ひきこもりの子を持つ親につけこむ? 「ブラック支援」の実態に迫る
11月29日「大竹まことゴールデンラジオ」(文化放送)、大竹メインディッシュのコーナーに朝日新聞記者の高橋淳さんが出演した。今年9月に発売された著書『ブラック支援 狙われるひきこもり』が話題の高橋さんが、同書でも扱っている問題について解説した。
大竹まこと「タカユキさんの死、という話からこの話は始まります。ひきこもりを民間団体が支援すると言って連れ出されて、最後に亡くなってしまうと。最初に伺いたいのは、ひきこもりを支援するのは行政じゃなくて民間会社ということですか?」
高橋淳「そうですね。行政が支援する窓口とかはあるんですけど、実際にそれではとても賄いきれないので、全国に1000箇所ぐらい、支援する民間の団体があります。ちゃんとした団体も、問題を抱える団体も。業者を監督する官庁とか設置基準みたいなルールはない状況なので、やりたい放題も許されるという」
大竹「民間会社に勤務する方々は、福祉やそういう問題に深く関わって勉強されているのかと思ったら、このご本に登場するのはどうじゃなかったんですね?」
高橋「ええ。そうじゃなくても参入できてしまう。ひきこもりであってもなくても、家庭の悩みってあると思うんです。そういうものをターゲットにし、ビジネスにしていく。という存在なのかと思っています」
大竹「一時期いろんなテレビでフィーチャーされていましたけど、実態は相変わらず、けっこう強引なことが起きていると?」
高橋「そうだと思います。うち、都内なんですけど、ポスティングが来ていて。明らかに危ない業者、聞いたことのない業者のもので。そういうのがいまでもあるんだ、と思いました」
水谷加奈「どう書かれているんですか?」
高橋「『初回相談料』とか、『放置しておくと大変です』と脅すような文句が書いてある。こういうのは行政も先手を打ってなんとかしないといけない、と思います」
大竹「タカユキさんという方のお母様が、息子がひきこもっていると。あちこちに相談した、行政にも、と。すると『病院に行ってください』。行ったら薬を出されるだけで手が打てなかった。そうするうちに民間業者がやっているところへ。なんと謳っているんですか?」
高橋「プロが支援をします、6ヶ月で直します、みたいなことを業者が言っていたわけです」
大竹「タカユキさんのお母さんは1000万円ぐらい使ったんですか?」
高橋「トータルだと1300万円ぐらいですかね」
大竹「頼んで家から施設に入れてもらうけど、結局亡くなってしまったと。藁にもすがる思いで、何年もひきこもっていた息子を、お母さんから引き受けて。この業者、倒産してやめちゃうんですね?」
高橋「いなくなっているので、裁判したくてもできない、という状況があったんです」
大竹「タカユキさんの例もありますけど、どういう勧誘のされ方をするんですか?」
高橋「世の中でひきこもりが『甘えだ』『怠けだ』と誤解をされている。その誤解に便乗するような形で親の不安を煽り、自宅に押しかけていって、文字どおり手足を掴んで連れ出す。あと『うん』と言うまで強引に居座るとか。引き出し屋、と呼ばれます。」
大竹「立ち直った例はあるんですか?」
高橋「何をもって『立ち直った』というかは難しいんですけど、ほとんどそのままです。悪化して家に帰されたり、余計ひきこもってしまったり、というトラブルが報告されています。ただそれが表面に出ない。実際もっといるはずなんですけど、姿が見えない、被害を訴える人も少ないので、ほとんど知られてはいません」
「大竹まこと ゴールデンラジオ」は午後1時~3時30分、文化放送(AM1134kHz、FM91.6MHz、radiko)で放送中。 radikoのタイムフリー機能では、1週間後まで聴取できます。
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