「クリスマスラリー」で株価が上がらない日本で始まる「新NISA」
12月26日の「おはよう寺ちゃん」(文化放送)では、火曜コメンテーターで上武大学教授の田中秀臣氏と番組パーソナリティーの寺島尚正アナウンサーが、日本人の投資資産の増加について意見を交わした。
株の運用はリスク投資!資産の使い方はブームで煽られないように!
家計の金融資産を株式などへの投資が押し上げている。9月末までの1年間で資産全体の増加額の8割を投資関連の資産が占めた。
日米の株高や円安を追い風に個人の資産全体が膨らみ、金融資産全体では2121兆円と過去最高を更新。日銀の資金循環統計を基に試算したもので、株式や投資信託、債券、対外証券投資の残高を投資資産とした。
「日本人の金融資産として投資が増えているということですけど、田中さんこれはどうご覧になりますか?」(寺島アナ)
「日経平均株価の動きを見てみると、日銀の政策によって変化している側面と、アメリカ次第という二つ要因があります。日銀の政策の推移で見てみると、植田日銀になった当初は、植田さんが金融緩和に否定的でタカ派だという観測が強かったので日経平均の動きがすごく鈍かったですが、“意外と金融緩和の継続に積極的なハト派なんじゃないか?”と日経平均がどんどん上がって、すぐ日経平均三万三千円台までになりました。7月のYCCの形骸化、長期金利の水準を事実上あげるようなことをやってブレーキがかかって、その状態で今に至ります」(田中氏)
現在の日経平均株価の動きについて田中氏が指摘。
「例えば、年末恒例と言われている“クリスマスラリー”という世界的に株価が上がる現象がありますけど、日本は昨日の日経平均株価がちょっと上がるくらいで相変わらず三万三千円台。日本の場合はサンタさんが行方不明になっちゃったんです」(田中氏)
田中氏は、2024年から始まる新NISA制度を推し方に慎重な目を向ける。
「私の歪んだ目で見ると、新NISAを推すのが強いんですよ。“個人資産増で投資がけん引!”っていうアゲアゲな印象の記事は、社を上げて盛り上げているんじゃないか? という気がします。ぶっちゃけ言って、個人資産が増えて投資が活発化してそれが消費に回っているかというと、ぜんぜんそうじゃないですからね」(田中氏)
田中氏は、新NISAを始めようと考えている方に、投資のリスクを訴えかける。
「年明けから“新NISA(少額投資非課税制度)が始まる”とか言って盛り上げていくと思うんですけど株の運用ですから! リスク投資であることは間違いないので、マスコミに煽られることなく株と投資っていうのは長い目で、リスク分散は多分に重視して。さらに引退世代は所得がなかなか稼げなくなっているので、自分たちの資産を大切に使わないといけませんので。一時のブームに煽られないようにと、個人的なアドバイスとしては思っています」(田中氏)
「年齢にもよるんでしょうけどね。若い方だったら、長い目で見たらいいのかもしれませんけど」(寺島アナ)
「引退世代だって何歳で亡くなるか分からないじゃないですか。もし100歳まで生きたら65歳で引退してから35年ですよ! 今まで働いていた年数くらいを年金で生きるの大変じゃないですか。資産の使い道は一時のブームに流されないように! もしやるとしても“下落する場面があっても慌てて売却しない”とか落ち着いた資産運用が必要なんじゃないか? と個人的には思いますけど、詳しくはそれなりの専門家にお問い合わせください!」(田中氏)
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