大問題になった『美味しんぼ』鼻血騒動の元町長を10年以上取材!英雄視から一点バッシングされた分岐点とは?
福島の原発事故で全町避難を余儀なくされた双葉町の元町長・井戸川克隆さんを取材した『双葉町 不屈の将 井戸川克隆: 原発から沈黙の民を守る』を著したジャーナリストの日野行介さんが3月8日の『大竹まことゴールデンラジオ』に登場。本の内容について伺った。
大竹「この本はいつ頃から書き始めていらっしゃるんですか?」
日野「書き始めたのは一昨年の10月ぐらいからですが、井戸川さんと最初にあったのは2012年、取材が始まったのが2013年の冬だったと思います。もう当時は町長をやめてらっしゃって、そこから長い付き合いが始まりました」
室井「あの原発事故から10年以上経つんだね」
大竹「まず井戸川さんがどういう方なのか、ちょっとお話しいただけますか?」
日野「福島第一原発は大熊町と双葉町という2つの町にあって、その一方の双葉町の町長だった方です。事故前に当選して事故当時に町長をしていらして、この方に関して皆さんが覚えているかもしれないのは、2014年の4月だったと思うんですが、人気漫画『美味しんぼ』に実名で登場して、事故後に鼻血が止まらない、これは事故の被曝のせいなんじゃないかって漫画の中で告発したら、一斉に日本中からバッシングされたんです」
室井「その前に、線量を計ったら高いっていうんで、自分たちの町の住民を守ろうと避難したんですよね」
日野「そうです。2011年の3月の事故発生直後のことですね。避難指示が出た区域は12市町村あるんですけど、その中で唯一、福島県外に住民をつれて避難したのが、この井戸川さんです。その時は非常に英雄視されたんですよね。よくやったと、被爆から町民を守ったと、高い評価を受けたんですけど、わずかそれから3年後には、「風評被害だ」「福島復興を邪魔してる」というバッシングにあうんです」
大竹「もうちょっと詳しく知りたいんですが、井戸川さんは双葉町の町長さんをしていたと。で、原発事故が起こりました。その時に町民2000人を連れて、みんなと一緒に避難する。でも避難したところもダメだと言うんで、この2000人をもう一回、別の場所に避難させるんですよね。バスをチャーターしたり、いろんなことをしながら、町民を守ったと。そのときは、井戸川さんといえば、とても偉い双葉町の町長だとされた」
日野「そうですね、英雄だったんですよね、その時は。何しろ混乱のさなかで、国も県もドコに行けとかドコに避難場所を確保してるとか、そういう手配とか指示も全く無かったそうなんです。だから自分の独断で、知り合いとか、いろいろつてをたどって、『さいたまスーパーアリーナ』に空きがあるということで、なんとかそこに連れてったそうです」
大竹「ニュースにもなりましたね」
日野「他の首長さんたちが悪いと言うつもりはないんですけども、やっぱり日本の地方自治はかなり形骸化していて、国や県から「あーせい、こーせい」って言わないと何もできないっていうのが現実なんですよね」
室井「同調圧力」
日野「そう、それもあります。お金と人で縛られてますからね。でもその中でこの人は、国や県を頼っていたら被爆から町民を守れないってことで、自分の独断で埼玉まで町民を連れて行った。これは日本の地方自治としてはかなりすごいことだと思うんですよね」
大竹「その方が漫画で、鼻血が出たと言ったがために、取り扱い注意の人物になるわけですね」
日野「時の首相、官房長官、復興大臣総が総掛かりで、この人は科学的なことを言ってないとして、診察したわけでもないのに突然バッシングしだしたわけです」
その後も信念を曲げない井戸川さんの生き方とは?トークの続きはradikoのタイムフリー機能でご確認ください。
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