『大垣尚司・残間里江子の大人ファンクラブ』 田舎暮らしで選ぶべきは築浅物件?
情報番組「大垣尚司・残間里江子の大人ファンクラブ」では、残間里江子さん(フリープロデューサー)と、大垣尚司さん(青山学院大学教授、移住・住みかえ支援機構代表理事)が、お金や住まいの話を中心に、大人世代のあれこれを語ります。
この連載は、番組内の人気コーナー「おとなライフ・アカデミー2024」の内容をもとに大垣さんが執筆した、WEB限定コラム。ラジオと合わせて、読んで得する家とお金の豆知識をお楽しみください。
★メールまとめ
リタイア後は古民家での田舎暮らしを考えているが、能登半島地震を見て怖くなった。選ぶなら築浅物件がベター?
★メール本文
能登半島地震の被災地、家がグシャグシャになっている映像を見るにつけ心が痛みます。
リタイア後は、格安物件を買って田舎に住むのもいいなあ、と思っていましたが、古民家にもリスクはあるな、と、改めて気づきました。
やはり、買うなら築年数の浅い物件のほうが良いのでしょうか。
(小平市 「ダイコンキング」さん (50歳))
2000年基準の家は潰れなかった
小平でも大地震がきたら能登半島とあまりかわらない状況になると思いますが…。
新耐震、旧耐震、というのは1981年が境なんです。あと95年の阪神淡路を受けた2000年という基準もあるというお話を以前しました。
それでこないだテレビを見てて、ああやっぱりな…と思ったのは、今回の地震で大きく被害を受けた地域でも、2000年以降の住宅はほとんど潰れていないんですね。普通は全部潰れるんです。その地域まるごと。ところが映像を見ると、この家は建ってて、この家は潰れてて…ということになっています。先日、早速調査に行かれた先生のお話を伺ったのですが、2000年の基準で建てられた家はちゃんと耐えていたということです。
屋根だけが残る家とは
世の中的には81年以降はぜんぶ「新耐震」なんですけど、2000年で基準が厳しくなったんです。それで「新しい新耐震」とかって話をすると「混乱するからやめてください」ぐらいのことを言われてたんです。2000年の基準のことは、積極的に言ってないんですね。「新・新耐震」という言葉はないんです。役所はあんまり2000年基準の前と後を区別していません。それでも、大きく騒ぎ立てられたわけではないけれど、2000年以降に作った家は基準が厳しくなってるので大丈夫だった、というお話です。
被災地では屋根だけになってた家が目立ちましたね。あれは、柱に臍(ほぞ)を差して、そこに板の耐力壁っていうんですけど、力に耐える壁で支えてるから、ぐあっと揺れると抜けるんですね。そうすると、平べったいものだから、横にはめちゃくちゃ強いんですけど、上からギュッと力がかかるとバキバキってなってしまう。今から家をお建てになるなら、当然2000年の基準が適用されますがが、それでも耐震はきつめにやっておかれた方がいいなと思います。
むしろ土砂災害に注意しよう
今回の地震は大雨じゃなかったけど、山とか崩れてるじゃないですか。いま災害のハザードマップはすごく細かくわかるようになっていますから、田舎に行かれることを考えているなら、土砂災害の危険性に気を遣われることも大切だと思います。
直下型地震のことなど考えると、東京に住んでること自体が、もう十分に危ないわけですよ。小平にお住まいの方が田舎へ動くのがどうかとか、新しい物件の方がいいのかとか、そういう問題よりも、まずは今の東京と日本の置かれている状況を十分理解しておくこと。その上で、自分の人生の中で、やりたいことをやるってことでいいんじゃないかって、私は思います。
今日は「田舎へ動くことと災害リスク」について考えてみました。
メールをお寄せいただき、ありがとうございます。
大垣尚司 プロフィール
青山学院大学 法学部教授、一般社団法人 移住・住みかえ支援機構代表理事。
第一線で培った金融知識をもとに、住宅資産の有効活用を研究・探究する、家とお金のエキスパート。
東京大学卒業後、日本興業銀行、アクサ生命保険専務執行役員、日本住宅ローン社長、立命館大学大学院教授などを経て、現在、青山学院大学法学部教授。
2006年に「有限責任中間法人移住・住みかえ支援機構」(現、一般社団法人 移住・住みかえ支援機構)の代表理事に就任。
日本モーゲージバンカー協議会代表理事を兼務。著書に『ストラクチャードファイナンス入門』『金融と法』『49歳からのお金ー住宅・保険をキャッシュに換える』『建築女子が聞く 住まいの金融と税制』など。
家とお金に関するご質問、お待ちしてます
番組では、家とお金にまつわるメールやご質問をお待ちしています。
宛先は、otona@joqr.netまで。
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パーソナリティの一人である大垣尚司さんが代表理事を務める一般社団法人「移住・住みかえ支援機構」(JTI)では、賃貸制度「マイホーム借上げ制度」を運用しています。
住まなくなった皆さまの家をJTIが借り上げて、賃貸として運用。
入居者がいない空室時でも、毎月賃料を受け取ることができます。
JTIは非営利の公的機関であり、運営には国の基金が設定されています。
賃料の査定や、ご相談は無料。資格を持ったスタッフが対応いたします。
制度についての詳しい情報は、移住・住みかえ支援機構のサイトをご覧ください。
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大垣尚司・残間里江子の大人ファンクラブ
土 6:25~6:50
楽しいセカンドライフを送るためのご提案などがたっぷり! 金融・住宅のプロフェッショナル大垣尚司と、フリープロデューサー残間里江子が 大人の目線でお届けします。…