東京ガスのブランド戦略に迫る「エネルギー業界におけるブランディング」

様々な社会課題や未来予想に対してイノベーションをキーワードに経営学者・入山章栄さんが色々なジャンルのトップランナーたちとディスカッションする番組・文化放送「浜松町Innovation Culture Cafe」。

2024年3月4日、3月11日の放送では、東京ガス総合企画部経営計画グループ・森井祐希さん、株式会社リブ・コンサルティング モビリティ/エネルギープラクティスディレクターの西口恒一郎さんをお迎えして「エネルギー業界におけるブランディング」についてお話しました。マスターは、これを受けて危惧していることがあるそうで…

入山：僕、日本の企業で課題だと感じているのは、「コーポレートブランディング」とか「事業ブランディング」だと思っているんです。ブランディングって、「この会社（事業）は○○なイメージ」とお客さんに抱いてもらって、ファンになってもらうことですけど、日本は商品のブランディングは十分に普及しています。例えば、良い悪いの話ではなく、花王の洗剤「アタック」のファンは日本中にいるけど、花王のファンはどのくらいいるのか？ライオンのファンはどのくらいいるのか？事業や会社のブランドのファンになると、もっとこの会社の製品買おうとなるわけです。…という中で、森井さんの東京ガスは、ソリューション事業ブランド「 IGNITURE（イグニチャー）」を出されました。これはどういうものですか？

森井：今までの東京ガスは、ガスや電気の会社ってことで、コーポレートブランディングされてきました。それ以外の事業の柱を作って行こうといった時に、これまでのイメージが良くも悪くも強すぎたので、ソリューションに特化した新しいブランドを作って行こう！と、立ち上げました。

入山：ソリューションに特化したブランドを推進する、その中で IGNITUREでブランディングして行こうと。ソリューションとは、ここでは何を意味するのですか？

森井： IGNITUREに込めた提供価値として、脱炭素・最適化・レジリエンス、この三つ。この提供価値につながるようなソリューションを注力して、開発・拡充していこうというものです。

入山：脱炭素は、CO2を減らして…というのは分かるんですが、「最適化」って何ですか？

森井： IGNITUREの名前の由来にも関係するのですが、「IGNITURE」は「ignite（灯す）」「future（未来）」の造語です。未来に起こりえる世の中の課題を想像しながら、それにこたえるために三つの提供価値があります。最適化ということですと、労働人口が減ってきて、生産効率の最適化や、働き方・暮らし方が変わる中で、時間的・空間的な最適化がキーワードになると設定しています。これまで東京ガスは、しっかり固めて外に発信してきた文化がありますが、会社の中も変革する意味で、「やりたいことを先に打ち出す」と。

入山：西口さん、ここまでのお話はいかがですか？

西口：最初に、想いだったり、実現したいことを打ち出して、そこに現実を近づけていくと、そのイメージなのかなと思って聞いていました。

入山：良い意味で、これまでの東京ガスとは違う、未来志向のことをやりたいと。

森井：そうです。いままでの東京ガスの打ち出し方は、「アットホーム」とか「温かみ」「親近感」だったんですけど、ロゴからも分かる通り、比較的洗練されているというか…

入山：いまスタジオにあるんですけど、尖っていますね。（※サムネイル参照）

この続きはこちらから↓


本日のお客様
森井祐希さん
2007年、東京ガスに入社。これまで産業・工業用向け法人営業部門にて、ガス・電気・エネルギーサービスなどを販売。家庭向け営業部門にて、営業企画スタッフとして電力・ガスの営業戦略策定を担当。現在は、総合企画部・経営計画グループのチームリーダーとして、中期経営計画の策定や経営マネジメントシステムの高度化、ブランド戦略を担当。

西口恒一郎さん
2015年、リブ・コンサルティングへ入社。これまで自動車メーカー、公共交通事業者、自治体を対象に、
中期経営計画の策定、新規事業開発、M&Aなどのテーマを担当。現在は、MaaS事業開発、地域モビリティサービスの展開など持続可能なモビリティ社会の実現に向け活動し、2023年より、経済産業省 資源エネルギー庁主催のEVグリットワーキングにオブザーバーとして参加。

過去の放送は、YouTubeとpodcastでも配信中！

文化放送が運営するポッドキャストサイト「PodcastQR」では、浜松町Innovation Culture Cafe以外にも社会・ビジネスに関する番組が多数ありますので、ぜひお聞きください。
エピソード一覧はこちら