『大垣尚司・残間里江子の大人ファンクラブ』    一人暮らしの家を姪に引き継ぐには…

『大垣尚司・残間里江子の大人ファンクラブ』    一人暮らしの家を姪に引き継ぐには…

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情報番組「大垣尚司・残間里江子の大人ファンクラブ」では、残間里江子さん(フリープロデューサー)と、大垣尚司さん(青山学院大学教授、移住・住みかえ支援機構代表理事)が、お金や住まいの話を中心に、大人世代のあれこれを語ります。

この連載は、番組内の人気コーナー「おとなライフ・アカデミー2023」の内容をもとに大垣さんが執筆した、WEB限定コラム。ラジオと合わせて、読んで得する家とお金の豆知識をお楽しみください。

★メールまとめ
夫を亡くし、ひとり暮らし。子どもがいないので、姪に引き継いでもらいたいのですが、やっておくべきことは?

★メール本文
町田駅から歩いて15分ほどの住宅街にある、築50年程度の家に一人で暮らしています。
敷地は30坪ほど。
この家は、夫の両親が建てた家で、両親が亡くなったあと夫と移り住み、その夫も亡くなっていまは私が一人暮らし。
子どもがいないので、私が亡くなったあとは、姉の娘である姪に土地や家の面倒を見てもらおうと思っていて、貸すなり、処分するなり、好きにして、と言ってあります。
私のきょうだいは、姉だけが存命ですが、亡くなった兄や弟には子どもがいます。姪にきちんと遺すためには、どうすればいいでしょう。
(町田市 悩める未亡人 (79歳))

遺言しておけば大丈夫です
相続のことは大丈夫です。子どもや親には認められている権利である「遺留分」(最低限引き継げる遺産)が兄弟姉妹にはありませんから、姪御さんに遺されることを遺言しておけばいいのです。相続税のことは別に考えなければなりませんが、逆にいえば問題となるのはそれぐらいのことなので…。

姪御さんとおっしゃっても、「悩める未亡人」さんが79歳ですから、もうそこそこの年齢になっていらっしゃるでしょう。分別がなくて何をするかわからない、ということはないでしょうから、早めにいろいろな手を打てるように、生前贈与を行うことも考えていいと思います。これは何度も繰り返しお話ししていることなのですが、よほどの資産家でない限り、財産を遺すことを考えるより、いかに自分が生きている間に使い切る、亡くなったときにうまくゼロにする工夫が大事なことだからです。

最後まで一人暮らしできればいいけれど
いまはお元気ですから、ずっと一人暮らしできると思うかもしれませんが、こればっかりはわかりません。急にコケて骨を折ってしまったりする可能性もあります。私の祖母もそうでしたが、年を取って骨が弱ってきていると、え? なんで? というような転び方でも、大けがにつながって、寝たきりになってしまう…ということが起きるんです。だから相続について心が決まっているのなら、心も体もちゃんとしている、はっきりしている時にやっておくのが大事なんじゃないかと思います。

姪御さんが将来、この家に住む可能性はおそらく低いのではないかと思います。そうすると「空き家」になってしまって、後からいろいろお金がかかってしまう可能性があります。そこでもう一つご提案したいのは、「リバースモーゲージ」の利用です。町田から徒歩15分というと、それなりに土地の価値がある場所ですよね。もし老人ホームに行かれるときは、土地の価格の半分くらいまでは「リバースモーゲージ」という国の保証しているローンが借りられます。これを入居一時金に充てて、最終的に家で清算することができます。

「マイホーム借り上げ制度」を利用すれば
そうやって、老人ホームに動かれた後は、マイホーム借り上げ制度をお使いいただいて、家を運用するのもお勧めです。まだお元気なうちにJTIにご相談いただければ、亡くなられるまで管理もしますし、姪御さんがお住みになりたければお渡しすることもできます。おそらく毎月8万くらいの家賃収入になります。リバースモーゲージで500万借りたとしても、利息は1万くらいですから、手取り7万くらいの収入になります。皆さんあまりそういう工夫はなさらないんですけど、やっておかないと今度は大変になるんですね。このケースではいろいろな手が考えられますので、姪御さんなど、身近な方に相談されるのが良いかと思います。

今日は「一人暮らし高齢者の家と相続」について考えてみました。
メールをお寄せいただき、ありがとうございます。

大垣尚司 プロフィール
青山学院大学 法学部教授、一般社団法人 移住・住みかえ支援機構代表理事。

第一線で培った金融知識をもとに、住宅資産の有効活用を研究・探究する、家とお金のエキスパート。

東京大学卒業後、日本興業銀行、アクサ生命保険専務執行役員、日本住宅ローン社長、立命館大学大学院教授などを経て、現在、青山学院大学法学部教授。
2006年に「有限責任中間法人移住・住みかえ支援機構」(現、一般社団法人 移住・住みかえ支援機構)の代表理事に就任。
日本モーゲージバンカー協議会代表理事を兼務。著書に『ストラクチャードファイナンス入門』『金融と法』『49歳からのお金ー住宅・保険をキャッシュに換える』『建築女子が聞く 住まいの金融と税制』など。

家とお金に関するご質問、お待ちしてます
番組では、家とお金にまつわるメールやご質問をお待ちしています。
宛先は、otona@joqr.netまで。

※この記事で掲載されている情報は全て、執筆時における情報を元にご紹介しています。必ず最新の情報をご確認ください。

お知らせ
パーソナリティの一人である大垣尚司さんが代表理事を務める一般社団法人「移住・住みかえ支援機構」(JTI)では、賃貸制度「マイホーム借上げ制度」を運用しています。

住まなくなった皆さまの家をJTIが借り上げて、賃貸として運用。
入居者がいない空室時でも、毎月賃料を受け取ることができます。
JTIは非営利の公的機関であり、運営には国の基金が設定されています。

賃料の査定や、ご相談は無料。資格を持ったスタッフが対応いたします。

制度についての詳しい情報は、移住・住みかえ支援機構のサイトをご覧ください。

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楽しいセカンドライフを送るためのご提案などがたっぷり! 金融・住宅のプロフェッショナル大垣尚司と、フリープロデューサー残間里江子が 大人の目線でお届けします。…

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