花粉症による経済損失は数兆円!?「組織の労働生産性とウェルビーイングの多様性」
様々な社会課題や未来予想に対してイノベーションをキーワードに経営学者・入山章栄さんが色々なジャンルのトップランナーたちとディスカッションする番組・文化放送「浜松町Innovation Culture Cafe」。
2024年2月19日、2月26日の放送では、株式会社Xemono代表・とりいめぐみさんと株式会社フェアワーク 代表取締役会長で、元参議院事務局・国土交通省東京航空局産業医・吉田健一さんにお越しいただき「組織の労働生産性とウェルビーイングの多様性」をテーマにトークを展開しました。最初は吉田さんが最近注目している”とある概念”について質問すると…
入山:まず、吉田さんが今注目している「プレゼンティーイズム」とは何でしょうか?
吉田:対になる「アブセンティーズム」と一緒に説明しますと、「アブセント」は英語で欠席・欠勤する。体調が悪くて休んでいるのが「アブセンティーズム」。これに対して、「プレゼンティーイズム」は、「会社に来ているけど、体調が悪い」という概念です。
入山:体調が悪いけど、会社に来ているのが、プレゼンティーイズムだと。
吉田:労働生産性が失われているということですね。産業医をやっていると、これを目にする機会がすごく多い。
入山:多くの場合は、会社に来ていない人がいると「あの人は体調悪いね」となるけど、無理やり会社に来ちゃってるから、体調や心がつらいとかが分かりづらいということですね。ここに日本は課題があるということですか?
吉田:精神科医療の目線で見て、会社に来ているけど、ぼーっとしている時間が長いとか、仕事上のミスが重なって周りから怒られてさらにパフォーマンスが悪くなるとか言うのはよくあります。
入山:とりいさん、ここまで吉田さんのお話、いかがですか?
吉田:むっちゃ分かります。一時期、いろんなところに転職しているんですけど、プレゼンティーイズムやってたなぁ~って。体調悪いし、仕事したくないし、会社行った瞬間「帰りてぇ~!!」ってなるんですけど、行かないと給料減るんですよ。すると、「家賃払えなくなると嫌だな」って思って、でも無理して行って…「自分働けていないなぁ」って分かってるんですよ。
入山:完全にプレゼンティーイズムですよ。
とりい:調子が悪いと、今までできていたことができなくなる。そうなると「自分、こんな感じじゃなったんだけどな」となるんです。環境を変えることで、ぼんやりしていたなって気づくんです。
入山:一見外見上、普通に働いているけど、心や体が相当ボロボロで、会社でなんとなく働いている人は相当いますね。
吉田:簡単なことで言うと、花粉症。これもプレゼンティーイズムが相当あると言われていて、すごく元気な状態を100%だとすると、花粉症がある人って、概ね97~98%の能力に数か月間なるんです。これを日本全国で考えると、経済的なダメージが数兆円になるだろうと。あとは、眼精疲労や肩こりや腰痛。女性で言えば、生理痛などもそうで、これらも大きな問題になっています。
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本日のお客様
とりい めぐみさん
大学卒業後、入社した株式会社花まるラボ(現「ワンダーラボ」)では幼児向けGooglePlay「ベスト オブ 2017」アプリ ファミリー部門入賞のパズルアプリ「Think!Think!」のデザイナーとして、複雑そうに見えるパズルを子どもたちにわかりやすく、また親しみやすい感じに設計。その後、ウェブメディア「電ファミニコゲーマー」で編集アシスタントに転職。さらにフリーのUXデザイナーを経て2019年に株式会社Xemono(くせもの)を立ち上げ。性格はとても良い。
吉田 健一さん
大学医学部卒業後、東京医科歯科大学精神科研修医を経て、千葉県精神科医療センター医長、千葉県がんセンター緩和医療科医長に就任。さらに2010年に医療法人社団・惟心会理事長に就任。2019年には、株式会社フェアワークを創業し、2021 年経産省後援「HR テクノロジー大賞」にて注目スタートアップ賞を受賞。2023年からは、オンライン社内診療所「フェアクリニックオンライン」をプロデュース。
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浜松町の路地裏にひっそりと佇むカフェ「浜松町Innovation Culture Cafe」 経営学に詳しいマスターが営むこのお店には、様々なジャンルのクリエ…