「防衛費は見直し」「半導体戦略は間違い」今すぐ日本を良くする施策とは?経済学者が本音で語った
9月29日の大竹まことゴールデンラジオは、遅い夏休みの大竹・室井に変わって経済学者の金子勝さんが登場。青木理さん、鈴木純子アナウンサーと共に、日本社会の問題点に舌鋒鋭く切り込んだ。
金子「今すごい格差社会なんですよ。賃金が上がってるか上がってないかは円安次第なんです。」
青木「円安でメリットを得ているような企業は賃金が上がっているわけですね。」
金子「そう。だって輸出が伸びてなくても、円安になるだけでドル建てを円建てに変えれば儲かっちゃうじゃないですか。だから経団連とか輸出系の大企業は賃上げできる。ところが、普通の中小企業は化石燃料とか穀物とかを原材料として買わないといけない。するとコストが圧迫しちゃうので、賃上げのゆとりがなくなっちゃう。だから今年の春闘で、連合の集計で3.58%、厚労省の集計で中小企業は2.1%でした。」
青木「賃上げ率ですね。」
金子「倍近い差がある。でも中小企業も人手不足だから賃上げせざるを得ないんだけど、アップアップでとても動けない。コロナで打撃を受けた業種は、ゼロゼロ融資の金利が上がり出したり返済しなきゃいけなくなってきて倒産が増えてきてる。それから非正規雇用の人は、1000円超えても、とても追いつかない。他の国に比べたら、非正規の最低賃金のアップ率は1/3ぐらいじゃないかな?」
――ここで、今すぐ日本が良くなる政策はありますか?というメールを紹介する――
青木「確かに金子先生がおっしゃるように非常に格差が広がっている。政府に守られてたり、あるいは政府にくっついているような業種は、そこそこ生き延びているんだけど、でもゾンビ企業が多かったりするわけじゃないですか。産業のイノベーションも起きない。僕は経済の素人ですけど、「減税、減税」と言っても1000兆円以上の借金を抱えているこの国が、これ以上借金を抱えて減税なんかして大丈夫なの?っていう素朴な疑問があります。1000兆円の借金をしてて、日銀がその半分ぐらいを買っちゃっているから、日銀だって利上げしてそろそろ調整しなきゃまずいなと思ってるけれども、利上げした途端に国債の償還費がバーンと上がっちゃうから、もう身動きがとれなくなってるのでは…」
金子「というか、逆になってるんだ、岸田経済対策5本っていうのは。大規模な補正予算を組むと日銀がこれを支え続けなきゃいけない。」
青木「国債発行して財源を持ってこなきゃいけないっていうことですよね。」
金子「そうそう。まずは防衛費の43兆円というのが身の程知らずで、あらゆる財源を縛っているから、一回本質的に見直さなきゃいけないけど、アメリカの言うこと聞かないと「もたない」みたいな自民党がそういう体質になっちゃってるから、政権交代がない限り切るのは非常に難しいでしょう。それで、生活できない人を救うため少子化を防ぐのに、子供の教育費の負担を減らす事を優先する。というか政策的に優先しなきゃいけない。それから半導体は、売る先もないのに、あんな大規模な投資してるけど、産業政策として間違っている。」
青木「北海道や九州に政府主導で半導体の開発を進めていますね。あと台湾の…」
金子「TSMCね」
青木「それを誘致して、政府主導で先端の半導体を作ろうっていうのをやっていますね。」
金子「だけど自動車以外は、日本の半導体の需要そのものが少ない。本当に高度な半導体を作ろうとしたら、どこに売るのかがはっきりしないと、きちんとした売り先がないと上手くいかない。僕は、このままいくと衰退するので、それをどう防ぐか考えると、エネルギーとか食料とか医療とか、人が生活するのに一番大事なところを、地方で賄えるような分散型の体制に変えて、ITで基本的につなげていくような、そういう新しい社会に変えていくのが大事だと思うんですよ。」
「大竹まこと ゴールデンラジオ」は午後1時~3時30分、文化放送(AM1134kHz、FM91.6MHz、radiko)で放送中。 radikoのタイムフリー機能では、1週間後まで聴取できます。
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