「岸田総理、地に落ちた信頼 党内の不満噴出」
文化放送をキーステーションに全国33局で放送中「ニュースパレード」(毎週月曜日~金曜日午後5時00分~5時15分)
その日に起こった最新の話題を中心に、幅広い分野にわたってニュースを紹介しています。昭和34年の放送開始以来、全国のラジオ局の強力なバックアップで、特派記者のレポート、取材現場からの中継など、今日最も重要なニュースを的確に把握し最新情報を伝え続けています。
文化放送報道記者として国会、官邸を担当し、日夜取材活動で活躍する山本香記者が放送でお伝え出来なかった話題を取材後記としてお届けします。
第213通常国会が6月21日、会期末を待たず閉幕した。今国会では、政府提出法案62本の内、61本が成立。98.4%の成立率に岸田総理は「政策を大きく前進できた」と胸を張る。しかし自民党議員からは「情けない国会だった」という声がもれた。
自民党派閥の裏金問題に絡む「改正政治資金規正法」は、会期末ぎりぎりの6月19日に成立したが、具体的な制度設計は今後検討すると先送り。枠だけを決めたお粗末極まりない内容だ。
岸田総理や党幹部らはたびたび、孔子の「信なくば立たず」という言葉を口にしていたが、国民の信頼を取り戻すには程遠い内容と言わざるを得ない。
孔子は、軍備、食糧、信用の3つのうち、危機的状況に陥った場合、最後まで捨ててはいけないのが信用と説いている。国民の期待はおざなりに、企業団体献金を温存、透明化も不十分のまま全野党の反対を押し切って強行した採決。そもそも裏金議員の処分は中途半端で真相も不明のまま。「政治は国民のもの」という自民党の立党の原点さえ置き去りにした。
19日に行われた党首討論で、国民民主党の玉木代表は岸田総理に「野党の協力が得られない。自民党の中からも総理の責任を問う声が公然と出ている。国民の信頼も地に落ち、四面楚歌だ」と指摘し退陣を要求したが、岸田総理は「私自身、四面楚歌だとは感じていない」と答弁した。
四面楚歌の由来となった項羽と劉邦の戦い。垓下での戦いの際、囲まれた劉邦軍の兵士から項羽の故郷、楚の歌が聞こえてきたことで項羽は敗北を悟ったと伝えられている。その項羽が逃げ延びた烏口という地の長から「捲土重来」を進められるも「天はもう私を見放した」と述べ自刎した。
四面楚歌だと思っていなくとも、岸田総理をとりまく状況は依然、厳しいままだ。秋の自民党総裁選挙への再選をにらんでか、21日の記者会見では、5月で打ち切られた電気、ガス、ガソリン補助金について期間限定での再開を打ち出したほか、経済、外交へのアピールも余念がなかった。
自民党の議員からは「もう、(総理総裁を)お辞めになったほうがいい」「(裏金問題への)対応がまず過ぎた。再選は無理だろう」「総理への信頼は地に落ちた」という声も上がっていた。
党内から不満が渦巻く中、岸田総理は捲土重来を期すことができるのか。土煙を上げてともに戦う軍馬、兵士の数は心許ないようだ。
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