困窮し、過酷な半生。『「山上徹也」とは何者だったのか』著者である鈴木エイトが解説
9月27日「大竹まことゴールデンラジオ」(文化放送)、大竹メインディッシュのコーナーにジャーナリストの鈴木エイトさんが出演した。7月に発売した新刊『「山上徹也」とは何者だったのか』について、それに関連して、20年以上取材を続けている(旧)統一教会問題について聴かせてくれた。
大竹まこと「御本ですが『「山上徹也」とは何者だったのか』と。いろいろと衝撃的なことが書かれています。生い立ちも順を追って書かれていて、その中で、伯父様が出てきます」
鈴木エイト「弁護士ですね」
大竹「とてもクールな方ですが、90ページでですね。祖父はずっと徹也のことを気にかけていた、という文脈の中で、伯父様は統一教会の解散命令請求をめぐる動きについて懐疑的だ、と。解散命令請求はしないと思います、宗教法人が解散となれば生産法人になり、選任された清算人によって教団の資料を調べれば、どの政治家にどれぐらいお金が渡ったかわかってしまう。政治家が隠しておきたい金銭の流れが記された極秘書類が発掘され、自民党政権にとって命取りになるからだ……と、弁護士の伯父様の意見が載っています」
鈴木「その伯父さんの分析は一理あるんですけど、現状、教団はそういう資料があったとしても処分しているだろうし。穿った見方をすれば自民党政権は資料がないことを見越して解散命令請求の方針までいったんじゃないか、とも。伯父さんの見立てがそのまま通る感じではないと思います」
大竹「山上被告の生い立ちが、かなり、こう……。どうしてこうなってしまったのか、お話しいただきたいんですけど」
鈴木「幼少期に父親が自殺をしているんですね」
大竹「お兄様、妹様がいて、お母様がいると。亡くなったお父様の、退職金ですか。5000万円ぐらいと言われているそれを、お母様が献金してしまったと。のちにお兄様も自殺なさっている」
鈴木「そうなんです。いろいろ支援してきた祖父の会社を継いだ母親もそれを畳んで献金してしまう。幼少期の病気の影響で障害を負っていたお兄さんも自殺、それが2015年でした。いろんな局面で追い込まれていた山上被告は、自衛隊時代に自殺未遂をして、保険金を自分のきょうだいに渡そう、みたいなことをしていた」
大竹「家が困窮していたから」
鈴木「非常にきょうだい思いなところもあるんですね。僕と山上被告、安倍晋三元首相、3人の年表を箇条書きにして、どういう形で去年7月の事件に帰結したのか、ということを書きました」
大竹「全部は紹介できませんけど……、1980年、公立大学卒の母親と国立大学卒の父親の間に、3人きょうだいの次男として大阪で生まれた。1991年、母親が統一教会に入信。夫の生命保険金6000万円を、霊を慰めるためにと教団に寄付。1996年、県内有数の進学校である奈良県立郡山高校へ進学。1998年、祖父名義の土地を母親が無断で売却、統一教会に献金。建設会社を経営する祖父が死亡。会社は母親が継ぐ。1999年、母親が自宅を売却したお金、4000万円以上を統一教会に献金。一家は借家暮らしになる……」
鈴木「今年になって、もうないんですけど彼と家族が暮らしてきた家、そのあとの借家、ひととおり見てきました。非常に感じるものがありましたね」
さらに山上被告の半生、自身の今後について、鈴木さんはこう語った。
鈴木「非常に過酷な半生を送ってきたことは間違いない。自分の境遇を恨んでいるところもあると思う。でもこの本を出したあと、彼を高校時代から知る元教会長と話をしたんです。自分だけの境遇を恨んだというよりは、旧統一教会の救済者とならん、みたいなコメントもしているので、ヒロイズム的なところも見えるんですね。今回の本では現状、7月時点での自分の考察を書いたんですけど、ここからまた展開していこうとは思います」
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