【アナコラム】斉藤一美「全日本大学駅伝・監督バス密着リポート」

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▼11月10日配信号 担当
斉藤一美アナウンサー


▲大会スタッフ用のジャンパー/取材の生命線となる乗車券代わりのアイテム
 
 全日本大学駅伝は27チームが出場するため3台の監督バスが走ります。私が同乗するのは1号車。前年度シード校の集まりといっていいでしょう。クジ引きで決まる各大学の座席は3列目から順に…國學院・早稲田・城西・順天堂・創価・駒澤・青山学院・中央・東洋…の並びでした。前2列が学生運営スタッフ2名、テレビ朝日中継班4名(この中の一人が増田明美さん)、朝日新聞記者、そして私。各大学の主務も乗るため約30名の一団で、中継映像を観ながら100km強を移動します。
 各区間で途中下車した監督がランナーに声をかけるのですが、今年は三連休と重なり車の通行量が去年よりも多く、予定のポイントを2ケ所飛ばしてもなお、伊勢神宮への到着が遅くなってしまったそうです。
 
 そもそも関東の大学の監督は箱根駅伝に馴れているため、レース中に声をかける作業に長けています。自チームの選手をバスが追い抜く際に窓から大声で指示を出すことも辞さず、前に座る私にも丸聞こえです。
 1区でリードをみるみるうちに広げた青山学院・若林宏樹に、駒澤・赤津勇進はついていこうか自重しようか迷っていた時、たまたま右側を通過するバスから、名将・大八木弘明総監督が「ここは控えろ」と伝える様子に気づき我慢したことが、終盤の切れ味鋭いスパートを生み出し数秒差の区間賞獲得へとつながりました。これで駒澤に勢いがつき、2区以降はライバル校に影さえ踏ませなかったのです。


▲スタート前の最終点呼でユニフォームを披露する駒澤1区・赤津勇進

 レース終盤。私のすぐ後ろに座る國學院・前田康弘監督は走る直前の7区・平林清澄との電話で「ん?…いいよ!好きなように走れ!」と笑っていました。生中継のインタビューで尋ねると「”帽子のツバを後ろにしてかぶって走っていいですか?”と訊いてきたので」と前田監督は楽しそうに説明。閉会式で平林本人に確認してみたら「暑かったので首筋に太陽を当てないようにしたかった。2年前、初めて大学駅伝に出た出雲でそうやって走ったら前田監督から”ダサっ!”と言われたことがあるので念のため確認した」と周囲を笑わせた後「おかげで原点回帰できた」とメンタル面での効果も明かし、入学後初の区間賞獲得を静かに喜んでいました。


▲大会4連覇目前、左手を差し出して仲間を呼び寄せる駒澤・藤田監督

 指導者と学生が交わす本気のやりとりを直に見聞きし、彼らが好結果へとつなげていく現場に触れると、正月の箱根駅伝へ向けてこちらもグッ!とスイッチが入ります。駒澤・藤田敦司監督への優勝インタビュー生放送が終わる直前、全日本大学駅伝ではまず見たこともないような大雨が降り、中継機材がびしょ濡れになったことも含めて忘れられない一日になりました。


▲アンカー・山川拓馬を胴上げする駒澤大学/この光景が次回箱根駅伝の復路でも再現されれば史上初・学生駅伝2年連続三冠達成となるが果たして!?

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