『大垣尚司・残間里江子の大人ファンクラブ』 定期預金金利がお得な感じ…落とし穴は?
情報番組「大垣尚司・残間里江子の大人ファンクラブ」では、残間里江子さん(フリープロデューサー)と、大垣尚司さん(青山学院大学教授、移住・住みかえ支援機構代表理事)が、お金や住まいの話を中心に、大人世代のあれこれを語ります。
この連載は、番組内の人気コーナー「おとなライフ・アカデミー2023」の内容をもとに大垣さんが執筆した、WEB限定コラム。ラジオと合わせて、読んで得する家とお金の豆知識をお楽しみください。
★メールまとめ
これまでのゼロ金利に比べると、銀行定期預金の金利がかなりお得に見えます。何か落とし穴はありませんか?
★メール本文
最近、定期預金の金利が上がってきたようです。
キャンペーン金利ではない、普通の定期預金でSBI新生銀行の5年物は年0.35%(2023年10月時点。2024年2月現在は0.55%)。
元本保証で金利を諦めれば途中解約も可能。
いままでの金利がウソのようです。
これ、なにか落とし穴のような注意事項は無いのでしょうか?
お教えください。
(足立区 北千住実篤 さん)
とはいうものの、「0.35」
これまでがウソのよう、とはいうものの、0.35ですからね。昔は3.5、なんてのがいくらでもありました。購入をお考えなら、以前もご紹介したことがありますが、個人向け国債という選択肢もあります。手数料がかからず、銀行で簡単に買えますが、5年ものの金利が最近で0.33あります(2023年10月時点。2024年2月現在では0.25)。比較した時点で差がないのなら、より安全度の高い国債をお考えになるのも良いかもしれません。
5年の間、お金を寝かせられるなら…
銀行は、企業に5年、お金を貸すときには1%以上の金利を取ります。だから0.35というのは十分儲かる数字なんです。だから、もうちょっと高くてもいいんじゃない? というレベルです。でも全部が全部、そんな数字ではないと思います。5年もの、っていうところがポイントで、その間、預ける側はずーっとお金を寝かせておかなければならない。そういう意味ではこれぐらいは普通の金利で、落とし穴はないですね。場合によっては個人向け5年物国債のほうが高い金利、ということも十分考えられますので、定期預金をお考えなら、個人向け国債の金利と比較するクセをつけておくといいかもしれません。銀行の金利は、意外に低い…と、覚えておいていただければ。
円安をいつまでも続けていいのか
この番組がスタートした10年ちょっと前から、政府による「株買え」攻撃は続いてます。でも当時、乗せられて買っちゃった人は、けっこう下がっちゃって大変だったんです。毎年20%ぐらい株が下がっていましたからね。僕らは当時は「なんで政府に乗せられて株を買うんですか?」と言っていたように記憶しています。デフレのときは、お金はタンスに入れておくほうがいいですよ…って。
でもさすがに、このところはずっと上げ調子ですし、やはりそんなにゼロ金利を続けるわけにはいきません。これは日本だけで、外国と差が開いていけばいくほど…ほかの国の金利より日本が低ければ低いほど、円安になってしまいます。だいたい150円くらいのところでキープしておかないと。
輸出企業は儲かってて、税収も増えていますが、普通の人、僕らはあまり円安が進みすぎると困ります。だから金利も、ちょっとずつ、ちょっとずつ上がっていくんだろうとは思いますが…それにしても0.35は低いですね。
オトナ世代は待ってられない
この番組の前の担当だった水谷アナウンサーが、何も投資はやっていないと言ったら、30ぐらいの若い人に「やってないんですか! 昭和ですね~」とあきれられたそうです。確かに若い世代の人は、今からやっていれば50、60になったら上がってるでしょうけど、僕らは今から始めても、そんなに待っていられないので。「ホントは床下に埋めておきたい。0.35とか、なんだかわかんないし、メンドクサイと思っちゃう」という残間さんの言葉も、十分理解できます。
今日は「定期預金の金利」について考えてみました。
メールをお寄せいただき、ありがとうございます。
大垣尚司 プロフィール
青山学院大学 法学部教授、一般社団法人 移住・住みかえ支援機構代表理事。
第一線で培った金融知識をもとに、住宅資産の有効活用を研究・探究する、家とお金のエキスパート。
東京大学卒業後、日本興業銀行、アクサ生命保険専務執行役員、日本住宅ローン社長、立命館大学大学院教授などを経て、現在、青山学院大学法学部教授。
2006年に「有限責任中間法人移住・住みかえ支援機構」(現、一般社団法人 移住・住みかえ支援機構)の代表理事に就任。
日本モーゲージバンカー協議会代表理事を兼務。著書に『ストラクチャードファイナンス入門』『金融と法』『49歳からのお金ー住宅・保険をキャッシュに換える』『建築女子が聞く 住まいの金融と税制』など。
家とお金に関するご質問、お待ちしてます
番組では、家とお金にまつわるメールやご質問をお待ちしています。
宛先は、otona@joqr.netまで。
※この記事で掲載されている情報は全て、執筆時における情報を元にご紹介しています。必ず最新の情報をご確認ください。
お知らせ
パーソナリティの一人である大垣尚司さんが代表理事を務める一般社団法人「移住・住みかえ支援機構」(JTI)では、賃貸制度「マイホーム借上げ制度」を運用しています。
住まなくなった皆さまの家をJTIが借り上げて、賃貸として運用。
入居者がいない空室時でも、毎月賃料を受け取ることができます。
JTIは非営利の公的機関であり、運営には国の基金が設定されています。
賃料の査定や、ご相談は無料。資格を持ったスタッフが対応いたします。
制度についての詳しい情報は、移住・住みかえ支援機構のサイトをご覧ください。
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この記事の番組情報
大垣尚司・残間里江子の大人ファンクラブ
土 6:25~6:50
楽しいセカンドライフを送るためのご提案などがたっぷり! 金融・住宅のプロフェッショナル大垣尚司と、フリープロデューサー残間里江子が 大人の目線でお届けします。…