「抜け穴だらけの自民党の政治改革案 岸田総理のサプライズはあるのか」
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文化放送報道記者として国会、官邸を担当し、日夜取材活動で活躍する山本香記者が放送でお伝え出来なかった話題を取材後記としてお届けします。
自民党が単独で提出した自民党裏金事件を受けた政治資金規正法改正案について、立憲民主党の野田佳彦元総理は5月20日の衆議院予算委員会で「(提出が)一番遅い上に中身が一番薄っぺらい」「顔を洗って出直してこいと啖呵を切りたくなる」と痛烈に批判。また日本維新の会の青柳仁士氏も「絶望的にお粗末な案が出てきた。よくこんな恥ずかしい案を出せたなと驚きを通り越してあきれている」とこき下ろした。
厳しい言葉を投げかけられた岸田総理だが、「政治家の責任の強化、透明性の強化等、再発防止に向けて実効的な案を提出することが出来た」と改めて答弁。
茂木幹事長もその日の記者会見で「再発防止に向け、極めて実効的かつ現実的な法案だ」と強調した。
一方、野党側は20日、立憲民主党、国民民主党、有志の会が共同で、政党が議員に支給し、使途公表の必要がない政策活動費の禁止などを盛り込んだ「政治資金規正法改正案」を国会に提出。立憲民主党の落合貴之氏は「抜け道がたくさんわざと作ってある自民党案と違い、抜け道をできる限り少なくした」と胸を張った。
野党側が禁止をうたっている政策活動費をめぐっては、二階敏弘氏が幹事長時代の5年間に計約50億円の支出を受けていたことが明らかになっている。自民党案では、透明性の強化として50万円以上の支出があった場合「組織活動費」など項目ごとに党に報告するとしたが、領収書の公開には踏み込んでおらず、野田佳彦氏は「巨額のブラックボックスを小分けのブラックボックスにするだけ」と責め立てた。
裏金の温床となった政治資金パーティー。1枚2万円で販売されることが多いパーティー券購入者の住所や氏名を公開する基準額について、自民党は現行20万円超を10万円超に引き下げる案を提示した。これについて立憲民主党の落合貴之氏は、10万円の規制は年間ではなく1回あたりの額であり、パーティーを2回やれば同じこと。毎月やれば1年で120万円まで公開しなくてもいいことになると抜け穴を指摘した。
公明党などは、一般の寄付と同様、公開基準を5万円超と主張するが、岸田総理は「寄付とパーティーでは性格が異なるため公開基準を同じにする必要はない」と答弁。これで透明性が確保されたと胸を張れるのか。こうした自民党の考え方について複数の野党議員は「金集めのための抜け穴を1つでも多く作っておきたいのだろう」「当事者とは思っていないようだ」と吐き捨てた。
与野党、今国会での政治資金規正法改正案の成立という一致点はあるものの、考え方の違いは深すぎて先行きが全く見通せない状況だ。6月23日の会期末まであとわずか。与野党は表の審議とは別に裏で与野党協議も進めていくが、野党幹部の1人は「今の状況でまとまるとは思えない」とした上で、岸田総理が明言した今国会での成立を実現するために、「ギリギリのタイミングで何らかの政治判断が下されるかもしれない」という見方を示した。その政治判断が大きなものか、小さなものかはまだ見通せないという。岸田総理のお得意のサプライズという形で決着が図られるのか、今月末が一つの焦点となるだろう。
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