【第100回箱根駅伝】4年生に対しては「『ありがとう』という言葉だけ」駒澤大学・藤田敦史監督 レース後インタビュー

【第100回箱根駅伝】4年生に対しては「『ありがとう』という言葉だけ」駒澤大学・藤田敦史監督 レース後インタビュー

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第100回箱根駅伝。総合2位で終えた駒澤大学・藤田敦史監督のレース後のインタビューです。

――復路に関して、伊藤(蒼唯、2年)選手(前回大会6区で区間賞)を起用しなかったのはなぜか?
「帰山(侑大、2年)も伊藤も調子がよく、最後までどちらを使うか迷っていました。伊藤が全日本の後にインフルエンザにかかり、その後も故障があったため練習が積めず、12月に入ってからの練習再開でした。一方の帰山は11月、12月と練習が積めていたので、彼を使おうと決めていました」

――伊藤の故障については?
「11月末くらいにインフルエンザ明けで練習復帰した際に、太ももの前側の筋肉に少し痛みが出て少しの期間休んだという感じです」

――復路は青山学院との差が開く一方であったが、それは単独走の難しさか?
「6区の帰山で、少しでも差が詰まれば我々としても追撃態勢が整えられたはずですが、今回はそれができませんでした。その結果、精神的なダメージを受けてしまったのと、今シーズンはずっと先頭を走ってきたので、後手に回った際、チーム内に精神的動揺が走ってしまいました」

――前日の往路、(3区の)佐藤(圭汰、2年)選手のところから流れが悪かったのか?
「往路も決して悪い走りではなかったと思っています。我々は往路を5時間20分~21分で想定していた中で5時間20分51秒だったので。今回の往路の記録は大会新記録ですし、私の中での想定で、青山学院大学さんが出した5時間18分は、想定をはるかに超えたタイムでした。私の監督としての経験の少なさが出てしまいました。他校がどれだけ速くても5時間19分の想定でしたが、完全に青学さんにやられてしまい、チームに動揺があったのと3区に自信をもって配置した佐藤圭汰が青山学院大学の太田(蒼生)選手に置いて行かれたのを見ての動揺もありました」

――青山学院の強さはどこに感じるか?
「出雲・全日本と勝っているので私たちのチームが弱いとは思っていません。箱根になると20キロ以上の区間を10区間、10人揃えないといけないので選手層を厚くしなければならないのと年間を通してのスタミナ作りをしないと箱根を走るうえでの脆さが出てしまう。その部分の課題を初めて痛感しています。その中で青山学院さんは年間を通じてのスタミナ作りをしていると聞いていますし、その部分での差が出てしまったと思います。ただ、世界を目指す選手の育成も同時進行でやっていますので、そこの部分に関してスピード強化とスタミナ作りは念頭に置いてやっていきたいです。そして来シーズン以降の活動に当たっては年間を通しての地道なスタミナ作りをしていきながらやっていきます」

――9区花尾(恭輔、4年)の走りについては
年間を通しての練習が足りなかったです。この1年ずっと苦しい思いをしてきた花尾の後ろ姿を見た時、ようやくこの舞台に帰ってきてくれたと感じました。彼の能力ならもっといい記録を出してあげられたという私自身の指導面に対する悔しさがあります」

――今回の駒澤の総合タイム10時間48分については?
「往路、復路の総合でいえば設定タイムは気象条件によって10時間43分〜44分の幅を持たせて設定していたが(青山学院の)10時間41分というところまでは想定ができていませんでした。往路の選手も復路の選手も頑張ってくれました。ただ駅伝は流れがあるのでもし往路を先頭でフィニッシュしていれば復路は流れが違っていたと思うし、その部分に関しては仮説の話しかできないです。とにかく負けてしまったことをしっかりと受け止め、采配も含めて反省しないといけません」

――青山学院大学の原監督は往路後の記者会見で『箱根駅伝1本に絞って自分たちの調整をしてきている』と仰っていたが、考え方の違いがあるのか?
「今シーズンの駒澤大学は三冠を目指してきました。出雲・全日本は全力で1つひとつのレースを走ってきた中で箱根駅伝だけを見据える事はできなかった。どうしても出雲・全日本の蓄積疲労は絶対にあるので、それをうまく乗り越えながら箱根を迎えるということができませんでした。例えば、三冠の可能性が厳しい場合は、出雲だけ、全日本だけ、箱根だけは勝ちにいくぞというやり方もできなくはないですが、今回は3つ獲るという目標を立ててチームとして動いましたので」

――来シーズンは三冠を再び狙うのか?
「今シーズンは2年連続の三冠という目標でやってきたが、次のチームが始動し、これから選手たちと話さないといけません。私だけの思いだけでなく、選手たちの思いも聞かないといけないので。ただ1つだけ言えるのは今日味わった悔しさを持ってこれからやっていくことに変わりはありません。明日から新チームですが、この悔しさが晴れるまで練習していきます」

――4年生に対しては?
「『ありがとう』という言葉だけですね。監督1年目で最高学年が今の4年生で本当によかった。未熟な部分をカバーしてくれて、彼らがいたからこそ私はここまでやれたので感謝の気持ちしかありません。ただ、優勝&三冠して卒業させてあげられなかったのは本当に悔いが残ります」

――往路後に『あっという間だった』と仰っていたが、今日はどうだったか?
「今日もあっという間に終わってしまいました。しっかりやれなかったという思いが強いです」

――来季のチームキャプテンは?
「大八木(弘明)総監督にも相談したのですが、キャプテンは選手たち自身で決めてもらいます。明日からチームが解散するので今夜決めるわけではありませんが、解散から戻ったタイミングでミーティングを実施し、決定する形になります」

――トラックレースでも好成績を残しながら駅伝でも戦うという方針は今後変える予定はあるか?
「これからも箱根だけを目指すチーム作りをするつもりはありません。私たちは『箱根から世界へ』をスローガンにしていて、本当に強い選手を育成したいと思っているからです。学生の枠にとらわれず実業団の選手とも対等に渡り合えるような強い選手を育てることを念頭に置いて指導しているのでチームの方針をこれからも変えることはありません。引き続き頑張りますので、ご声援よろしくお願い致します」

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