宮崎駿の『風立ちぬ』『君たちはどう生きるか』に通ずるアニメーションドキュメンタリーの世界
「おとなりさん」(文化放送)のゲストコーナー「10時のおとなりさん」の1月10日のゲストに、株式会社ニューディアー代表・アニメーション映画祭ひろしまアニメーションシーズンプロデューサーの土居伸彰さんが登場! 個人的な世界を描くアニメーションドキュメンタリーとは?
鈴木おさむ「今の日本はアニメを前に出してエンタメを進める状況ですが、日本のアニメって世界でどう思われているんですか?」
土居伸彰「日本では、日本のアニメってすごくメインストリームですけど、海外では“オタク的な人たちにとっての、メインストリーム以外の拠りどころ”になっているので熱がすごいんです」
鈴木「宮崎駿監督の映画『君たちはどう生きるか』が“アカデミー賞の長編アニメーション賞を獲るんじゃないか”と言われてますが、土居さんの事前アンケートでは宮崎駿監督のアニメ『風立ちぬ』がお好きだそうで」
土居「そうなんです」
鈴木「宮崎駿監督といえば、どうしても初期の作品から『千と千尋の神隠し』くらいまでを好きと言う人がすごく多いですけど、僕も『風立ちぬ』好きなんですよ。土居さんは、どんなところが好きなんですか?」
土居「“アニメーションは個人的に観た世界を描く”と言われていますが、世界では“アニメーションドキュメンタリー”というジャンルもあるんです」
鈴木「へー! 知らないなー」
土居「アニメーションでドキュメンタリーを作るって矛盾しているように思えますよね。実写のドキュメンタリーは撮影した記録しか素材がないですが、アニメーションドキュメンタリーは映像や記録が残っていない災害の犠牲者にインタビューして映像化できます。『風立ちぬ』はそういうタイプの作品に思えたんです。零戦を設計する男の人生をすごい勢いで駆け抜けてそこに夢の世界が入ってきて、宮崎駿らしいロジカルじゃない個人的な世界を味わえるんです。こういった作品を宮崎駿が作ってヒットするのがすごいと思っています」
鈴木「こないだ『プロフェッショナル』で『君たちはどう生きるか』のドキュメンタリーやってましたけど、あれこそ自分が苦悶していることを全部アニメにしていて。アニメとドキュメンタリーって本当は並び立たないはずですけど、言われてみると“宮崎駿の想いと闘う姿を作品にしたドキュメンタリー”という考え方もできますよね」
土居「近年の宮崎駿ってビジュアル先行というか、『千と千尋の神隠し』以降の作品は物語を語るというより、頭の中にある奔放なイメージを出して宮崎駿監督の頭の中をのぞける感じなので、個人作家さんに近いことをやっていると思います」
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