「日本人って怒らないな」ウクライナを知るジャーナリストが感じた不安
10月4日「大竹まことゴールデンラジオ」(文化放送)、大竹メインディッシュのコーナーに元新聞記者でジャーナリストの古川英治さんが出演した。古川さんは一昨年、ウクライナのキーウに移住。昨年2月24日のロシアの全面親交のときもキーウにいた。現地での取材をまとめた新刊『ウクライナ・ダイアリー 不屈の民の記録』を今年8月に発売している。
大竹まこと「『ウクライナ・ダイアリー』という御本は、表紙をウクライナの象徴であるひまわりが咲いている写真が飾っています。冒頭はロシアが侵攻してくる前夜の緊張したところから始まっています。御本のことは後程伺いますが……古川さんは日本に帰ってきて、日本の状況を見て、不安を感じたとおっしゃっています。なぜですか?」
古川英治「1年前も講義があるので帰ってきて、今年も帰ってきました。まずウクライナに関していうと、みんな本当に支援している、というのはある。ただ『なぜ戦っているのか』というところが、あまり理解されていない気はしました」
大竹「はい」
古川「ロシアはひどい、ウクライナがかわいそう、という感情面はある。ただなぜこんなに犠牲者が出ているのにゼレンスキー(ウクライナ大統領)は譲歩しないのか。そういう話をしているときに、戦っている理由は自由、主権、人権、民主主義、そういったところなんだけど、あまり理解されていないような気がして。あと日本の状況を見たとき、たとえばメディアの自由みたいなところも含めて、本当に自由というものを理解しているのかと。毎日の経済状況を見ても政府の発表が出てくるけど反応があまりない。あとデモがない」
大竹「ないですねえ」
古川「低賃金みたいな話があっても、労働組合が戦っているわけでもない。自分の権利や自由を守るために戦う、というのが弱い。だんだん国力が落ちてきて、といったところに恐怖、『大丈夫かな』というのを感じます」
大竹「デモも起こらない、賃金も上がらない国の中で、日本の人たちはどうしようと思っているのか……というのがわからない」
古川「ウクライナに僕、最初に関わったのが2004年。オレンジ革命があって。次が2014年のマイダン革命のとき。そのあとロシアが侵攻を始める。戦いって政治的な区分けが多いんですけど、彼らは自由や権利が侵されたときに立ち上がって、50万人とか広場を埋め尽くすような人が集まって、という歴史ですよね」
大竹「うん」
古川「海外でデモの取材をよくしたんですけど、それを見ると『やはり日本人って怒らないな』というかね。大学の講義をしているときも、僕のころと比べて学生も勉強しているんですけど、本質的なところはあまり話さない。あと『しょうがない』という感じの部分。先週、授業で『君たちの時代は大変だ』『国の貯えも使い果たして円安になって物価は上がって賃金は上がらない……』という話をずっとして。僕、『戦え!』と言ったんですけど、シラ~ッとした感じでしたね」
放送ではロシアによるウクライナ侵攻、古川さんだからこそ知るウクライナのゼレンスキー大統領に関する話も詳しく聴くことができた。内容はradikoのタイムフリー機能で確認してほしい。
「大竹まこと ゴールデンラジオ」は午後1時~3時30分、文化放送(AM1134kHz、FM91.6MHz、radiko)で放送中。 radikoのタイムフリー機能では、1週間後まで聴取できます。
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