国民不在のバラマキ補正予算成立

国民不在のバラマキ補正予算成立

Share

 文化放送をキーステーションに全国33局で放送中「ニュースパレード」(毎週月曜日~金曜日午後5時00分~5時15分)

 その日に起こった最新の話題を中心に、幅広い分野にわたってニュースを紹介しています。昭和34年の放送開始以来、全国のラジオ局の強力なバックアップで、特派記者のレポート、取材現場からの中継など、今日最も重要なニュースを的確に把握し最新情報を伝え続けています。

 文化放送報道記者として国会、官邸を担当し、日夜取材活動で活躍する山本香記者が放送でお伝え出来なかった話題を取材後記としてお届けします。

 



 

政府の総合経済対策の裏付けとなる2023年度補正予算は、11月29日の参議院本会議で、自民公明の与党に加え、野党の日本維新の会と国民民主党の賛成多数で成立した。7割近い8兆8750億円を新規国債の追加発行で賄う。

衆議院予算委員会の採決前におこなわれた討論で、日本維新の会と国民民主党は政府の
予算案に対し、「緊要性が低く、ばらまき色が強い」とそろって批判していたにもかかわらず、国民民主党は、ガソリン税の一部を引き下げるトリガー条項の凍結解除に向けて与党との協議を条件に、一方の日本維新の会は、大阪万博の関連経費が補正予算に盛り込まれたことで賛成に回った。

日本維新の会の馬場代表は11月24日、衆議院本会議後の記者会見で、記者から政府の補正予算案について以前、天下の悪法と批判していたのになぜ賛成したのかと問われると、「50点の内容。苦渋の選択だった」と説明したが、国民からは、万博予算に目がくらんだ党利党略の選択としか見えないのではないだろうか。

水ぶくれ

財政法29条では補正予算について、特に緊要となった経費の支出について、補正予算を作成して国会に提出することができるとされている。補正予算の中身をみると緊要、つまり差し迫って必要とは思えないものが多く盛り込まれている。例えばマイナ保険証の利用促進や環境整備のため887億円、国土強靭化対策として公共事業に1兆3000億円、基金に4兆3000億円、さらには花粉症対策として60億円が計上されている。

緊要性のあるのは低所得世帯向け支援と、電気・ガス・燃料油価格の激変緩和措置などを含む物価高対策で、その額は約2兆7000億円と補正予算全体のわずか2割程度にすぎず、野党第一党の立憲民主党の幹部は「財政法の趣旨に合わない水ぶくれ予算」と切り捨てた。

ムダの温床

補正予算の中で、全体の3分の1に当たる4兆3000億円が「基金」に充てられていることにも野党は批判を強めた。対象となっているのは31の事業で、そのうち半導体関連の支援だけで2兆円近くに上る。また31の事業のうち、宇宙開発や漫画・アニメなどの人材育成など、4つの事業が新たに設けられたものだ。

国の基金は、特定の事業や目的のために用意されるもので、単年度主義の予算とは違い、複数年度にわたり確保することができるという利点がある。しかしその基金の残高が2022年度末時点で16兆6000億円まで膨れ上がったことから、岸田総理は事業の総点検を指示した。複数年度の予算が積み上げられても使途のチェックが行き届かず、かねてから「ムダの温床」と指摘されてきた。

基金や公共事業などに巨額の予算をつけた今回の補正予算。こうした水ぶくれ予算は今に始まったことではない。ある野党議員は「第2次安倍政権の時からタガが外れた」と指摘する。業界団体などへのバラマキかと映る予算項目について、政府自民党は「景気刺激策」と位置付けるが、目に見えた効果がでなければ国民からしっぺ返しをくらうことになるだろう。

Share

関連記事

NOW ON AIR
ページTOPへ