を考えているのかとか、自分の声とか、息とか、自分の中でどうコンビネーションするか、頭の中…だから、やっぱり大垣先生のレッスンをやっていたときは、声はかなりよかった。もちろんアマチュアですけどね。でも2回だけでこんなに変わるのは…最後はイメージ、あとは頭での理解。もちろん大垣先生は頭が元気な人だから(笑)。最後はそっちかもしれないですね。
残間 なるほどね~。
大垣 あとは音楽が好きだから。いまやっている曲でも、日本のコーラスの人たちがやっているのをよく聞くんです。そうすると、なんか「お勉強」みたいなんですね。楽しそうじゃない、やっぱり。マタイ受難曲なんかはもともと教会で歌うものなんだけど、それが日本のコーラスだと、もう最初にオーディションがあって、パート練習して、えらい厳しいみたいなんですよね、話を聞くと。ところがハイルマン先生のところはそういうのが全然ないんです。おそらく本場じゃこういう風に歌ってるんだなっていう…。
残間 ビデオを見せてもらったら、大垣さんが一人で、踊るように歌ってて。ホント楽しそうだったんで、びっくりしたの。
ハイルマン もちろん私にはいろいろなことが見えます。音楽的なことも。大垣先生はもともとえらい大学教授でしょう。
残間 それほどえらくないですけどね(笑)。
歌には人間のすべてが出る
ハイルマン でもやっぱり、公演のときは、純粋。Like a Child…ボーイソプラノみたいな。練習に来るときは少年のように、専門じゃないから。新しいものに触れる。そういう態度できてるから。純粋に「勉強したい」という気持ち。全然違う人たちもいるね。コーラスのアマチュアの中には「私は東京のえらい…」という人もいて。
残間 そう!?
ハイルマン いばってるの、すぐわかる。振舞いと、香りで、オーラで、匂いで、出る。その人の、それぞれのキャラクター。もちろん音楽の世界、歌の世界だけじゃなくて。私は昔、ヨーロッパやアメリカで仕事やってた。アバド、ショルティ、レヴァイン、チェリビダッケ。もっとかっこいい人たちだけど、もっと謙虚、心の中。これもコンビネーションですね。だから私は外国に来て楽しみに見ているんです。どういう日本人が来て、どれぐらい威張ってるか(笑)。
残間 それもよく見える。
ハイルマン 見えます。もちろん、歌うこと、音楽のこと、いちばん見える。歌うのは人間が出るから。いちばん人間的だから全部見える。目の中を見てもわかるとか。味が出るとか、オーラが、匂いが出るから。大垣先生は一生懸命で、いい生徒ですね(笑)。
大垣 ありがとうございます(笑)。
私の幸福を、音楽で分けていきたい
ハイルマン 最後に自分のことをちょっと話したい。昔、若いとき、日本に来る前は世界で歌っていました。メトロポリタン、スカラ座…大きなステージで歌いました。それから日本にきて、いま27年住んでいます。生徒がいっぱい卒業していって…いま、どうやって日本にお返しをしようかと考えました。
東京芸大や音大の大学院を出て、留学して日本に帰ってきた人たちがたくさんいます。みんな子どものころから人生をかけて、さんざん歌や楽器を練習してきたけれど、30歳、40歳で日本に帰って、子どもを教えている。もちろん子どもを教えるのは素敵なことだけど、本当はみんな演奏家になりたい。そのために私は大学の先生を辞めて、大人の音楽家たちのケアをしなければならないと思いました。
それで1年前に東京にハイルマン合唱団とオーケストラを作って、朝4時に起きて鹿児島から飛行機で飛んで、東京で今日も夕方から合唱団の練習です。年に2回、合唱団の演奏会をやって、これからオーケストラの演奏会もやります。その演奏会では、子どもを教えているフルート演奏家が、初めてオーケストラとソロをやります。ピアニストも初めてオーケストラとソロをやります。なかなかそういうチャンスはない。一番のトップのトップの人たちはそういうチャンスがあるけれど、ちょっと下の人たちは…。彼らも毎日、ものすごく頑張ってる。私はそういう人たちをケアするべきだと。私が昔もらった幸福を配らないといけない。だから、それはタダでやります。お金をとったら汚いと思うんです。
私は本当に理想主義で、彼らを助けたい。私の幸福を分けないといけないと思います。そのために東京に来て…鹿児島は鹿児島で、やっぱり東京と鹿児島は、理解の仕方などちょっと違うと感じています。東京で、今回はマタイ受難曲、そして7月には5人のソリストとオーケストラで演奏会をやって。死ぬまであと25年、私は指揮をやりたい。最後の25年、人生の4分の1に本当の意味がありました。そのために頑張ります。
ぜひぜひ、東京の人たち合唱団に参加してください。セミプロも、アマチュアも、初めて歌う85歳のお姉さんたちも、一緒に参加してください。300人の合唱団を作りましょう! 私は皆さんに幸せを配ることを約束します。音楽で。そういうことを夢見ています。ちょっと喋り過ぎましたが(笑)、これが私の夢です。
残間 なんか、涙が出そう…。
*ハイルマン合唱団は、東京で月に3回、レッスンを行っています。月謝5000円。もちろんハイルマンさんによる直接指導が受けられます!練習会場は武蔵小杉、荻久保、中目黒で18時半から21時まで。見学も随時受け付けています。詳しくは、「ハイルマン・クラッシックス」で検索できます。
*7月27日には神奈川県立音楽堂で「ハイルマン・オーケストラと5人のソリスト シンフォニーコンサート」が行われます。皆様ぜひお運びください!
大垣尚司 プロフィール
青山学院大学 法学部教授、一般社団法人 移住・住みかえ支援機構代表理事。
第一線で培った金融知識をもとに、住宅資産の有効活用を研究・探究する、家とお金のエキスパート。
東京大学卒業後、日本興業銀行、アクサ生命保険専務執行役員、日本住宅ローン社長、立命館大学大学院教授などを経て、現在、青山学院大学法学部教授。
2006年に「有限責任中間法人移住・住みかえ支援機構」(現、一般社団法人 移住・住みかえ支援機構)の代表理事に就任。
日本モーゲージバンカー協議会代表理事を兼務。著書に『ストラクチャードファイナンス入門』『金融と法』『49歳からのお金ー住宅・保険をキャッシュに換える』『建築女子が聞く 住まいの金融と税制』など。
家とお金に関するご質問、お待ちしてます
番組では、家とお金にまつわるメールやご質問をお待ちしています。
宛先は、otona@joqr.netまで。
※この記事で掲載されている情報は全て、執筆時における情報を元にご紹介しています。必ず最新の情報をご確認ください
お知らせ
パーソナリティの一人である大垣尚司さんが代表理事を務める一般社団法人「移住・住みかえ支援機構」(JTI)では、賃貸制度「マイホーム借上げ制度」を運用しています。
住まなくなった皆さまの家をJTIが借り上げて、賃貸として運用。
入居者がいない空室時でも、毎月賃料を受け取ることができます。
JTIは非営利の公的機関であり、運営には国の基金が設定されています。
賃料の査定や、ご相談は無料。資格を持ったスタッフが対応いたします。
制度についての詳しい情報は、移住・住みかえ支援機構のサイトをご覧ください。
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この記事の番組情報
大垣尚司・残間里江子の大人ファンクラブ
土 6:25~6:50
楽しいセカンドライフを送るためのご提案などがたっぷり! 金融・住宅のプロフェッショナル大垣尚司と、フリープロデューサー残間里江子が 大人の目線でお届けします。…