元旦勤務のアナウンサーは1人だけ…能登半島地震に地元ラジオ局はどう対応したのか？邦丸アナが現地取材

野村邦丸アナ「東日本大震災発生以降、コロナ禍によって断念した時期もあったんですが、毎年のように宮城、それから岩手も行きました。福島も行きました。本来であれば、今年はどの人に会いに行こうかなと思っていた矢先の1月1日に能登半島地震が起きました。今回、私は石川県にお邪魔することになりました。今日は2時間を通して、その模様をお届けします。2月23日金曜から25日、日曜日までの3日間、坂口愛美アナウンサーをはじめとした文化放送スタッフと一緒に行って参りました。連休ということもあったんでしょう、金沢駅は、ここで地震があったとは思えないほど観光客の方も非常に多かったのを覚えております。金沢駅の近くで借りたレンタカーに乗り込んで、まず向かったのはMRO北陸放送。祝日の夕方なのに5名の方が待っていてくれました。ラジオ局長やアナウンス室長をお務めの次島雅之さん、アナウンサーの谷川惠一さん、牛田和希さん、西尾知亜紀さん。そして録音にはお時間が合わなかった石川映夏アナウンサー。北陸放送の第一スタジオをお借りして、1月1日元日の午後4時10分、地震が発生した時の様子について、まずは次島さんがこんな風に話してくれました」

――ここから石川県での取材音声――

邦丸「ラジオ局長の次島さんは、ご自宅にいらっしゃったそうですね」

次島「そうですね、私は自宅で揺れを感じて、1回目の揺れが終わって外に出て。そしたら2回目の大きな揺れがあって、すぐ妻に車で送ってもらって、その間に電話がありました。夕方の番組を担当してるOGの上坂さんからの電話で「割り込みします？」というので、「是非お願いします」と。その時は元日勤務のアナウンサーが1人いたんですけれども、テレビのスタジオにすぐ入ったものですから、ラジオの方はそういうOB・OGの方に入っていただきました」

坂口「そのときアナウンサーの皆さんはどういう状況だったんですか？」

次島「旅行に行ってる者とか帰省している者とか、全然県内にいない状態だったので、新たに男性のOBの方も来ていただいたりとか、外部のパーソナリティの方も手伝いに来ていただいたりとか、そんな感じで放送はなんとかできた、というところです」

坂口「今日来ていただいている、谷川さんはどちらにいらっしゃったんですか？」

谷川「私は1月1日は県外に出てました。前日まで大阪で別の業務があって、大阪から福井に戻ってくる途中の列車の中で、一旦緊急停止して横に回ってるような揺れを体験しました。この時点で能登では地震が続いていたものですから、直感的に能登で起きたと、またあそこだと思うんですよ。そうすると携帯電話に震度7とか、津波警報が出ましたとか、それが大津波警報に変わりましたとか、どんどん送られてくるんですよ。もう青ざめるしかないですよね。何もできない状態で、SNSのXを見ていても「みんな大変だな」とか「もう逃げて」とか、そんな情報しか出てこないですし。今、会社が局がどうなっているか、放送が本当にできてるのかと思いますから、まずは局長の次島に電話して「今、どうなってますか」とか「ちょっと私戻れないです。ほかのアナウンサーとかOBとかどうですか」と話をしつつ、自分も何とか金沢に戻らなきゃと、その何もできないもどかしさもありつつ、という複雑な思いでずっと列車の中にいたんですよね」

邦丸「金沢に帰ってきたのはいつ頃だったんですか？」

谷川「夜の10時ですから、発災から6時間くらいです」

邦丸「でも、よく帰ってきたね」

谷川「いや、それが途中で降りた駅で、もう北陸本線、JRの列車はその日全部運休だったんですよ。そこで電光掲示板眺めている人だとか、知り合いに電話してる方の中で「金沢」とか「車」とか言ってる方がいたんですよ。その方が電話をピッって止めた瞬間に私が「もしかして戻られるんですか？」って。「あ、そうですよ」って言うから「すいませんが、もし本当に、わがままで申し訳ないんですけど、乗れるようでしたら乗せて頂けませんか？」って言ったら「ああいいですよ」って言ってくださって。その方の1ボックスの車で金沢まで、普段だったら1時間半くらいで帰れるところを3時間以上かけて送ってもらったという。何とかして金沢に戻らなきゃと思いで必死でしたね」

こうしてラジオ局に集まった面々は、直面する災害に対してどう動いたのか。被災地の思いをどう伝えたのか。実際に災害を体験した人々の証言はこの後も続きます。続きはradikoのタイムフリー機能でご確認ください。

「くにまる食堂」は平日朝11～13時、文化放送（AM1134kHz、FM91.6MHz、radiko）で放送中。radikoのタイムフリー機能では、1週間後まで聴取できます。