『大垣尚司・残間里江子の大人ファンクラブ』    母から相続放棄を迫られて

『大垣尚司・残間里江子の大人ファンクラブ』    母から相続放棄を迫られて

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情報番組「大垣尚司・残間里江子の大人ファンクラブ」では、残間里江子さん(フリープロデューサー)と、大垣尚司さん(青山学院大学教授、移住・住みかえ支援機構代表理事)が、お金や住まいの話を中心に、大人世代のあれこれを語ります。

この連載は、番組内の人気コーナー「おとなライフ・アカデミー2024」の内容をもとに大垣さんが執筆した、WEB限定コラム。ラジオと合わせて、読んで得する家とお金の豆知識をお楽しみください。

★メールまとめ
父の死の直後に、母から相続放棄を迫られました。どうすればいいでしょう。

★メール本文
年明け早々に、父が亡くなりました。
私は、父とは仲が良かったのですが、
母とは折り合いが悪く、
ほとんど実家には寄り付いていません。
その母が…
葬儀が終わると早々に、
「お父さんの貯金は200万ぐらいしか残ってなかったの。
悪いけど相続放棄してくれないかな」と言われました。
突然のことで、今そんなこと言われても…と、
その場はなんとかごまかしましたが。
こういうときって、どう答えたらいいもんなんでしょうね。

(横浜市 傷心の娘さん (60歳))

いきなり言われたら驚きます

僕は放棄しました。でもお金が残ってるだけ良くて、僕らの世代になると残らない人も多いよね。長生きしちゃうと。なんとも答えられないけど、放棄って、言われてやるっていうことよりは自分ですることだから。お金の多い、少ないじゃなくて、お母さんからいきなり言われたから驚かれたんでしょうね。「それを今いうの?」って感じでね。ただ放棄するなら、3か月以内にやらなくちゃいけないので、割と早く意思決定する必要があります。たぶん「もういいかな」と思われてるんじゃないかと思いますが。お父様もたぶん、子どもに残そうと思われてたというよりは、奥様のことを考えてらしたのではないでしょうか。

相続するまでお金はもつのか

こういうメールを見るにつけ、相続のことばかり、本などいろいろ出ていますけど。その手前のところでお金がもつか、という本はないですよね。その話をもっともっと大事にしてほしいんです。信託についても、もっと使いやすくしてほしいと言ってきてるんですけど、ちょっとずつしか進まないんですよね。障害になっていることの一つは、金融機関が「それはオレのやることだ!」みたいにして…邪魔はしないけど、あんまり協力的じゃないんです。お金をもたせることについて、もうちょっと手段がいっぱいあるようにしないといけないと思っています。

年を取れば取るほどお金も必要

理想を言うとこういうことで悩むっていうよりは、ちょうどぴったりで終わったっていうのがいいんです。お母さまも80を超えてらっしゃるでしょうから、これだけ年を取ったらもうお金がいくらあっても困らないですよね。それで使わなきゃ残るんだし。まあ、置いといてあげたらいいと思いますけどね。お母さんはお母さんで、最終的にご自分のいろいろなことをお考えになって、200万ぐらいは手元に置いておきたいと思われたのでしょう。

放棄の手続きはとても簡単

その中からたとえば、仮に50万をもらったとして、「あんたにも渡したんだから面倒みなさいよ」とか言われるぐらいだったら、もしかしたら…仲良くないんだったら、放棄しちゃった方が「1円もいただいてないし」と言えますよね。こういうことをお考えになる方だと、お優しいんでしょうから、結局は面倒を見ることになるのかもしれませんが…。難しいですけどね。ただ、放棄するかどうかの結論は早く出さないといけないですね。放棄はすごく簡単です。「する」といえば終わりなので。それで完全に、後腐れがなくなります。

今日は「相続放棄」について考えてみました。
メールをお寄せいただき、ありがとうございます。

大垣尚司 プロフィール
青山学院大学 法学部教授、一般社団法人 移住・住みかえ支援機構代表理事。

第一線で培った金融知識をもとに、住宅資産の有効活用を研究・探究する、家とお金のエキスパート。

東京大学卒業後、日本興業銀行、アクサ生命保険専務執行役員、日本住宅ローン社長、立命館大学大学院教授などを経て、現在、青山学院大学法学部教授。
2006年に「有限責任中間法人移住・住みかえ支援機構」(現、一般社団法人 移住・住みかえ支援機構)の代表理事に就任。
日本モーゲージバンカー協議会代表理事を兼務。著書に『ストラクチャードファイナンス入門』『金融と法』『49歳からのお金ー住宅・保険をキャッシュに換える』『建築女子が聞く 住まいの金融と税制』など。

家とお金に関するご質問、お待ちしてます
番組では、家とお金にまつわるメールやご質問をお待ちしています。
宛先は、otona@joqr.netまで。

※この記事で掲載されている情報は全て、執筆時における情報を元にご紹介しています。必ず最新の情報をご確認ください

お知らせ
パーソナリティの一人である大垣尚司さんが代表理事を務める一般社団法人「移住・住みかえ支援機構」(JTI)では、賃貸制度「マイホーム借上げ制度」を運用しています。

住まなくなった皆さまの家をJTIが借り上げて、賃貸として運用。
入居者がいない空室時でも、毎月賃料を受け取ることができます。
JTIは非営利の公的機関であり、運営には国の基金が設定されています。

賃料の査定や、ご相談は無料。資格を持ったスタッフが対応いたします。

制度についての詳しい情報は、移住・住みかえ支援機構のサイトをご覧ください。

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