『大垣尚司・残間里江子の大人ファンクラブ』　　　　「ダイ・ウィズ・ゼロ」という考え方

「有り金ゼロで死ぬ」

アメリカで2020年に出てベストセラーとなり、日本にもすぐ翻訳された「ダイ・ウィズ・ゼロ」という本があります。日本語にすると「有り金ゼロで死ぬ」。向こうでもこういうこと言う人が出てきたんだな、と思いました。
ものすごく簡単に言うと、若いときから老後のことを考えて旅行にもいかずおカネをチマチマ貯めるのと、その時期にしか行けない場所に出かけて「ああ良かったね」って言うのと、どっちがいいのか。老後のおカネのために節約するのってどうなんだろう…っていうところから始まって、「死ぬときのゼロに向って、ここからはおカネを使いだす」ポイントが大事、っていう話になるんです。

ポイントをどう見極めるか

本の中には「人生でいちばん大切な仕事は思い出づくり」「アリとキリギリスならキリギリスの方がいい」といった話が出てきます。ただアメリカと日本では、若干事情が違いますよね。アメリカだったら、何に投資しても３％ぐらいは儲かるんだから、これぐらいは…という話ですが、日本だとそうはいかない。じゃどうすればいいのか、という話になってきます。
この本に書いてないけど、大事なのは「できるだけ長く仕事をする」ことだと思います。本の中ではおカネだけで考えていますが、私は「自分があと30年イキイキ活動できる」時点がポイントじゃないかと思います。それは人それぞれで、残間さんなんかはメチャクチャ若いけど、私はこないだ64になって、現役で行けるのはあと10年ぐらいかな、ということも考えます。だとすると、意外と早い時期におカネを使いだせるのかもしれません。そういうタイミングについては、銀行なんか全然教えてくれないから、自分で考えるしかないんです。でも、もう僕らの年では、おカネを増やすことより減らすことが大切なんじゃないかと思います。ちなみにこの本には「45歳から60歳の間」がスタートポイントだと書いてあります。

「家に働いてもらう」重要性

住む家についても、そうやって逆算して考えていく。終の棲家が老人ホームだと思うら、そこに住み替えるのもいいでしょう。そうなれば、我田引水ではありますが、JTIのマイホーム借上げ制度をご利用いただくのもお勧めです。10年間、貸して頂ければ、ほとんどの方には累計1千万程度の家賃をお支払いできます。つまり、その分は貯蓄しなくてもいいということ、しかも家も土地もまだ残っているわけですから。

今回は、「Die with Zero」という本を読んで考えたことをお話ししました。

大垣尚司　プロフィール
青山学院大学　法学部教授、一般社団法人　移住・住みかえ支援機構代表理事。

第一線で培った金融知識をもとに、住宅資産の有効活用を研究・探究する、家とお金のエキスパート。

東京大学卒業後、日本興業銀行、アクサ生命保険専務執行役員、日本住宅ローン社長、立命館大学大学院教授などを経て、現在、青山学院大学法学部教授。
2006年に「有限責任中間法人移住・住みかえ支援機構」（現、一般社団法人 移住･住みかえ支援機構）の代表理事に就任。
日本モーゲージバンカー協議会代表理事を兼務。著書に『ストラクチャードファイナンス入門』『金融と法』『49歳からのお金ー住宅・保険をキャッシュに換える』『建築女子が聞く 住まいの金融と税制』など。

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お知らせ
パーソナリティの一人である大垣尚司さんが代表理事を務める一般社団法人「移住・住みかえ支援機構」（JTI）では、賃貸制度「マイホーム借上げ制度」を運用しています。

住まなくなった皆さまの家をJTIが借り上げて、賃貸として運用。
入居者がいない空室時でも、毎月賃料を受け取ることができます。
JTIは非営利の公的機関であり、運営には国の基金が設定されています。

賃料の査定や、ご相談は無料。資格を持ったスタッフが対応いたします。

制度についての詳しい情報は、移住・住みかえ支援機構のサイトをご覧ください。