『大垣尚司・残間里江子の大人ファンクラブ』    円安が続く理由は…

『大垣尚司・残間里江子の大人ファンクラブ』    円安が続く理由は…

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情報番組「大垣尚司・残間里江子の大人ファンクラブ」では、残間里江子さん(フリープロデューサー)と、大垣尚司さん(青山学院大学教授、移住・住みかえ支援機構代表理事)が、お金や住まいの話を中心に、大人世代のあれこれを語ります。

この連載は、番組内の人気コーナー「おとなライフ・アカデミー2023」の内容をもとに大垣さんが執筆した、WEB限定コラム。ラジオと合わせて、読んで得する家とお金の豆知識をお楽しみください。

★メールまとめ
昨今の円安、根本的な要因はどこにあるのでしょう。

★メール本文
ガソリンが高いのも、パンが値上げされるのも円安が
原因ですよね。
以前は、日米の金利差が、と言われていたようですが、
金利差だけでこんなに長く円安が続くものなのでしょうか?
預金が海外に逃げているとか
企業が海外でのもうけを日本円に戻さないとか、
もっと基本的な構造的原因があるように思いますが如何でしょう。
(千葉市 ゆういち さん(55歳))

確かに金利差の問題もある

確かに、ちょっと前までは1ドル110円くらいだったのが、今はもう150円くらいになってます。理由の一つは、確かに金利差の問題があると思います。日本は意図的に下げてきていたので、それで差がついていたのも確かです。
それでも、この間まで0だったのを、0.5ぐらいまで上げて、それで大騒ぎになりました。
日銀の総裁のお話を聞いていると、万が一のときは1%ぐらいを上限にして、これを超えたらさすがに何かしましょうと。感覚的にはそこは超えない、安全ラインみたいに決めていましたが、もうそこにひゅーっ…って近づいてるのが現状です。金利差は少しずつは狭まっていますけど、やっぱりドルも上がっていくので、あまり縮まりません。テレビではそんなお話をよくされていますよね。

円安には別の側面もある

でも、私は円安には別の側面もあると考えています。OECDが2060年くらいまでの各国の成長予想を行ってます。これは2種類あって、一つは為替からみてどうなるか、というもの。もう一つは、同じものを買うのに、それぞれの通貨をどれくらい払わなければいけないか、という実力ベースのもの。
これを見ると、本当にシュン…としてしまいます。アメリカは、やっぱりすごくて、どちらの予想でもちゃんと右肩上がり。それから、中国はちょっと遅れて、しんどいところもあるけど、やっぱり成長していきます。それから、インドも、まあ、上がっていきます。
でも他の国は、定規で横に引いたみたいに、ずーっと平行線。
そして日本は…ちょっと右肩下がりなんです。この国力の差というものが、もう定着しちゃってます。感覚的には、150円ならまだいいかも、と私なんかは思ってしまいます。

日本の国力はさらに下がっていく

いまでも輸出企業は儲かってますけど、それでも昔のように日本からの輸出が圧倒的に強い、という品目がなくなってきていますよね、せっかく円安になっても、どんどん輸出が伸びるようなものが、見当たらない。
昔だと自動車が、そんな存在でした。80年代の中ごろ、ロサンゼルスに行けば、走ってるのがほとんど日本車になっているような時代がありました。今はそんな存在がありません。
EUと比べるとどうでしょう。一つ一つの国は、数字だけ見るとたいしたことないかもしれません。でも、そうは言っても先進国が集まってますよね。
これに対して日本は、たった一国。なおかつ中国や北朝鮮という難しい国が隣に控えています。経済評論家ではないので、はっきりしたことは言えませんが、肌感覚では、まだこれから国力が低下していくという想定で、いろんなことの意識をしておいた方がいいのではないかと思います。学生たちも、海外に働きに行きたいというケースが、最近では増えてきています。

大垣尚司 プロフィール
青山学院大学 法学部教授、一般社団法人 移住・住みかえ支援機構代表理事。

第一線で培った金融知識をもとに、住宅資産の有効活用を研究・探究する、家とお金のエキスパート。

東京大学卒業後、日本興業銀行、アクサ生命保険専務執行役員、日本住宅ローン社長、立命館大学大学院教授などを経て、現在、青山学院大学法学部教授。
2006年に「有限責任中間法人移住・住みかえ支援機構」(現、一般社団法人 移住・住みかえ支援機構)の代表理事に就任。
日本モーゲージバンカー協議会代表理事を兼務。著書に『ストラクチャードファイナンス入門』『金融と法』『49歳からのお金ー住宅・保険をキャッシュに換える』『建築女子が聞く 住まいの金融と税制』など。

家とお金に関するご質問、お待ちしてます
番組では、家とお金にまつわるメールやご質問をお待ちしています。
宛先は、otona@joqr.netまで。

※この記事で掲載されている情報は全て、執筆時における情報を元にご紹介しています。必ず最新の情報をご確認ください。

お知らせ
パーソナリティの一人である大垣尚司さんが代表理事を務める一般社団法人「移住・住みかえ支援機構」(JTI)では、賃貸制度「マイホーム借上げ制度」を運用しています。

住まなくなった皆さまの家をJTIが借り上げて、賃貸として運用。
入居者がいない空室時でも、毎月賃料を受け取ることができます。
JTIは非営利の公的機関であり、運営には国の基金が設定されています。

賃料の査定や、ご相談は無料。資格を持ったスタッフが対応いたします。

制度についての詳しい情報は、移住・住みかえ支援機構のサイトをご覧ください。

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大垣尚司・残間里江子の大人ファンクラブ

大垣尚司・残間里江子の大人ファンクラブ

土 6:25~6:50

楽しいセカンドライフを送るためのご提案などがたっぷり! 金融・住宅のプロフェッショナル大垣尚司と、フリープロデューサー残間里江子が 大人の目線でお届けします。…

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