ゴールドマン・サックスを辞め途上国に捧げた人生「課題をいかにビジネスに変えるか」

ゴールドマン・サックスを辞め途上国に捧げた人生「課題をいかにビジネスに変えるか」

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様々な社会課題や未来予想に対してイノベーションをキーワードに経営学者・入山章栄さんが色々なジャンルのトップランナーたちとディスカッションする番組・文化放送「浜松町Innovation Culture Cafe」。

2023年10月16日の放送では、常連さんにカーマインワークス合同会社代表、SUNDRED株式会社EVP、CVO兼CMOに深田昌則さん、お客様に株式会社マザーハウス・代表取締役副社長の山崎大祐さんをお迎えし「課題をいかにビジネスに変えるか」をテーマにトークを展開しました。一週目は、山崎さんの現在に至るまでの生い立ちにフォーカスしました。

入山:山崎さんのマザーハウスは、途上国から世界に通用するブランドを作るということで、ビジネスと支援を両立させていますけど、山崎さんの前の勤務先はゴールドマン・サックス。それが、なぜマザーハウスに興味を持たれたのですか?

山崎:元々僕は、母子家庭で、生活保護を受けていました。大学に入り世界の貧困を見に行こうと思い、途上国でストリートチルドレンのドキュメンタリーを撮ったんですけど、みんな目を輝かせて夢を語るんです。でも、お金がないから叶えられない。大学に帰って、そういう課題をどうしたら解決できるか?を考えたら、経済学に当たり、そこから「資本の論理を変えるなら資本のど真ん中に行こう」となって、ゴールドマン・サックスに就職しました。その後、大学の後輩の山口絵理子に出会います。彼女は、大学卒業後にバングラデシュに可能性を感じて、そこでもがいていたんです。そこでバッグを作ったので、買ってくれない?となり…

入山:あなたは、お金もあるからと…

山崎:そう。この人は買ってくれるだろうと…って、そこツッコミます?(笑)それで、二人でお金を出し合って作った会社がマザーハウスなんです。最初は、ゴールドマン・サックスで働きながらお手伝いをしていました。

入山:社会課題があって、それをビジネスにつなげる難しさ、この辺はどうお考えですか?

山崎:人は共感してくれるし、応援購買などで買ってくれるんですが、そこには二つの問題があります。一つは、共感は皆じゃない。二つ目は、続かない。クオリティの低いバッグを共感して買っても、一つ買えば十分となるんです。

入山:共感しても、共感が持続しないのか。

山崎:マザーハウスも、最初から良い物を提供できていたわけではありません。でも、有難いことに想いに共感してクオリティが低くても買ってくれて、すごい助かりました。ただ、僕らは社会起業家として見られたり、社会性で買ってもらうのではなく、とにかく早く良い物を作って買ってもらいたいという想いから、山口と「バングラデシュでしか作れないものは何か?」と頻繁に議論していました。それを何年も繰り返すことで品質も良くなったし、共感されたお客様から「もっとこうしたらどう?」ってアドバイスを頂けたり、それで良い物ができるようになりました。

入山:深田さんは、この山崎さんの活動や想いはどう御覧になりますか?

深田:モノ作りは確かに共感だけでは、動かないし、作れないし、品質をしっかりしないといけないというのは、僕もメーカーの時に思いました。スタートアップの物作りは、その辺がしんどいですよね。

山崎:今でも思うのは、最初の頃のお客様は、よくマザーハウスから買ってくれたなと。でも、僕らが他と違ったのは半年以内に壊れたものは、無償で修理しますとか、交換すると約束していたんです。だから、お客さんが持ってきてくれるんです。とにかく、自分たちの売っているものと商品と向き合っていたんです。

入山:社会貢献系って、かわいそうな人たちを助けたいというストーリーを考えがちだけど、商品と向き合いなさいと。深田さんいかがですか?

深田:僕もメーカー務めだったので、ものに向き合う姿勢ってすごく重要だと思いますね。ちゃんと作るのは勿論のこと、山口さんが作っていた元々の鞄のバングラデシュでしかできないことへのこだわり、そこが良かったですよね。

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本日のお客様
深田昌則さん
1989年 松下電器産業に入社。AV機器の海外マーケティング、オリンピックプロジェクト・リーダー、パナソニック・カナダ市販責任者などを経て2016年より、未来のカデンをカタチにするパナソニック・アプライアンス社の活動「GameChangerCatapult」をスタート。2021年より、パナソニックを退社され合同会社カーマインワークスの立ち上げや、SUNDRED株式会社に参画されより一層活躍の幅を広げている。

山崎 大祐さん
ゴールドマン・サックス証券にエコノミストとして入社。日本及びアジア経済の分析・調査・研究に従事。その後、創業前から関わってきた株式会社マザーハウスの経営への参画を決意し、2007年に
取締役副社長として入社。2019年から代表取締役副社長に就任。その他、(株)Que社外取締役、日本ブラインドサッカー協会外部理事なども務めている。


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