『大垣尚司・残間里江子の大人ファンクラブ』    親子で住宅購入はアリ?

『大垣尚司・残間里江子の大人ファンクラブ』    親子で住宅購入はアリ?

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情報番組「大垣尚司・残間里江子の大人ファンクラブ」では、残間里江子さん(フリープロデューサー)と、大垣尚司さん(青山学院大学教授、移住・住みかえ支援機構代表理事)が、お金や住まいの話を中心に、大人世代のあれこれを語ります。

この連載は、番組内の人気コーナー「おとなライフ・アカデミー2023」の内容をもとに大垣さんが執筆した、WEB限定コラム。ラジオと合わせて、読んで得する家とお金の豆知識をお楽しみください。

★メールまとめ
親子で住宅購入を考えています。お勧めの買い方はありますか?

★メール本文
気ままな賃貸暮らしを続けてきましたが、
そろそろ子どもが住宅購入を考える年齢となり(35歳)、
先日来、大垣さんがおっしゃるように、
昨今の住宅価格がとんでもないことになっているので、
親子で力を合わせて家を買おうか、と話し合っています。
ペアローンとか、リレーローンとか、
いろいろそういう場合に使える仕組みがあるようですね。
お勧めの買い方を教えて下さい。
住むのは私と妻(ともに現役で働いてます)
息子とその妻(こちらも同様)、孫一人(幼稚園児)。

(町田市 こばちゃん (62歳))

こういう買い方も悪くない。
こういうのいいかもしれないな、とメールを拝見して思いました。これまで私たちより上の団塊世代の皆さん、そして私たちの世代も含めて、あまり親と一緒に住もうとは思ってこなかった。それがここへきて、情として、というよりは住宅価格の高騰で、昔ながらの住まい方が戻ってきたのかもしれませんね。残間さんは「息子の嫁は絶対にイヤだと思う」とおっしゃいますが、それは思い込みなんじゃないかな、と私などは思います。

同居せざるを得ない時代
三世代が一緒に住まざるを得なくなると、必然的に親世代が孫世代の面倒を見るようになる、と言うよりはむしろ、豊かな時代ではなくなってきているので、見ざるを得なくなるんじゃないかと思います。別に親世代だって積極的に孫の面倒を見たいわけじゃないけど、不動産も含めて物価は上がるばかり、金利も上がり始めています。生活防衛手段としての同居、ということですよね。

一緒に買うときに気を付けたいこと
そこで、一緒に家を買うときにどんなことに気を付ける必要があるのか、という話です。まず「ペアローン」というのは、一軒の家を買うのに二人が独立して共有という形にしてそれぞれローンを組むやり方です。通常は「連帯債務」といって、一つのローンを二人で借りるんですけど「ペアローン」の場合は別々に半分ずつ借りる。そうすると、合計金額で、通常のローンよりたくさん借りることができるメリットがあります。使ってもいいけれど、ただし夫婦でのペアローンは絶対にやめた方がいいと思います。離婚のときにとてつもなく面倒なことになるからです。

「リレーローン」はお勧め
リレーローンは「親子リレー」と言われているものです。ご相談いただいた方のケースでは親御さんが62歳ということですから、通常の80歳までしか借りられないローンだとすると、期間は18年。これでは1回の支払額がとんでもないことになりますから、途中から子どもが引き継ぐことにして2人で借りるやり方です。銀行によっては取り扱わないところもありますが、これは悪くないと思います。

残価設定で親子リレー
いま実際に、「残価設定ローン」の使い方として、この親子リレーローンで利用されてる方がいらっしゃいます。親ががんばって20年くらい返してくれると、もうそこから残価設定が効くのでお子さんはとても楽になります。たとえば親御さんが15万とか20万とか、がんばって返し続けてくれれば、お子さんは親御さんがいらっしゃらなくなった時点で残価に変えれば、その後は5万くらいの返済額でずっと大丈夫、ということになります。親が必死にローンを返して、子どもに相続させるのと似てるといえば似ていますが、これは賢い借り方だなと思いました。

さらに便利になる残価設定ローン
いまはメーカー製の住宅にしか使えない残価設定ローンですが、近い将来、もっといろいろな家に使えるようになる予定です。使うことができる条件も緩和されていくと思います。さらに、どうせ残価のオプションをつけるのなら、標準的な35年のローンよりも、もっと40年、50年といったところまで長くすることも考えています。もともと残価設定ローンは100年使える家を買うけれど、そのうち25年分しか返しません、という発想から始まっていて、たとえば90で亡くなるときはもう子どもも60だから家はいらないでしょう、というコンセプトなんです。長いローンなら、1回あたりの返済額も減っていきます。いろいろ新しいオプションを考えていますから、これから住宅購入をされる方には、選択肢が増えていくだろうと思います。

今日は「親子で家を買うやり方」について考えてみました。
メールをお寄せいただき、ありがとうございます。

大垣尚司 プロフィール
青山学院大学 法学部教授、一般社団法人 移住・住みかえ支援機構代表理事。

第一線で培った金融知識をもとに、住宅資産の有効活用を研究・探究する、家とお金のエキスパート。

東京大学卒業後、日本興業銀行、アクサ生命保険専務執行役員、日本住宅ローン社長、立命館大学大学院教授などを経て、現在、青山学院大学法学部教授。
2006年に「有限責任中間法人移住・住みかえ支援機構」(現、一般社団法人 移住・住みかえ支援機構)の代表理事に就任。
日本モーゲージバンカー協議会代表理事を兼務。著書に『ストラクチャードファイナンス入門』『金融と法』『49歳からのお金ー住宅・保険をキャッシュに換える』『建築女子が聞く 住まいの金融と税制』など。

家とお金に関するご質問、お待ちしてます
番組では、家とお金にまつわるメールやご質問をお待ちしています。
宛先は、otona@joqr.netまで。

※この記事で掲載されている情報は全て、執筆時における情報を元にご紹介しています。必ず最新の情報をご確認ください。

お知らせ
パーソナリティの一人である大垣尚司さんが代表理事を務める一般社団法人「移住・住みかえ支援機構」(JTI)では、賃貸制度「マイホーム借上げ制度」を運用しています。

住まなくなった皆さまの家をJTIが借り上げて、賃貸として運用。
入居者がいない空室時でも、毎月賃料を受け取ることができます。
JTIは非営利の公的機関であり、運営には国の基金が設定されています。

賃料の査定や、ご相談は無料。資格を持ったスタッフが対応いたします。

制度についての詳しい情報は、移住・住みかえ支援機構のサイトをご覧ください。

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