今年の春闘は今日が集中回答日。個人消費は回復するのか!? 中小企業の動向がポイント!
3月13日(水)の「おはよう寺ちゃん」(文化放送)では、水曜コメンテーター・経済アナリストの森永康平氏と番組パーソナリティの寺島尚正アナウンサーが、今日集中回答日を迎える春闘の動きについて意見を交わした。
森永「全国各地の中小企業経営者の話では、今でも下請けいじめは横行している」
今年の春闘は今日13日が集中回答日となる。賃上げの流れが大企業だけでなく中小零細にも広がるのかが焦点となるが、機械や金属産業の中小企業の労働組合の中には、すでに経営側から満額を含む高い水準の回答が示されるケースも出ている。
寺島尚正アナ「このあたりの動き、森永さんまずはいかがですか?」
森永康平「そうですね、今報道されている大手の回答を見る限りでは、非常に強くって、なんなら去年も30年ぶりの賃上げ率でしたけど、それを上回る水準っていう報道がかなり出ているな、と。これ自体はとてもいいことだと思いますね」
寺島「賃上げの流れというのがひとつのポイントとして、中小に広がるのかどうかなんですが、このあたりはどうでしょうね?」
森永「やはり大手が上げていくことによって、中小も上げざるを得ない。上げないと人が出て行っちゃうんで、防衛的に賃上げをしていくっていう。言わば大手が上げることによって中小が上げていく流れっていうのは、明確に出来ているんですね。これは去年も確認されているんですよ。ただし、問題なのは、原資があって中小も賃上げしてるっていうのならベストだと思いますが、現状は上げたら上げたで首が締まるし、でも上げなかったら上げなかったで人が出て行っちゃって人手不足っていう形で首が締まるということなので、表面的な数字としての賃上げっていうのは中小でも確認できてますけど、やっぱりその賃上げの、経営サイドを見た時に質が悪い、無理して上げてるっていう状況なので、それを無理しない形で上げられるように、価格転嫁であるとか、そもそも大手が販売価格を上げて、中小への下請けいじめみたいなことをやらない。こういうことが大事だと思いますね」
寺島「機械や金属産業の中小企業などの労働組合で作る『JAM』は、月額1万6500円以上という1999年の結成以来、過去最高の賃上げを要求する方針を掲げているといいますが、これ、どうでしょう?」
森永「やはり大手が強気な水準をバンバン出してますから、中小だってそれを求めていくっていうのは当然の姿勢だと思うんですよね。最近労働組合の方から、マクロ経済の環境を把握したいと言うリクエストを私結構受けていて、今の消費のデータであるとかをお渡ししているんですが、やっぱり現在の消費の状況を見れば、労働組合としては当然強気の要求をするのは当たり前であって、ただ、そこの理論武装というか、データとかの肉付け、このあたりを最近はお手伝いしているんです」
寺島「そうですか。この大手企業の平均月例賃金から、中小企業の賃金を差し引いた額が、2000年からの23年間で最大3倍に拡大したことが、昨日労働組合の集計でわかりました。デフレ経済では大企業が下請けに高い負担を強いて来ました。格差拡大を防ぐには、こうした商習慣からの脱却が急務という指摘がありますが、森永さんこれはいかがですか?」
森永「そうですねえ、やっぱりコロナが落ち着いて以降、昨年の秋ぐらいから、本当に全国色んなところで講演に呼んでいただいた際に、出席されている方は各地の中小企業の経営者の方が多くて、講演の前後で色んな業種の経営者の方々のお話を聞かせていただくんですけど、やっぱり価格転嫁は出来ていないと。もちろんやっているところもあるんですが、『十分出来てない』と答える方が非常に多いし、中には『まったく出来てない』と、答える方もいるんですね。で、交渉しに行くと契約を変えるとか、なんなら『上げてくれ』と言いに言ってるのに『下げろ』って言われたりとか言うのも今でもあると。これって、パワーバランス考えると、無理なんですよね。要は『契約してやってる』っていう立場ですから、『そんな俺たちの利益率を下げろっていうなら他の業界に振るわ』ってなっちゃうわけなんで、政府のある程度の介入は必要かなっていうのは思っていて、実際に政府側も『下請けGメン』みたいなものを作って何とかしようとはしているので、まったくもって無策ではないと思うんですが、ただ現状を聴いてみると、今でも残念ながら下請けいじめみたいなものは、かなり横行しているという実態があると思いますね」
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