「殺してやる」子供の頃に遊んだ道で人々が叫ぶ…反レイシズムのフリーライターが新大久保ヘイトデモを語る
レイシストに対抗する様々な著書を発表されているフリーライターの加藤直樹さんが2月9日の大竹まことゴールデンラジオに登場。関東大震災時の朝鮮人虐殺事件について書かれた著書から、この問題との接点を伺った。
大竹「加藤さんの本、『九月、東京の路上で 1923年関東大震災ジェノサイドの残響』は、いつ出たんですか?」
加藤「ちょうど10年前ですね」
大竹「加藤さんが、こういう問題を考えはじめたのは、いつ頃からですか?」
加藤「この朝鮮人虐殺のことを考え始めたのは、2000年に石原慎太郎元都知事が三国人発言をしましたよね。地震が起きたら外国人が暴動を起こすから、自衛隊が出動して鎮圧しなきゃいけないんだと、そういうことを言ったんですよね。それを聞いた時に、そんなことがあるだろうかと思って、それから自分で調べ始めて大変な問題だと考えるようになりました」
大竹「加藤さんは、新大久保で生まれ育ったそうですね。焼肉屋さんがたくさんあって、そういう場所で、今でもそうですね」
加藤「大久保に生まれ育ってよかったなと思うのは、本当に東京らしい街なんですよね。郊外だと、もともとこの辺りはこの人たちの場所だ、みたいなのがあるじゃないですか。元々の人とよそ者がいる。ところが大久保って、みんなよそ者なんです。ウチもそうですし、みんな外から来た人たちだから、いろんな人がいるんですけども、誰が主人公というのはない。本当に都会らしい都会で、今みたいな韓流タウンになったのって結構最近なんです。僕が若い頃は、新宿の外縁で、飲み屋がたくさんあって、中国人の知り合いが屋台風の料理の店を出したりとか、そういう感じだったんですね。僕はとてもそういうところで育ってよかったなと思ってました。」
大竹「この問題との繋がりは、どうですか?」
加藤「この問題と繋がったのは、子供の頃クラスに大体1人や2人は、キンくんとか、リーくんとか、コウさんとか、いたんですよね。だから在日の子がいるのが普通で、そういう背景、記憶がありました。それで、もう今はだいぶ小さくなってきましたけれども、ちょうど10年前ぐらい前に大久保でヘイトデモがすごい盛んに行われたんですね。」
大竹「大久保のヘイトデモってどういうものだったんですか?」
加藤「レイシストの人たちが、朝鮮人は出て行けというようなことを言いながら練り歩くんですよ。それを毎月2回やってたんです。僕はネットでその動画で見て、子供の頃に遊んでた路地裏とかで「殺してやるから出てこい」とか叫んでるんです。「叩き殺せ」って言ってるのが友達のお父さんがやってたパチンコ屋の前だったりするわけです。それで本当に頭来ちゃって、これはなんかしなきゃいかんと思って、とにもかくにも、その後、抗議行動に参加したりとかして、その中で朝鮮人虐殺のことをちゃんと思い出してもらわなきゃなと思ったんですよね。」
室井「とにかくデモは本当にひどかったよね。町内を練り歩いて「出てけって」大声あげて」
大竹「加藤さんのおっしゃった、石原慎太郎発言は大きな影を落としていますね。加藤さんはどういう影響を受けましたか?」
加藤「あの発言を聞いた時は最初に、あれ?関東大震災の朝鮮人虐殺はこういう話から始まったんじゃなかったっけなと思ったんですよね。でも全くその頃、知識がなかったんですよ。それで自分で調べてみたら、これはそんなの簡単な事件じゃない、とんでもない大きな事件だし、忘れられてはいけない事件だと思ったんですね。そして石原発言がどうしてダメなのか、恐ろしいことなのかということが分かるようになってきて、それで関東大震災時の朝鮮人虐殺について調べ始めたんですね。石原慎太郎元都知事は、上から外国人が暴動を起こすに違いないといった流言を発したわけです。この間の能登半島地震でも、外国人が窃盗しているというような流言がありましたけれど、災害の時って必ずマイノリティが何か悪さを押し出すという流言を広める人が出てくるんですよね。それをいかに広げないようにするが大事なのに、都知事がそういうことを上から言ってしまったわけです。しかも自衛隊を出せと言って、このまま放置してはとんでもないことになるなと思ったんですね。そういったことが石原発言から自分が受け取った問題意識でしたね。」
「大竹まこと ゴールデンラジオ」は午後1時~3時30分、文化放送(AM1134kHz、FM91.6MHz、radiko)で放送中。 radikoのタイムフリー機能では、1週間後まで聴取できます。
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