『大垣尚司・残間里江子の大人ファンクラブ』 空き室でも賃料を保証してくれる新しい賃貸制度。使用の条件とは?
金融・住宅のプロフェッショナル大垣尚司(青山学院大学教授)さんと、フリープロデューサー残間里江子さんが、楽しいセカンドライフを送るためのご提案をお届けする番組『大垣尚司・残間里江子の大人ファンクラブ』。
この記事では、「大人ファンクラブってどんな番組?」という方のために、コーナー「大人ライフ・アカデミー」をもとに作成された大垣さんのレポートをお届け。ラジオとあわせてもっと楽しい、読んで得する「家とお金」の豆知識です。
2020年11月28日の放送は、リスナーメールをご紹介しました。(一般社団法人)移住・住みかえ支援機構(JTI)が提供している賃貸制度「マイホーム借上げ制度」を利用 しようとしたタカさんは、制度の条件に家が適合せず断念したのだとか。空き室でも賃料を保証してくれるこの制度、一体どんな利用条件があるのでしょうか。大垣さんが詳しく解説しました。
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●JTIの提供する賃貸制度「マイホーム借上げ制度」、利用 の条件は?
今回の放送では、「移住・住みかえ支援機構(JTI)」の提供する賃貸制度である「マイホーム借上げ制度」について、利用の条件についてお話ししました。
この制度は、私が代表理事を務めている「移住・住みかえ支援機構(JTI)」の制度です。
皆さまの住まなくなったマイホームを賃貸物件としてJTIが運用し、空室時も賃料をお支払いするシステムです。
家を手放すときというのは、売却か賃貸かの選択肢があるかと思うのですが、賃貸では借り手がつかないリスクがあるし、売却ではほとんど値段がつかないことが多いですよね。
その悩みを「マイホーム借上げ制度」なら解決できます。何年か継続して制度を利用していくうちに、賃貸収入が売却したときの値段を超えることもかなり多いです。さらに土地の所有権はずっと自分にあるわけですから、売却するより賃貸に出すほうがお得ですよね。
私が言うのもなんですが、住み替え先が用意できる人には非常に役立つ制度なのではないかと思います。
ちなみにJTIの運用にあたっては国が基金を設定していますので、万が一のことが起きたときにも賃料支払いはお約束できます。
●「マイホーム借上げ制度」を利用できなかったリスナーからのお便りが・・・
さて、今回の放送ではリスナーの「タカさん」からお便りをいただきました。
タカさんはマイホームをお持ちで、「マイホーム借上げ制度」の利用を検討されていたそうなんですね。それで、色々JTIに相談した結果、残念ながら今の時点で制度を利用するのは難しい、ということになったそうなんです。
タカさんからは、制度利用の条件について詳しく教えてほしいということでした。
そういうわけで今回は「マイホーム借上げ制度」を使うことが難しい人の条件についてお話ししたいと思います。
●耐震性の低い家をお持ちの方は、そのままでは賃貸に出せません
まずは、お持ちの家が今の建築基準に適合するレベルの耐震性を備えているかどうかです。
移住・住みかえ支援機構は、国の基金が設定されていることもあり、耐震性についてはゼロ審査というわけにはいきません。
日本では1981年に法改正があり、耐震基準が大きく向上したのですが、それよりも以前にお建てになられた家については、耐震工事をお願いするケースが多いです。
ちなみに、1981年以前の耐震基準のことを「旧耐震基準」と呼びます。
2020年に建てられた家が持っている耐震性を10だとすると、旧耐震の耐震性は、だいたい感覚的に言うと3程度。
具体的にいうと、旧耐震基準で定められている基準は、「震度5程度の地震を受けても倒壊または崩壊がない」というだけなんです 。震度6以上の地震が起きた場合については想定がなされていません。
ですから、JTIでは、旧耐震の家については必ず耐震診断を受けていただくようにお願いしています。
ちなみに、耐震基準は1981年のあと、2000年にもまた厳しくなっています。耐震基準には三つの基準があるわけです。1981年から2000年の間の耐震基準を「新耐震基準」、2000年以降のものを「新新耐震基準」と呼びます。
新耐震基準で建てられた家の耐震性は、2020年に建てられた家が持っている耐震性を10だとすると、感覚的には7程度です。私個人としては、できればこの期間に建てられた家についても耐震工事をしてもらったほうが安心だな、とは思います。
●耐震工事が必要と言われた! でも、お金はどれぐらいかかる?
耐震工事をお願いする、と言われると、気になるのが工事にかかる費用ですよね。
残念ながらこの工事、家によってはかなり高くついてしまうことがあります。
冒頭で、「賃料収入が売却したときの値段を上回ることもある」というお話をしましたが、耐震工事をしている上で、家賃が低い物件だと、賃料収入で工事費用の元を取るのに、何十年という期間がかかってしまうこともあります。
メールをいただいたタカさんの場合もまさにこういうケースでした。かなり長い期間賃貸に出せば費用は回収できるけれども、どうするかということで迷われた結果、今回は制度の利用を断念なさったということですね。
というわけで、81年以前に建てられた家をお持ちの方で、制度を利用されたい場合は、ご自分の家の耐震性についてまず確認いただくことが必要になります。
ちなみに、耐震性さえクリアしていれば、築年数は40年ぐらい経過しているものでも全く問題なく借り上げられることが多いですよ。
●家をお持ちの方はご確認を! 「建築確認済書」、お持ちですか?
ところで皆さん、ご自分の家が何年に建てられたかを証明するための書類があることをご存じですか。
「建築確認済証(建築確認通知書)」という名前で、家を建てられた時に皆さん受け取られているはずです。
この書類、実は再発行がかなり難しいので、ご自分できちんと分かる場所に管理しておくことがとても重要です。
自治体でも管理をしているのですが、保管の基準があるわけではないので、自治体によってはある程度期間が経過すると廃棄してしまったりするんですね。そうすると、再発行をすることは不可能になります。
そのため、おおよその建築年数を把握するために、建物診断を依頼する必要が出てきます。これはなかなか面倒ですから、書類を最初から無くさないのに越したことはありません。
記事をお読みの方で家をお持ちの方は、ぜひこの書類をお持ちかどうか確認してみてください。
というわけで今回は、マイホーム借上げ制度を利用する条件についてお話ししました。
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大垣さんが代表理事を務める「移住・住みかえ支援機構(JTI)」では、国が保証している安心・安全の賃貸制度「マイホーム借上げ制度」を運用しています。マイホームをJTIが借り上げ、空室時も賃料をお支払い。第二の年金として家を活用できます。
コロナ後の新しい暮らしに、ぜひマイホーム借上げ制度のご利用をご検討ください。
マイホーム借上げ制度についての詳しい情報は、移住・住みかえ支援機構のサイトをご覧ください。
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この記事の番組情報
大垣尚司・残間里江子の大人ファンクラブ
土 6:25~6:50
楽しいセカンドライフを送るためのご提案などがたっぷり! 金融・住宅のプロフェッショナル大垣尚司と、フリープロデューサー残間里江子が 大人の目線でお届けします。…