投資不動産ローン 富裕層の相続対策で復調も、今後の景気動向に懸念
6月4日の「おはよう寺ちゃん」(文化放送)では、火曜コメンテーターで上武大学教授の田中秀臣氏と番組パーソナリティーの寺島尚正アナウンサーが、投資不動産ローンについて意見を交わした。
日本銀行の金融政策、不確実的な動きに要警戒
相続対策や資産形成への需要の高まりを背景に、一時下火になっていた個人向け投資用不動産ローンが再び伸びている。2023年度の国内銀行の新規貸出額は3兆円を超え、3年連続の増加となった。
個人が所有する不動産に賃貸用のアパートを建設したり、既存のマンション・アパートを投資用に購入したりする際に資金を融通する融資はアパートローンと呼ばれる。
賃貸用の不動産は相続の時の節税効果が見込まれるため、富裕層を中心にお金を借りてでも賃貸住宅を取得しようとする考えが根強い。
寺島アナ「一時下火になっていた個人向け投資用不動産ローンが再び伸びているそうですが、田中さんこれいかがでしょうか?」
田中氏「コロナ渦明けで都心部で働く人たちの意識が回帰してきて、不動産価格がけっこう上がっているんですよね。そう考えると投資ブームは予想できる範囲内です。今後、日本銀行が金利を上げていくと言われていますから、そうすると不動産投資をしづらい環境ができてくるんです。そこら辺も考えた方がいいかと思いますね」
寺島アナ「銀行のアパートローンが伸びているんですね」
田中氏「そのローンを返せるのか? 金利負担の動向も慎重に見極めなきゃいけないんです。そこで日本銀行の金融政策が不確実的な動きをしていて読みにくいんです。金利・為替・株価の動向が明らかに不安定な動きをしていますよね? それって昭和恐慌が起こる前の金本位制に復帰するかどうかで金融政策の動きが不安定化した状況と似てるんです。結局、昭和恐慌のときは一気に金融引き締めモードに戻っちゃって、恐慌になっちゃったわけです。それと似たような状況で、まあ当然恐慌なんて起きませんけど、景気が急激に悪化する可能性はあっても不思議じゃなくて、そのときに投資用の不動産ローンが焦げ付いてしまう可能性はあります。そのとき消費の足を引っ張りかねないと思います」
アパートローンは日銀が異次元緩和を始めた2013年から拡大傾向を続いていたが、金融庁や日銀が急速な増加を問題視したことで2016年をピークに減少に転じた。
さらに2018年にシェアハウス物件をめぐる不適切融資でスルガ銀行が金融庁から業務改善命令を受けたことも追い打ちとなり、国内銀行の新規貸出額は2020年に約2兆4000億円にまで落ち込んだ。ただここにきて個人向けの不動産投資ローンが再び伸びていて、大都市部を中心に価格上昇が続く不動産市場の活況を映している、と言われている。
寺島アナ「金利が上昇していけば、貸出は鈍るわけですもんね?」
田中氏「まさにバブル期の後半にも似たような現象はあったわけです。それが銀行からするとすべて不良債権化してしまって、処理に時間かかってしまったんです。今回はバブルじゃないですけど、一部の不動産市場が過熱していてますが、今後焦げ付く可能性はかなりあると思います。これは要警戒ですね」
〈出典〉
投資不動産ローン、3年連続増 富裕層の相続対策で復調 | 日本経済新聞 (https://www.nikkei.com/)
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