『大垣尚司・残間里江子の大人ファンクラブ』    「NISAとIDECOの基本」について考える

『大垣尚司・残間里江子の大人ファンクラブ』    「NISAとIDECOの基本」について考える

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情報番組「大垣尚司・残間里江子の大人ファンクラブ」では、残間里江子さん(フリープロデューサー)と、大垣尚司さん(青山学院大学教授、移住・住みかえ支援機構代表理事)が、お金や住まいの話を中心に、大人世代のあれこれを語ります。

この連載は、番組内の人気コーナー「おとなライフ・アカデミー2024」の内容をもとに大垣さんが執筆した、WEB限定コラム。ラジオと合わせて、読んで得する家とお金の豆知識をお楽しみください。

今回は2024年、年頭にお送りした特別編。80歳までの住宅ローンが当たり前に組まれる時代、どうすればいいのか…という大垣さんの考察です。

★メールまとめ
NISAを始めたけど、よくわかりません。言葉の意味を教えてください。

★メール本文
父に薦められて、積立NISAを始めたのですが、いまいちよくわかっていません。
NISAとは何の略語なのでしょうか?
初心者なので教えていただきたいです。。

(鎌ヶ谷市 みなみさん(女性))

NISAのNは「ニッポン」!

これけっこう謎ですよね。実はISAっていうのがイギリスにあるんです。Individual Saving Account.ISAで、個人の貯蓄勘定。それのニッポン版ということで「N」がついてNISAになったんです。「JISA」ジャイサじゃ、なんとなく言いにくいから…。聞いたとき、ちょっとウケました(笑)。Jから始まるのが多いけど、Nにしたんだ、と思って。意外と知られていないですよね。

入口と出口で税金がかかるけど…

長い年月をかけてお金を貯めていくとき、一回もらったお給料で税金を払って、残ったお金を貯めていくと利子が溜まります。それは利益なので税金がかかる、ということで入口と出口でそれぞれ税金がかかるわけです。片方は払ってから貯める。もう片方は貯まったものについた利益にかかる。これのどっちかを「払わなくていいよ」ということにするのが、NISAとIDECOなんです。残間さんは「ニイサン」と「イデコチャン」とか言ってますが。

低所得者にも優しいNISA

NISAのほうは出口。20年ぐらい貯めていくと、普通は倍ぐらいの金額になりますが、そこに2割の税金がかかる。それがタダになるんです。これがなぜオイシイかというと、貯金の利子とか株の配当というのは、どんなにお金がなくても2割、源泉徴収で持っていかれます。20%も所得税で持っていかれる人は、どれくらいの年収があるかといえば、1500、1600万くらい。おじいちゃん、おばあちゃんになって年収が300万、400万という人でも、1500万くらい稼いでる人と同じ割合で税金を取られちゃうんです。でも若いうちから貯めておいて、おじいさんおばあさんになってから出す「NISA」だとそれがつかないので、ちょっといいな、と。

IDECOは「入口」で税金がかからない

入口のほうでつかないのが、IDECOです。本来は、もらったお給料から税金を払った後のお金を貯めていくわけですが、その前なんで所得控除っていって…たとえば月に50万お給料をもらってるとすると、その50万円に所得税がかかります。でもそこからIDECOで5万円貯めていれば、その5万を引いた45万円に所得税がかかることになります。そういう意味で非課税、入口でかからない。これは何がお得かっていうと、入口で貯めていくときはまだ若いので、けっこう稼いでるから税率高いですよね。出るときは当然払ってないので、積み立てるもの元本全部に所得税がかかるんですけど、ただし、もうそのころはおじいちゃんおばあちゃんなので、税率がめっちゃ低いので、案外税金がかからないということになってるんです。

年を取ってから始めてもいい

じゃあ、おじいちゃんおばあちゃんになってから始めたのでは遅いのか。どのくらいのおじいちゃんおばあちゃんなのかによりますが、大垣さんぐらいのおじいちゃんおばあちゃんだと、まだやる意味がある。本音を言うと、もう公的年金が…危ないとは思いませんけど、やっぱり不足しているわけです。定年退職の年齢も「70までがんばれよ」みたいになっちゃったりとかね。

今日は「NISAとIDECOの基本」について考えてみました。
メールをお寄せいただき、ありがとうございます。

大垣尚司 プロフィール
青山学院大学 法学部教授、一般社団法人 移住・住みかえ支援機構代表理事。

第一線で培った金融知識をもとに、住宅資産の有効活用を研究・探究する、家とお金のエキスパート。

東京大学卒業後、日本興業銀行、アクサ生命保険専務執行役員、日本住宅ローン社長、立命館大学大学院教授などを経て、現在、青山学院大学法学部教授。
2006年に「有限責任中間法人移住・住みかえ支援機構」(現、一般社団法人 移住・住みかえ支援機構)の代表理事に就任。
日本モーゲージバンカー協議会代表理事を兼務。著書に『ストラクチャードファイナンス入門』『金融と法』『49歳からのお金ー住宅・保険をキャッシュに換える』『建築女子が聞く 住まいの金融と税制』など。

家とお金に関するご質問、お待ちしてます
番組では、家とお金にまつわるメールやご質問をお待ちしています。
宛先は、otona@joqr.netまで。

※この記事で掲載されている情報は全て、執筆時における情報を元にご紹介しています。必ず最新の情報をご確認ください

お知らせ
パーソナリティの一人である大垣尚司さんが代表理事を務める一般社団法人「移住・住みかえ支援機構」(JTI)では、賃貸制度「マイホーム借上げ制度」を運用しています。

住まなくなった皆さまの家をJTIが借り上げて、賃貸として運用。
入居者がいない空室時でも、毎月賃料を受け取ることができます。
JTIは非営利の公的機関であり、運営には国の基金が設定されています。

賃料の査定や、ご相談は無料。資格を持ったスタッフが対応いたします。

制度についての詳しい情報は、移住・住みかえ支援機構のサイトをご覧ください。

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