『大垣尚司・残間里江子の大人ファンクラブ』 100年住宅、建てただけでは100年住めないって本当?
金融・住宅のプロフェッショナル大垣尚司(青山学院大学教授)さんと、フリープロデューサー残間里江子さんが、楽しいセカンドライフを送るためのご提案をお届けする番組『大垣尚司・残間里江子の大人ファンクラブ』。
この記事では、「大人ファンクラブってどんな番組?」という方のために、コーナー「大人ライフ・アカデミー」をもとに作成された大垣さんのレポートをお届け。ラジオとあわせてもっと楽しい、読んで得する「家とお金」の豆知識です。
2020年12月26日の放送は、「家を長持ちさせたい」と考えている3人のリスナーからのメールをご紹介。そもそも、家を長持ちさせるとはどういうことなのでしょうか。100年住める家に、本当に100年間住み続けるための極意について、家の専門家である大垣さんが語ります。
_______________________________________
●家のケアには悩みがいっぱい。耐震工事ってどこに相談したらいい?
今年もたくさんお便りいただいてありがとうございました。今回は家のケアについてのお便りがいくつか来ていたので、それぞれについて答えてみました。
まず一つ目は、千葉県印西市のヒロシさんからいただいたお便り。「家の耐震工事をしたいのですが、どこに相談したらいいですか」というもの。
情報収集先で一番いいのは、(一般財団法人)日本建築防災協会が運営している「耐震支援ポータルサイト」です。
「耐震改修工事の施工可能な事業者」というメニューから、お住まいになっている地域で耐震工事を行なっている事業者の一覧を都道府県別に見ることができます。
それから、地域によっては、自治体や県で独自の「耐震支援ポータルサイト」を運営している場合もあります。自治体独自の補助金や相談窓口などについて記載されているので、ぜひそちらも検索してチェックしてみてください。
●家を長持ちさせたい。長持ちする家ってどういう家?
もう一ついただいている質問が、長持ちする家についてです。これは二人の方からいただきました。
千葉県船橋市のスーパーキャットさんからは「最近一戸建てを購入しました。家のメンテナンスにかかる費用をどれぐらい見ておけばいいですか。また、どういうふうにメンテナンスをしていけばいいですか」ということです。
それから、横浜市緑区の北車線60度さんからは「マンションの耐用年数は50年程度なのに、最近は木造の100年住宅があるようですね。どちらのほうが長持ちするのでしょうか」
というような質問をいただきました。
北車線60度さんの質問は面白いですよね。確かに、例えば大手町にあるビルで、30年以上、つまり1990年より前からずっと建っているビルなんて皆無に近いですが、一方で、法隆寺は1000年もっています。耐久性は大手町のビルのほうがありそうですよね。
●「長持ちしている家」には二種類あります
実は、長持ちする家というのには、「物理的に長持ちする家」と、「手をかけているから長持ちする家」の二つがあるんです。
たとえば、私の祖父の家は京都にあります。別に頑丈な造りをしているわけではないですが、建て替えなどもせず、長持ちしています。
それはなぜかというと建てた大工さんが三代にわたって家を気にかけてくれているから。もうお孫さんの代なんですが、そのお孫さんももう還暦を迎えているぐらいの、何十年という期間です。
近くを通るたびに家を点検してくれて、必要であれば直してくれる。そうやってこまめに気にかけてくれる専門家の存在によって、家は長持ちしていきます。
「100年住宅」なんてものがありますよね。100年住宅を建てたからといって、メンテナンスを何もしなくても100年住めるかというと、そうではない。たとえば水回りが100年持つなんてことはありえないですからね。
小まめなメンテナンスを重ねていくことで、100年住宅は100年住み続けられる住宅になっていくわけです。
●家を持たせていくためのシステム作りとは?
もちろん、私の祖父の家のようにいい大工さんに代々目をかけてもらうというのは、今はもう難しいですよね。
ただ私は、そういう「目配り」を、国の主導する公益的なシステムとして作ることができるのではないかと考えています。
政府は現在、100年持つ住宅を国民に建てて欲しいと考えていますが、先ほど申し上げた通り、100年住宅は何もしなくても100年持つわけではない。
ですから、本当は、住宅を100年持たせるための「目配り」のような環境づくりも同時に整えていかなければならないんですよね。
最近はこの重要性が語られる機会が増えてきました。ぜひ、目配りのシステムが作られていってほしいな、と思っています。
●個人レベルでは、どうやって家を長持ちさせる?
さて、国のレベルではそういう制度づくりが必要なのですが、では個人レベルではどういう対策が取れるかというと、これはやっぱり、建てられた建築会社さんとよくコンタクトを取られるということですね。それから、面倒くさくても時々は点検をしてもらう。これに尽きると思います。
家はモノではなくて生き物だというふうに考えて、ケアしていく、守っていく。そういうふうに考えたほうがいいのかなと最近は思い始めています。
そんなわけで今回は、家を長持ちさせるための考え方についてお話ししました。
_______________________________________
大垣さんが代表理事を務める「移住・住みかえ支援機構(JTI)」では、国が保証している安心・安全の賃貸制度「マイホーム借上げ制度」を運用しています。マイホームをJTIが借り上げ、空室時も賃料をお支払い。第二の年金として家を活用できます。
コロナ後の新しい暮らしに、ぜひマイホーム借上げ制度のご利用をご検討ください。
マイホーム借上げ制度についての詳しい情報は、移住・住みかえ支援機構のサイトをご覧ください。
関連記事
この記事の番組情報
大垣尚司・残間里江子の大人ファンクラブ
土 6:25~6:50
楽しいセカンドライフを送るためのご提案などがたっぷり! 金融・住宅のプロフェッショナル大垣尚司と、フリープロデューサー残間里江子が 大人の目線でお届けします。…