ヤンキー文化とメディア・エンタメの在り方を考える
女装パフォーマーのブルボンヌと、伝統芸能研究家の重藤暁を迎えた11月17日放送「西川あやの おいでよ!クリエイティ部(文化放送)」。
特集コーナーでは「『ヤンキー文化』をクリエイティブ!」というテーマでお届けした。
今月4日、アゼルバイジャンで開催された格闘技イベント「RIZIN LANDMARK 7」で新チャンピオンに輝いた鈴木千裕選手の発言が大きな話題を呼んでいる。鈴木選手は試合後に「日本の格闘技は不良の人とかヤンキーとかが輝く時代になってしまった」と発言し、日本の格闘技の現状に危機感を示した。
果たして、エンタメにおいて「元不良」「元ヤンキー」といった人たちをどう扱っていくべきなのか。
西川あやの「こういった特集テーマをやる上で反省しているのは、たとえば『元・暴走族です。でも今は更生して頑張ってます』っていう方とかがゲストでいらっしゃったときに、被害を受けた人がいる以上、過去のエピソードを面白おかしく聞いちゃうのは、ちょっと違っていたのかなぁ、とも思いますけどね」
ブルボンヌ「どれくらいの悪いことをしてきたのかが、ほんとに人によって違いすぎるからね。文化の中には“雰囲気ヤンキー”が多すぎて。それこそ愛されるドラマとかアニメに出てくる登場人物は、どれくらい視聴者的に観て許せない人たちなのかっていったら、だいたい許せる人たちだから作品として成立しているわけでしょ?だから作品で描かれるヤンキー像は、戦いの相手には手は出るけど、基本的に“いい人”として描かれる人の方が多くて、敵役が一般人にも手を出す悪いヤツとしてきっと描かれているんだよね」
重藤暁「(ヤンキー文化全盛期のドラマをリアルタイムで観てきた)ブルボンヌさんは結構影響は受けたんですか?」
ブルボンヌ「“男性性”のファンタジーがなかったから、男子たちの作品とかは全然興味なかったんだけど、『不良少女とよばれて』はすごいメイクとかしたりパーマとかかけたり、指の間にカミソリ押し込んで戦う女がいたりとか、自分にはできないことなんだけど、ああいうふうに常識の枠から外れる『笑っちゃう』みたいな意味でワクワク観ていたのはたしかにあるんだよね。いろんなコミュニティにある“はぐれ者の受け皿”みたいになっているところはあって、その中で本当に人を傷つけたり物を盗むような悪いことをどれくらいしているかは本当に人によって違うんだろうな、とは思ってた。地元の学生時代のコミュニティなんて、普通じゃないことを表現するのはヤンキー・ツッパリ的な表現しかない、みたいな社会が日本には多いと思うの」
重藤「ヤンキーの集団しか描き方を僕たちも知らないのかもしれないですね。すげぇ勉強している人たちのファンタジーをちゃんと面白おかしく作れれば、ちゃんと再生産されていくから。でも、その再生産の方法を知らないってことかな?」
西川「『ドラゴン桜』とかも、どっちかっていうと『進路から外れそうな人たちに勉強を…!』みたいな方向が多いですもんね」
ブルボンヌ「たとえば『3年B組金八先生』も、はぐれた人たちが中心なんだよね、実は。頑張ってる人たちは脇役なんだよね。標準じゃなくてはぐれたところにドラマ性があるっていう、そもそものフィクションの問題なのかもしれないね」
重藤「めちゃくちゃ勉強してる人にドラマがめっちゃあるっていうことをアピールしていきましょう!」
ブルボンヌ「昔、『東大一直線』みたいな漫画もあったんだけどね(笑)」
さらに、80年代のヤンキー文化や、不良系のエンタメ作品が長く愛される理由などについても話した。
「西川あやの おいでよ!クリエイティ部」は毎週月曜〜金曜の午後3時30分〜5時45分、文化放送(AM1134kHz、FM91.6kHz、radiko)で放送中。また、radikoのタイムフリー機能では1週間後まで聴取できます。
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