新技能実習制度「選ばれる国へ」では衰退産業の職場環境改善にならない!?
2月6日の「おはよう寺ちゃん」(文化放送)では、火曜コメンテーターで上武大学教授の田中秀臣氏と番組パーソナリティーの寺島尚正アナウンサーが、技能実習に代わる新制度の方針案について意見を交わした。
職場環境改善のためには日本人の雇用促進に注力するべき!
政府は技能実習に代わる新制度の方針案を自民党の委員会に示した。現在は原則認めていない転職の要件を緩和する。
本人の意向による転職を制限する期間を、業種ごとに就労1年から2年の間で設定できるようにする。関係閣僚会議の決定を経て、今国会への関連法案の提出をめざす。
転職制限を巡っては、政府と緩和への慎重論が根強い自民党の間で調整が難航した。人材流出を懸念する地方の事業者などへの配慮を追加し、党側が了承した。新制度の育成就労は人材の育成と確保を両立させるのが目的。
「外国人材へ選ばれる国へ半歩進むことになるということですが、田中さんこれはどうご覧になりますか?」(寺島アナ)
「技能実習制度は、簡単に言うと衰退産業を支えるために外国の人たちを低賃金やブラックな環境で雇用し続けることが社会問題化したわけです。今回はマスコミ受けするように“選ばれる国になるように新制度に改める”と言ってますけど、基本的には外国の人たちが衰退産業を支えるための捨て駒にする発想ですよね。“これは人道的にもどうなのか?”という発想が根強くあると思います。日本経済全体で経済成長が安定化すれば、新陳代謝の活発化は不可避だと思います。これは経済のノーマルな動きなので否定できなくて、そこら辺はある程度は申し訳ないですけど外国の人たちを活用するのではなくて、自ら新しいビジネスで生き残ってほしいと思います」(田中氏)
新制度の育成就労は、三年間の就労を認めるものでその間により技能レベルの高い「特定技能1号」の水準に育てることを目指す。その後の試験を経て熟練労働者である「特定技能2号」になれば、制限なく在留資格を更新でき家族体動も可能になる。条件を満たせば永住権も申請できるほか、高度専門職に以降もできる。
「“選ばれる国”って本当に甘い言葉で外国人労働者を都合の良い形で雇用していく思惑ですが、本当に人手不足が深刻な業界、たとえば福祉介護関係や建築などで長期的に人材育成をするのであれば国内人材の労働力を安定的に活用していく仕組みの方が優先ではないでしょうか? 外国人労働へのシフトはバブル期にもかなり進んでいたんです」(田中氏)
田中氏は衰退産業の職場環境を改善するためには日本人の雇用を促進するべきと指摘。
「経済が安定するとこういった問題が再燃してくるのかな? と思います。マスコミや財界は率直に言って人権無視した状態で衰退産業を補填するために外国人労働者を導入するやり方を取っていますが、それはおかしいです。職場の環境を向上させるためには人手不足を活用して日本人の雇用を促進して職場の改善をしていく、そういうことに注力するべきだと思います。どうも安易な方向に流れていってる様な気がしますね」(田中氏)
「まずは国内からってことですよね?」(寺島アナ)
「まさにそうです! こんな複雑な制度を作って外国の人たちによく分からないハードルを課すよりも、国内で働いている日本人の雇用を改善していく方向で財界も政界も考えるべきなのですが、そこら辺が安きに流れる形ですかね」(田中氏)
「考えようによっては、海外で人材の取り合いをしているようなものですよね」(寺島アナ)
「これも非常に誇張されてますよね。海外人材を衰退産業の人手不足に補填するための美名として“世界の人材獲得競争が活発化している”と言ってますが、これは“技能の非常に高い専門職の人たちの人材獲得競争が激しくなった”という話なんで、“未熟練的な労働者がこれから技能を高めていく”という人材獲得競争が過熱してるという話はあまり聞かないです。だからマスコミも一緒になって外国人労働者を、自国の都合の良い形で、時には人権を無視する形で活用していく社会的な流れはストップかけないといけないと思います」(田中氏)
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