『不適切にもほどがある!』人気から考える、コンプライアンスのこれまでとこれから
3月7日「西川あやの おいでよ!クリエイティ部」(文化放送)、特集コーナーは「コンプライアンス」をテーマにお届けした。1986年を描くドラマ『不適切にもほどがある!』が話題を呼ぶ中、現代における、そしてこれからのコンプライアンスについて考えた。なお今回は中田花奈に代わり、火曜レギュラーの大島育宙(XXCLUB)が出演している。
西川あやの「(『不適切にもほどがある!』は)昭和の体育教師が令和にタイムスリップする設定で、いまの感覚だと不適切な表現が満載。お断りテロップがいつも流れるんですよ。『この作品には不適切なセリフや喫煙シーンが含まれていますが、時代による言語表現や文化、風俗の変遷を描く本ドラマの特性に鑑み、1986年当時の表現をあえて使用して放送します』と。だからバスの中でタバコを吸うとか……」
大島育宙「昔つくられた作品を再放送したりソフト化したりするときに出てくるテロップですよ。それを最新の作品なのにやっている、というボケなんです。本気でやっているんじゃなくて、クリエイティビティの部分なんですね。その部分でさえガチのテロップだと思っている人もいるし、『クドカン(宮藤官九郎)、周到なボケやってきたなあ』と思っている人もいる。その時点で見方が分かれている作品ではあるんですよ」
西川「あのテロップの解釈も人によって違うと?」
大島「だと思います。どのぐらいマジなのかというのは、見ている人によって大きく違うと」
西川「考えられた文章だとは思っていました。そもそもコンプライアンス(法令遵守)ですけど、法令だけでなく、社会的なルールとして守るべきものだとされている概念のことを指しているんですね」
大島「法令を守ること、という概念です」
西川「私たち、何が誰にとって不適切なのか、考えすぎてわからない時代になってきていると思うんですよ。何がコンプラ違反で、何がそうでないのか。入山さんもいろいろメディアに出られる中で、考えるんじゃないですか?」
入山章栄「考えるし、ちゃんとあるんですよ。制度理論という、社会学や経営学で有名な理論が。簡単にいうとこれ、『常識』じゃないですか。どれがやっていい常識、いけない常識、という線を引くことですね。でも僕の解釈だと、常識って人間が脳を楽にするための『幻想』なんですよ」
大島「ショートカットというかね」
入山「そう。で、人間の脳のキャパって限界があるから、『なんでこれはいいの? 悪いの?』っていちいちやっていたらキリがない。だからなんとなく『これはアウトです、セーフです』という常識をつくる、あるいは『普通はこうやるものです』というルールをみんな脳内でつくる。そうすると考えなくていいから楽じゃないですか」
西川「はい」
入山「たとえば就職活動のとき、みんな紺のスーツを着て、女性はポニーテールにしなきゃ、というのは、いちいち考えていたら面倒だから、なんとなく『こういうもんだよね』と、我々が決めているだけのもの。逆にいうと、ただの幻想だから、時代とともに変わり得るんですよ。これがポイントです。変わり得るけど正解はない。みんながなんとなく『こうだよね』と決めるものだから、いまみたいに複雑な時代になるとわかんないんですよ」
「西川あやの おいでよ!クリエイティ部」は毎週月曜~金曜の午後3時30分~5時45分、文化放送(AM1134kHz、FM91.6MHz、radiko)で放送中。radikoのタイムフリー機能では、1週間後まで聴取できます。
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