多様性時代の“バックラッシュ”について考える

多様性時代の“バックラッシュ”について考える

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女装パフォーマーのブルボンヌと、ジャーナリストの青木理を迎えた3月15日放送「西川あやの おいでよ!クリエイティ部(文化放送)」。
「きょうのクリエイティブ」では「多様性時代のバックラッシュ」というテーマでお届けした。

多様性時代といわれている現代。世界各国でどんな人も平等・平和に過ごせる考え方が進んでいるが、バックラッシュがもたらす問題は、まだまだ無くなることがなく、多くの場で議論されてきた。こうした問題と私たちはどう向き合い、考えていくべきなのか。

バックラッシュとは、ある流れに対する「反動」や「揺り戻し」のことを指す。「政治的・思想的反発」や「反感」といった意味もある。人種平等、LGBTの権利、社会福祉などの人権活動に対する反動についても用いられるが、特に男女平等や男女共同参画、ジェンダー運動などに反対する運動・勢力に用いられることが多い。

西川あやの「そもそも社会的に女性が進出できなかった時代を踏まえて、女性の社会進出とかが進んでいく中で平等にやっていかなきゃいけないんじゃないかっていう“男女共同参画社会の実現”みたいなものから生まれた『それって女性ばっかり優遇されてない?』みたいな、こういう現象のことを指してますね」

青木理「日本の場合ではね、90年代に例えば『性教育をきちんとしたほうがいいんじゃないの?』っていうようなことだったりとか。あるいは男女共同参画とか。あるいは学校で男と女の混合名簿みたいなのを作ったわけですよね。それに対して、特に政界の右派の人たちが『そんな性教育するべきじゃない』とか『男は男らしく、女は女らしくなんだ』みたいな感じで物凄い勢いでバックラッシュが起きて。その流れの上に安倍政権みたいな政治的な動きもあったと思うんだけど、2000年代に入ってそういうのが起きたっていうのは日本の場合はありましたよね」

西川「以前、月曜日の放送回の青木さんのコラムで、そのときちょうど栃木県の日光でG7の男女共同参画・女性活躍担当大臣会合があって、日本だけ男性の大臣だったんですよね。あとはみんな女性で。そのときに、これからそういったバックラッシュに対して日本も対応していくみたいな『日光声明』っていうのが出されたわけですよね。だから国としてはそういうことに対応していきたいっていう気持ちを表しているわけですけど、果たして世界と比べてどう進んでいるのかっていうところを探っていきたいです」

青木「ヨーロッパやアメリカ、台湾でもバックラッシュは起きているけど『3歩進んで2歩下がる』あるいは『4歩進んで2歩下がる』くらいの感じで着実に前に動いてる。ところが日本の場合は『1歩しか行ってないのに3歩くらい戻らされる』みたいなそういうバックラッシュっていうのが物凄い強烈ですよね」

ブルボンヌ「国際経済フォーラムが出してるジェンダーギャップランキングで先進国最下位みたいな評価を受けてるぐらいジェンダーギャップ・男女格差だらけなのに、女性の推進に対して常に反発があるっていうのは、ここまで低いって世界で認められているのに、それを『推進しすぎだ!』って言われるってどういうことなんだろう?とも思うよね」

西川「台湾とか北欧の例とか見ていると何かが変わったからバックラッシュが起こるのはわかるんですけど、日本の場合は、揺り戻しの振り子の距離が『下がっちゃっているんじゃないの?』って思うこと結構ありますもんね」

青木「同性婚とか性的マイノリティーの人権の問題だって、ヨーロッパあるいはアメリカとか世界中で同性婚を認めようってなっていて、少なくともG7の国で同性婚を認めてないのは、イタリアもちょっとアレなんだけど、日本だけっていう状況なわけじゃないですか。で、その中で『LGBTの法律を作りましょう』っていうのだってトランスジェンダー攻撃みたいなことが起きて同性婚すら認められないのに、トランスジェンダーを起点としたバックラッシュ、トランスジェンダーを攻撃することによって全て否定していこうみたいなバックラッシュが今現在起きているっていうのもありますよね」

さらに、アジアで初めて同性婚を合法化した台湾や、日本で発売中止になったトランスジェンダーに関する翻訳書などについても話した。

「西川あやの おいでよ!クリエイティ部」は毎週月曜〜金曜の午後3時30分〜5時45分、文化放送(AM1134kHz、FM91.6kHz、radiko)で放送中。また、radikoのタイムフリー機能では1週間後まで聴取できます。

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