「空気に負けやすい体質がよく表れている」ジャニーズ問題とメディアの関係を宮台真司が語る
10月18日「大竹まことゴールデンラジオ」(文化放送)、この日は大竹まことが風邪のため欠席、青木理が代役を務めた。大竹メインディッシュのコーナーには東京都立大学教授、社会学者の宮台真司さんを招き、連日報道されるジャニーズ事務所問題について伺った。
青木理「いわゆるジャニーズ事務所の問題。核心は、創業者であるジャニー喜多川氏による性虐待なんですけど、本質的に見るとメディアの問題であり、日本社会の現状みたいなものが映し出されているな、という気もします」
宮台真司「おっしゃるとおりだと思います。80年代から性加害の報告があり、フォーリーブス関連で本にもなっています。なぜちゃんとしたリサーチ、聞き取りをしなかったのか。そこは明らかにメディアの問題で。わかりやすく言えばヒラメ、キョロメ。上見て横見て、『空気読めないのか』と言われたくないからと行動しない。空気に負けやすい体質がよく表れている。それと密接に関係するけど、自分が所属する集団でのポジションを失いたくないというね……」
ジャニーズ問題は話の入口のつもりだったという宮台さんだが、過去の芸能界の事情もまじえてじっくりと解説してくれた。
宮台「90年代にいろんな場面で書いてきましたけど、多くの人が持ってきた集合的記憶って、90年代に入ると急速に失われていくんですね。たとえば公園で花見して、夜に東京は92年まで焚火をしていました。代々木公園でも。警察官がまわってくるけど、止めない。以降は『お祭りのときはアジール(法の適用外)だよね』という感覚が失われて、『法律があるだろう!』と、すべての領域で法律を主張する感受性が一般化する。じつは80年代半ばに郊外や地方では一般化され始めたけど、都市はそれが窮屈な人たちの最後のアジールだった。それも90年代半ばまでには消えた」
青木「うん……」
宮台「90年代半ば以降、掟云々という話は通用しなくなった。なのでマスメディア、芸能に関わろうとする人たちは、法より掟、というのをほどほどにしてもらう必要がある。真っ向から法に抵触する部分については掟を曲げる必要がある、ということですね。実際にそうしてきたところはあるけど、枕営業はいまも残っている。これは本人たちが自発的にやる、というのが出ると難しいんですね。枕営業される側も、いまは知らないけど、少なくとも90年代半ばまで拒絶できなかった。掟の界隈から『法の世界に逃げた』と思われる、ということもあった」
「大竹まこと ゴールデンラジオ」は午後1時~3時30分、文化放送(AM1134kHz、FM91.6MHz、radiko)で放送中。 radikoのタイムフリー機能では、1週間後まで聴取できます。
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