「いままでやってこなかったってことですよね?」全フリーランス労働者が労災保険の加入対象に
11月2日の「おはよう寺ちゃん」(文化放送)では、木曜コメンテーターで京都大学大学院教授の藤井聡氏と寺島尚正アナウンサーが、フリーランスが労災保険の加入対象になったことに関するニュースについて意見を交わした。
藤井氏「フリーランスに基本的な権利を与えてこなかった」
企業に属さずフリーランスとして働く人が増加傾向にある。
安心して働くには、病気やけがをしても生活が保障される安全網が欠かせない。
厚生労働省は労災保険に原則全業種のフリーランスが加入できるようにしようとしている。現段階の試算でフリーランスの加入対象者は約270万人に広がる見通しだという。
フリーランスは企業や組織に属さずに個人で仕事を請け負って働く人を指す。内閣官房の調査では20年時点で全国に460万人いることがわかった。
フリーランスは企業に雇用されていないため、仕事や通勤中に起きた事故や病気の治療費などをカバーする労災保険に一部の業種の人しか加入できない。
これまでは自転車配達員、歯科技工士など業種ごとに徐々に保険に入れる対象を広げてきた。
厚労省は今回の改革で労働者災害補償保険法の施行規則を改正し、労災保険に入れるフリーランスの対象を全業種に広げる方針だという。
保険料率は今後の検討課題となる。労災保険料は雇用者の場合は企業が負担する。
フリーランスは個人負担で月3千~5千円ほど支払うケースがある。
一方で、フリーランスは労働法の観点では「個人事業主」で、一律に労働者扱いできない。
フリーランスが保険に入らずに仕事を請け負い、事故にあったら「労働者に含まれる」と主張して労災認定をもらおうとするケースも予想される。
寺島アナ「全フリーランス労災対象、この動きはいかがでしょうか?」
藤井氏「もちろん大変結構なことで、フリーランスの方も対象にすべきだと思うんですけど、いままでこれをやってこなかった、フリーランスに基本的な権利を与えてなかったってことですかね? いまはすごく増えてますからね、個人親方。財務省からしたら、インボイスを入れてフリーランスの人から金をむしり取る体制を整えたからやるのかな?『消費税を払うようになったから面倒見てやろうか?』っていうふうにも見えますよね」
寺島アナ「新聞によると『増加傾向にあるから』っていうことぐらいしか出てないですけども」
藤井氏「増加傾向にあったところで『金ないんやったら、やられへんわ!』っていうのが政府ですからね。消費税っていうのは社会保険に使うっていう目的税化は一応しているっていうことになってますから、保険料そのものも引き上がる契機にもなるし、政府としては『事実上、こいつらからも消費税取るようになったから一部還元してやってもいいか』というふうに思ったということかなぁ……」
厚労省は今回の改革で労働者災害補償保険法の施行規則を改正し、労災保険に入れるフリーランスの対象を全業種に広げる方針を示している。
2024年秋の施行を目指す。加入は任意で、ライターや研究者、デザイナーなども新たに対象となる。
足元ではアマゾンジャパンの配達を請け負っていたフリーランスの男性が労災認定を受ける事例があった。
労働基準監督署は指揮命令を受けて働く労働者にあたると判断した。これまでのルールのもとでは70万人ほどのフリーランスが労災に加入していたとみられる。
事業者からの委託を受けているフリーランスは約270万人とされ、新制度が始まれば利用者が増加する可能性が高い。
寺島アナ「労働人口の15人に1人の計算ということになってますからね。これはフリーランスで働いてらっしゃる方にとっては、保険料は負担しなければならないんでしょうけど、そして任意ではあるけれども、入りたい方もいらしたんでしょうからね」
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