【第100回箱根駅伝】青山学院大学 往路レース後共同会見

【第100回箱根駅伝】青山学院大学 往路レース後共同会見

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第100回箱根駅伝、2年ぶり6度目の往路優勝を果たした青山学院大学の共同会見の模様をお伝えします。

――青山学院大学のどういった部分が駅伝力に培っている?
原監督「世間一般の『良い子』では、駅伝は走れません。いい意味で自分の我を通せるか、いい意味でこだわれるか。ただ監督から言われたことを、『はいはい』と聞いているようでは、駅伝力はつかない。その点でいい意味で黒田(朝日、2年)、太田(蒼生、3年)、佐藤(一世、4年)の3人は我がある。話を聞きながら、時にはいく、抑える時には抑える。自分の力を最大限活かせる能力があると思っています」

――八王子ロングディスタンスでは駒澤大学の選手が27分台を出した際に選手にはどう伝えたか?
原監督「各大学のメソッドの差が出ただけだと思っている。青山学院が良くて、駒澤大が悪いワケではない。各大学、各指導者のメソッドを通して、箱根駅伝に向けて、どのような風に持っていくのかという視点。27分30秒を出すことがいいのか、MARCH対抗戦で28分10秒台を出すのが悪いのか。それは各大学の指導者の感覚の違いです。我々は流れのなかで、MARCH対抗戦で28分10~30秒台の選手が数多くいますけど、しっかりと100%で合わせていけば、うちの学生も27分30秒台、あるいは28分を切るような選手が数多く出ていたと思います。でも、我々は箱根駅伝をピーキングの最後のゴール地点として、そこへ逆算して練習を行っています。そして日本人が戦える競技はマラソンです。箱根駅伝の目的のひとつとして、世界で戦える日本人マラソンランナーの育成するという大義があります。そこに向けて我々はチャレンジしている。今がまさにメソッド対決の始まりではないでしょうか。いろんな大学がいろんなメソッドを出し合って、ある意味学習発表会の場で戦っているようなところではないかなと思っています」

青山学院大4区・佐藤一世(4年)
――往路優勝の感想を聞かせてください。
「この1年間、箱根駅伝で優勝することだけを目標に練習してきました。3年目までとは違って、この1年間は年間を通して練習を継続できたので自信はありました。1、2、3区が、良い流れで持って来てくれたので、自分は2位を離す走り、しっかりと区間賞で終わることができて良かった」
――駒澤大学一強と言われていたなかで、チームとして、「どこで団結を感じたか」転機の場面、どこで勝負できると感じたか?
1区・荒巻朋熙(2年)

「僕がチームが変わったと思ったのは、夏合宿です。それまでは結構バラバラで、僕自身もチームの足を引っ張るようなことがあった。練習面だけでなく、生活面でも問題が起きていたが、そこから学生のみんなで話し合いをした。そこでひとつになれたというか、団結する流れができたと思っています」

2区・黒田朝日(2年)
「僕がチームの団結力につながったと思うのは、先日の学内で行われた、いわゆる0区です。10000mでの4年生の先輩方の走りがチームの団結力に繋がった。ここまで調子の上がってこなかった志貴(勇斗)キャプテンや鈴木(竜太朗)寮長といった先輩方が最初から引っ張り、複数の4年生が上位に入ってくる姿を見たら、箱根を走る自分たちは、それ以上にしっかり頑張っていかなきゃならない気持ちにしてもらうことができた。そこでさらに団結力が強くなったと思う」

3区・太田蒼生(3年)
「今年の後期で団結力がより強くなったと思う。日頃の集団生活のなかで、常に走りたいなという気持ちでいた。チーム全体として下級生から上級生まで、厳しい上下関係ではなく、横のつながりと同じような、上下の絆があった。仲が良いだけではなく、厳しさもありながら、下級生が過ごしやすい環境が整えられていたり、マネージャーのみんなが自己ベストを更新した選手がいた時にグラフ化して、わかりやすく自分の立ち位置を選手それぞれに伝えるようにしたり、そういったチーム全体の日頃の取り組みから団結力を強く感じた。1年生の時に優勝、2年生の時には3位と来ているが、そのなかでも一番良い雰囲気だなと感じました」

4区・佐藤一世(4年)
「先ほど、荒巻も言ったように、夏合宿がターニングポイントだった。そこでミーティングを重ねたことで、チームがひとつにまとまった。もうひとつが箱根駅伝前のミーティング。メンバー外になってラストチャンスを逃してしまい、走りたくても走れない4年生たちのそれぞれの想いを聞いた。それで本当に僕たちが頑張らなくてはいけないなと思いました。特に自分にとっては4年間苦楽を共にした同期。仲間の分も頑張らなくてはいけないと、覚悟が決まった。走れない人のためにも絶対に勝つぞと、チームがまとまったと思います」

5区・若林宏樹(3年)
「自分が一番思うのは、下級生の力。昨年は4年生の実力がすごくて、上級生と下級生の意識の差が結果につながってしまったと考えている。今年は特に1年生が頑張ってくれて、夏合宿から1年生たちが誰よりも距離を踏んで、長い時間ジョグを走っていた。学内のレースでも1、2年生が引っ張ってくれた。そういった意識がチームにいい影響を与えましたし、団結力につながったと思っています」

――佐藤一世選手は12月に体調を崩していたそうですが、それをどう乗り越えたか?
佐藤一世「11月まで順調に練習を継続できていたが、12月に入ってインフルエンザと虫垂炎になってしまった。『もう無理かな』と、心が折れたんですけど、同期だったり家族だったりが、ずっと励ましてくれた。原監督も『一世が走らないと』と言ってくれたし、トレーナーやスタッフの方も、どうやったら2週間で調子を上げていけるのかを考えてくださった。本当に周りの方に支えられて、スタートラインに立てたと改めて思いましたし、そういった方々のためにも、走りで恩返ししたいなと考えました」

――大会前「史上最強」とまで言われていた駒澤大学に、2分半の差をつける往路新記録で勝ったことを、原監督はどう評価されていますか?
原監督「私自身ビックリなんですよ。多分みなさんも誰ひとり、青山学院が勝つとは思っていなかったんじゃないでしょうか(笑)。20年かけて、『自立』から『自律』へとチームが変わってきた。その20年間の歴史の上に、今選ばれた学生たちが、自分の気持ちで走っている。監督から言われて走るのではなく、自分たちが大好きな箱根駅伝に、努力してスタートラインに立って、そして輝く。その方法がチームとしてできあがったのかなと思います。学生スポーツの原点は、『自分たちのことは自分たちで決める。自分たちで成果を出す』というところにあります。昨今の箱根駅伝の事情を言えば、監督、コーチ、トレーナーと、大人たちが非常に介在しています。あくまでも我々は、青山学院大学の創立理念でもある『サーヴァント・リーダー』を育成する組織を目指している。我々がどう学生たちを支えて、それに学生たちがどう応えるのかの攻防が行われている。彼ら自身の気持ちで、最後まで諦めずに努力しています。普通12月にインフルエンザで寝込んで、虫垂炎になったら、諦めますよ。でもそこで仲間の支えがあったにせよ、最後は自分の意思で『諦めてたまるか!』とちゃんと走ってみせる。そういうところが勝ちに繋がったと思いますね」

――とはいえ、このタイムは『自律』だけでは出ないのでは?
原監督「そんなに厳しいトレーニングしてないよね?(笑) ぜひ一度ご覧になってください。私が叫んでいるわけでもないですし、選手とマネージャーたちがグッと頑張っています」

――総合での大会新記録は狙えるか?
原監督「100回大会という記念すべき大会ですし、復路も狙います。今のところ、そこまで気温も上がらなさそうですし、風もそこまで吹かなそう。普通の天候だったら、2年前につくった10時間43分42秒は狙える。そこに挑戦させていきたい」

――昨シーズンの反省を踏まえて、ピーキングやコンディショニングで、変えたところはあるか?。
原監督「いえ。大きな流れは変わりません。20年掛けてつくった原メソッド、青山メソッドの流れのなかの、起爆作業をキチっとして、箱根駅伝に向かわせただけ。でもそのメソッドにも新しいところがあった。それが12月の初旬に多くの選手がインフルエンザに罹ったこと。私も罹ってしまって(笑)。そこで激しい練習を行わなかった。ある程度練習を軽くしながら、しっかり押さえるところは押さえた。それで若干例年とは流れが変わったが、1年間掛けたトータルの流れや期分けは変わっていない。選手たちが5000mの自己ベストを上げるために、400mのショートインターバルや1000mのインターバルの設定タイムを上げた。それでチーム全体の5000mの自己ベストは伸びている。走らなければ強くならないという文化が青山学院にはありますね」

――12月の練習量は極端に減った?
原監督「以前の総合優勝をした時と比べれば減りました。そこでまた新しい発見が私のなかにありました」

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