実質賃金が18ヵ月連続マイナスに。賃金は上昇するも物価の上昇に追い付かない!
11月8日(水)の「おはよう寺ちゃん」(文化放送)では、水曜コメンテーター・経済アナリストの森永康平氏と番組パーソナリティの寺島尚正アナウンサーが、実質賃金が18ヵ月連続のマイナスとなったニュースについて意見を交わした。
森永氏「今の状況は賃上げを持続させて行くために、いいサイクルに入っていると思う」
厚生労働省は全国の従業員5人以上の事業所3万あまりを対象に、毎月勤労統計調査を行っていて、昨日今年9月の速報値を公表した。それによると、物価の変動分を反映した働く人1人当たりの実質賃金は、去年の9月と比べて2.4%減少し、18ヵ月連続の実質賃金マイナスとなった。
寺島尚正アナ「森永さん、18ヵ月連続マイナスですね」
森永康平「つまり1年半ということですよねえ。これは家計調査とか消費関連のデータを見ていても明確に家計が節約に動いているっていうのがデータからわかるんですよね。節約をしているっていうことは手取りの給料が下がっているからっていうのが当然類推できるわけで、その予測がデータによって裏付けされてしまったということですよね」
寺島「基本給や残業代などを合わせた現金給与総額は、平均で27万9304円で去年の9月と比べて1.2%増え、21ヵ月連続でプラスとなりましたが、物価の上昇に追い付かず、実質賃金マイナスの状況が続いています。改めて森永さん、こちらいかがですか?」
森永「今までっていわゆるゼロインフレとかデフレとかで物価が上がらない状況が続いていましたと。それゆえに定期昇給分が2%弱の伸びがあったんで、言っても多少は実感として給料がちょっと伸びてるよね、ぐらいの気持ちがありましたと。で、逆に今年の春っていうのは、30年ぶりに3.6%という非常に大きい賃上げ率を達成したにもかかわらず、むしろ今までの通常時に比べても実感的な給料は下がってしまっているという、これが経営者の頭の痛いところですよね。『オレたち給料上げたよね?』と。でも従業員の生活目線で見ると、『なんか今までよりも下がってないですか?』っていう実感になっちゃってるっていう、この捻じれてる感じというのが、非常に困った状況ですよね」
寺島「岸田総理は賃上げ実現に向けて、労働団体、経済界の代表者と話し合う『政労使会議』を今月内にも開催する方向で検討に入りました。来年の春闘を前に、物価高を踏まえた賃上げを要請するとしています。森永さん、これ賃上げ上手く行くんでしょうか?」
森永「う~ん、まあでもいいサイクルに入ってきてるんだと思うんですよねえ。実際人手不足っていうのは、それに直面している人たちからすれば困る話ではあるんですけども、給料が上がりやすい条件のひとつなわけですよね、人が居ないっていうのは。で、実際に給料の上昇に対して物価の上昇の方が早いってなってしまうと、生活を切り詰めたりとか、あとは今のご時世だと副業をしたりとかいうこともあって、そうすると本業の生産性がめちゃめちゃ下がっちゃうんですよね。『そもそも働いてる意味ないじゃん』みたいな感じになっちゃう人もいるなかで、今の大企業の経営者たちって、いわゆる創業社長ってそんなに多くないじゃないですか。大体社歴が何十年とある大きい会社だと、大体今の社長って二代目三代目で、要はたたき上げで社長になった人たちもいて。そういう人たちって自分たちが普通の社員であった時の感覚がわかってるんで、『あ、これ来年も賃上げしていかないと、社員のモチベーションが下がっていく』ということで、来年も当然、今年に近い賃上げをしていきますよという方針を大企業の経営者の多くの人が持っているはずなんです。大事なのは私、賃上げに関して何度も言ってますけど、『今年、いっぱい伸びたね』で終わらせちゃ駄目で、来年以降もずっと続いていくんだと。そうすることによってようやく僕らのデフレマインドが解消されて、ある程度毎年給料は上がるもんだよねっていう認識に変わっていく。そのマインドが変わっていった時にようやく中小零細の方にも波及していくし、いわゆる今のコストプッシュ型じゃなくて、需要を押し上げるタイプでのマイルドなインフレが達成出来るわけですから、本当に大事だと思いますね。来年以降もちゃんと賃上げが続いて行く。今若干その素地みたいなのは出来てきてるなとの印象はありますね」
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