『大垣尚司・残間里江子の大人ファンクラブ』 婚活を通じて少子化克服に貢献したい
情報番組「大垣尚司・残間里江子の大人ファンクラブ」では、残間里江子さん(フリープロデューサー)と、大垣尚司さん(青山学院大学教授、移住・住みかえ支援機構代表理事)が、お金や住まいの話を中心に、大人世代のあれこれを語ります。
この連載は、番組内の人気コーナー「おとなライフ・アカデミー2023」の内容をもとに大垣さんが執筆した、WEB限定コラム。ラジオと合わせて、読んで得する家とお金の豆知識をお楽しみください。
今回は特別編。婚活業界のトップランナー、 株式会社IBJ代表取締役 石坂茂さんをゲストにお迎えした、10月14日放送のダイジェストをご紹介します!
(石坂茂さん プロフィール)
・東京・浅草生まれ。五代目の「江戸っ子」。
東京大学経済学部卒業後、日本興業銀行に入行…
つまり大垣さんの「かわいい後輩」(大垣さんより12歳年下です)。
2001年、株式会社ブライダルネット代表取締役社長。
日本で初めてネット専業で結婚情報サービスを展開。
2006年、株式会社IBJを設立。
2012年東証JASDAQ上場、2015年東証一部。
2022年にIBJで結婚したカップルは11,921組。
これは年間婚姻組数の2.3%に当たります!
IBJは「日本興業銀行」から!?
石坂 50組に1組以上はIBJが創出しているカップルということですね。
大垣 ところで日本興業銀行って、The Industrial Bank of Japanっていって、IBJだったの。
水谷 偶然ですか!?
石坂 IBJ日本興業銀行がなくなってしまうタイミングで…
水谷 寂しくて?
石坂 いえいえ、名前がちょうどいいから拝借したんです。こちらはIT Bridal network of Japan。
大垣 ITなんだ。
石坂 そうですね。2000年代というのは、インターネットの事業がたくさん出てきて、ITを活用して、婚活事業を進化させるつもりで始めました。
雇用機会均等法で消えた「お見合い」
水谷 でも銀行のお仕事からこの事業って、ちょっとギャップがあるような気がするんですけれども。
石坂 まず、いま申し上げたように2000年代というのは、ITの事業が日本でたくさん勃興して、20代だった私が関心を持ってしまったことと、興銀がみずほに変わるという節目でですね…
水谷 婚活事業に興味をもったきっかけはどんなことだったんですか。
石坂 インターネットの特性として、いろいろあるんですが、情報の交換、エクスチェンジというのが非常に便利だなと個人的には思ったところがスタートだったんです。
大垣 でもさ、石坂さん自体はどうやって結婚したの?
石坂 私は、仕事関係の知り合いの方から、紹介というか…食事会がありまして。
大垣 あなたのころは、そういう紹介とか、割とあったの? 僕らのころは、けっこうお見合いじゃん。それほど格式ばったものじゃなかったけど。恋愛してなければ、行内ぐらいしか女の人いないじゃないですか。そうすると、まあ…軽いお見合い。紹介とかって。それがいつごろなくなったのかな。90年代ぐらいから急になくなりましたよね。
石坂 そうですね、もう80年代の半ば、男女雇用機会均等法以降、きっかけとしてなくなっていったと言われてますね。
「世の中の役に立つ仕事を」
残間 私は昔からけっこう石坂さんと親しいんだけど、ちっちゃいころからお父さんが「世の中のためになる仕事をしろ」って言われて育ったのよね。
石坂 そうですね、商家の家系で、家を継ぐのか、そうじゃなければ世の中のためになる仕事をしろとか言われてました。
残間 地域に根差してる不動産屋さんでしたっけ。地域の人たちとすごく親しくて。
大垣 最近はうちの教え子なんかも、ネットで「出会い系」?
石坂 マッチングアプリですね。
大垣 僕らよくアプリなんかで結婚するなと思うんだけど。むしろそういうのに登録してる人のほうが自信があって、うまいこといくのかな。
石坂 はい。もう私がこの事業を始めた2000年っていうのは、サービスを利用して結婚する人は1%くらいしかいなかったんです。でも今はもう15%を超えてくると言われてまして。その15%のうち3分の2、10%はマッチングアプリ、5%が結婚相談所と言われています。
大垣 あなたのIBJはその5%のとこに入るんですか?
石坂 そうですね、5%の半分近くはIBJの結婚相談所です。
大垣 そことマッチングとはどういう住み分けになってるのかな?
石坂 マッチングアプリの場合は、結婚が目的じゃない人もたくさんいるわけです。恋愛対象だったり、友達探しだったり、かなりカジュアルだったり、多少…公序良俗を軽く逸脱したり(笑)…マッチングだからいいわけです。ただ、我々のところは、そうではなくて、必ず対面で結婚の意思確認を行って、独身である証明書や身元証明をきちんといただいた上で、必ず担当の仲人さん、あるいはカウンセラーという方が、全員についてお引き合わせをし、サポートしているので、そこがマッチングアプリとの大きな違いなんですね。
そもそもIBJの事業とは
水谷 IBJの事業内容について、具体的にどういうことをされているのか、教えてください。
石坂 婚活の総合カンパニーですね。結婚を目的としたマッチングやサポートを、いろいろな事業でやっています。パーティーやアプリもやっていますけど、主力は結婚相談所さんを組織化して、そのプラットホームとかネットワークを提供しているわけです。結婚相談所を立ち上げたいといっても最初は会員さんがいない。でも知り合いの伝手で1人、2人入会しても、わが社のネットワークで9万人の男女のお見合いが最初からできるんで、全国に4千社以上の加盟店さんがあるという、そういう状況です。
大垣 ちょっとBtoBtoCみたいになってる。
石坂 そうです。
水谷 仲人さんもいらっしゃるんですか。
石坂 はい。仲人さんが結婚相談所のオーナーだったりスタッフだったりしまして。
最初は一軒一軒訪ね歩いた
残間 昔だったら紙ベースで、この水谷さんと大垣さん、いいんじゃない? みたいにやってたわけじゃない。それをネットワーク化して。でも最初は、地方の相談所に「情報が見られますよ」といって入ってもらうのが大変だったんですよね。
石坂 一軒一軒、訪ねて歩いて。全然わからなかったんですけど。でも地域地域にキーパーソンがいるので。この人が応援してくれれば、ほかの5人、10人が右へならえしてくれるみたいな。それはけっこう、やりがいはありましたね。
残間 ITの最初って、やっぱりそうやって脚で稼ぐとか、細かいところをちゃんと集めていくっていうのがないと成功しないよね。
大垣 でも仲人っていうのが、そういう組織の中にいらっしゃるんですか?
残間 日本結婚相談所連盟っていうのを作っていらっしゃるから。
毎月70代のカップルが誕生
水谷 登録される方っていうのは、何歳から何歳ぐらいまでなんですか?
石坂 コアな方は女性なら20代後半から30代、男性だと30代半ばからという感じなんですけど、もう今は20歳ぐらいから、上は70代までいるんで。毎月70代のカップルできてます。
残間 ホント! 目が急に…(笑)私はもうそういう気はないけど、でもそんなにいるんだ。ふーん。
水谷 その方たちのデータを管理して、この人とこの人が合うだろうな、みたいな…
石坂 そうですね、仲人さんがそういうお引き合わせをすることもあるんですけど、会員さんはやはり自分で選びたいという気持ちもあるんで、データベースの検索であるとか、あなたに合ってるんじゃないかというリコメンドを、それこそAIがすることによって、自分で選んでいける。
AIと人間が力を合わせて
残間 それと女の人って、その人は気に入っても、その人のお母さんが気に入らないってことあるじゃない。
水谷 けっこう、それ問題大きいですよね。
残間 そういうのもやってくれるのよね。
水谷 え! どういう風にやるんですか?
石坂 要するにお引き合わせとかマッチングはITやアルゴリズムやAIが得意なんですけど、そのあとの生身の人間同士の交際になると、仲人さんが力を発揮して、それこそ毎日のように連絡をしあったり、毎週デートをするように仕向け、ご両親への挨拶のタイミングなんかも測っていくんです。
残間 今の男の人って不器用だから、お店も知らなかったり。どういう会話をすればいいですか、っていうのも教えてくれる。
石坂 練習もしますね。
水谷 練習って、どうやるんですか?
石坂 仲人さんがお話とかお見合いの練習とかをやったりしてます。男性にも女性にも「模擬お見合い」っていって、若いスタッフなんかが30分ぐらいお話して、そのあと「こういうところは最初からお話しないほうがいいよね」とか…
残間 コツを伝授してくれる。
大垣 でもそんなの結婚したらすぐバレるでしょ。
石坂 でも結婚するまでが我々の仕事なんで、そのあとはもう…。
一同 (笑)
残間 でも恋愛だって同じ、どうせバレるじゃない。
「恋愛感情」を作り出す
大垣 面白い。IBJで出会った人たちは、付き合ってくうちに、恋愛するの?
石坂 そうですね、これはけっこうそんなたくさんは言わないんですけど、言っちゃうと、毎日のように…いまはLINEですね。やり取りをしていて、毎週のように会うようにすると、自分の中に占める最大の異性がその人になるんで、一定の割合で恋愛感情が生まれるように、人間の脳ってなってるんですね。
一同 へえ…
石坂 やっぱり自分の行動を肯定化していきたいんで。
残間 それとみんな、結婚にこぎつけたときは「恋愛」っていうよ。IBJで知り合った人たちは。それとすごいなと思ったのは、結婚式に、その仲人さんになってる人を呼びたがる。つまり、自分たちは真面目に結婚をとらえていたんだということを、ご親族とかみんなに知らしめるためにも、IBJの人たちをちゃんと大事にする。
水谷 へーえ…
大垣 仲人を呼びたがるって、呼ばないこともあるんですか?
残間 違う、ほら、そういう結婚相談所から見つけてもらったっていうのは、かつては嫌なわけじゃない。自分が見つけたっていいたい。けど今は、チャラチャラしたことで2人は出会ったんじゃありませんよ、ときちんとこういうことをちゃんと経て結婚にこぎつけました、と。
石坂 ここ10年くらいは結婚式で「出会いのきっかけはIBJのお見合いでした」と多くの方が言ってくださるようになってます。
大垣 だんだんふつうになってきたんだね。
「出会いの場」の移り変わり
水谷 でもここ10年っておっしゃいましたけど、石坂さんがこの仕事を始められた時と、いまと、出会いの場に変化って出てるんですか。
石坂 ものすごく出てますね。以前、始めたころはマッチングアプリなんて出てなくて、「出会い系サイト」って言ってたんで、けっこういかがわしいものだったんですよ。でも今の若い方は「デジタル・ネイティヴ」って言われていて、SNSに、物心ついた時から…というのは言い過ぎかも知れませんけど、親しんでいるので、適切にマッチングアプリを活用して、自分で選べる、探せるようになってきているわけです。なので、出会いのきっかけも最初はリアルよりも、オンラインというのが当たり前になってきてる。ただマッチングアプリだとなかなか難しい、うまくいかないという方もいるので、そういった方は我々のところに、けっこうトライしてくる。
残間 リアルな場面を全部、教えてくれるんだもん。
大垣 でもさあ、そんなになってる雰囲気なのに、どっちかっていうと結婚しない子、増えてるじゃない。
石坂 そうですね、都市部は特にやはり従来の結婚制度ていうのは若い方のマインドに…志向性に合わなくなってきている。ちょっと厳しい制度だという印象があるので、結婚離れというのは進んでいますね。
少子化の克服は結婚から
残間 石坂さんはやっぱり少子化っていうものをね、日本ではなかなか結婚制度を経ないと子どもを産まないという現実があるじゃない、今のところ。だからそこを考えると、やっぱり結婚っていうのを、ちゃんとクロージングに持っていきたい…と、以前おっしゃってましたよね。
石坂 はい。今の日本の制度、慣習であれば、やはり結婚カップルをひたすら増やしていくことが少子化の解消に貢献できると思います。
大垣 いま会社の考え方も全然変わってきていて。学生たちには、とにかく大黒柱がいて専業主婦がいるっていうのは一切考えるなと。男が引っ張って1200万もらおうとすると上から10%程度の人しかいないんだけど、2人で600万ずつならなんとかなるじゃないですか。そしたら足せば1200万。600万だったら、5時に帰っても何とかなりそうな会社もあるじゃないですか。だから、どっちがいいかよーく考えろっていって、早めにパートナーリングしたほうがいいよ、っていうのをね、授業で教えてます。キャリアデザインでそれを…
残間 でも今どき、大黒柱と専業主婦なんて若い人いる?
大垣 いや、これがやっぱりね、親が言うから、女の子は案外、女の子いまだに「専業主婦願望」みたいの多いんです。
石坂 一部、必ずいらっしゃいますね。
残間 ただその専業主婦の意味が違うんだよ。やっぱり旦那のお金でおしゃれもしたい、旦那のお金で…
大垣 それはそうなんだけど、男も「俺が支えれば」みたいに思ってて。
残間 今の男は支えられなきゃ無理なんだって。
水谷 (笑)
残間 青学って遅れてるんじゃないの?
水谷 (笑)
大垣 そうじゃないって。結局家庭に入ったらご飯も作らなきゃいけないし、女性とおなじことしなきゃいけないじゃないですか、今の男の子って。
残間 したがる子もいるよ。
大垣 そうなんですよね。だったら、何もかもイコールのパートナーにしないと、どっちかがしんどくなるよ、って
残間 だいたいIBJで結婚する女の人も、仕事もってる人多いよね。
石坂 そうなんですよ。専業主婦希望の方というのは、いまどちらかというと人気がなくて、資格を持ってたり、安定的な職業の女性が、人気の上位を占めています。
水谷 今後の目標というのはありますか?
石坂 はい。2023年は13000組ぐらいの結婚カップルを創出するんですが、むこう3,4年で、できればその倍くらい、25000組。そうすると、日本の5%、すなわち20組に1組ぐらいはIBJカップルで貢献できるのではないか。それを最大の目標にしています。
大垣尚司 プロフィール
青山学院大学 法学部教授、一般社団法人 移住・住みかえ支援機構代表理事。
第一線で培った金融知識をもとに、住宅資産の有効活用を研究・探究する、家とお金のエキスパート。
東京大学卒業後、日本興業銀行、アクサ生命保険専務執行役員、日本住宅ローン社長、立命館大学大学院教授などを経て、現在、青山学院大学法学部教授。
2006年に「有限責任中間法人移住・住みかえ支援機構」(現、一般社団法人 移住・住みかえ支援機構)の代表理事に就任。
日本モーゲージバンカー協議会代表理事を兼務。著書に『ストラクチャードファイナンス入門』『金融と法』『49歳からのお金ー住宅・保険をキャッシュに換える』『建築女子が聞く 住まいの金融と税制』など。
家とお金に関するご質問、お待ちしてます
番組では、家とお金にまつわるメールやご質問をお待ちしています。
宛先は、otona@joqr.netまで。
※この記事で掲載されている情報は全て、執筆時における情報を元にご紹介しています。必ず最新の情報をご確認ください。
お知らせ
パーソナリティの一人である大垣尚司さんが代表理事を務める一般社団法人「移住・住みかえ支援機構」(JTI)では、賃貸制度「マイホーム借上げ制度」を運用しています。
住まなくなった皆さまの家をJTIが借り上げて、賃貸として運用。
入居者がいない空室時でも、毎月賃料を受け取ることができます。
JTIは非営利の公的機関であり、運営には国の基金が設定されています。
賃料の査定や、ご相談は無料。資格を持ったスタッフが対応いたします。
制度についての詳しい情報は、移住・住みかえ支援機構のサイトをご覧ください。
関連記事
この記事の番組情報
大垣尚司・残間里江子の大人ファンクラブ
土 6:25~6:50
楽しいセカンドライフを送るためのご提案などがたっぷり! 金融・住宅のプロフェッショナル大垣尚司と、フリープロデューサー残間里江子が 大人の目線でお届けします。…