【アナコラム】長谷川太「4年に一度の大イベント」
文化放送メールマガジン(毎週金曜日配信)にて連載中の「アナウンサーコラム」。週替わりで文化放送アナウンサーがコラムを担当しています。この記事では全文をご紹介!
▼9月8日配信号 担当
長谷川太アナウンサー
ラグビーが好きだ。
入社した90年ごろ、文化放送は大学選手権や日本選手権など、
年間2、3回ラグビー中継を行っていた。
入社試験の面接で「国立競技場でラグビーの実況ができるのなら
人生の5年と取り換えてもいい」といったら内定が出た。ホントの話だ。
いよいよラグビーW杯が開幕する。
4年前の日本開催、文化放送は久しぶりにラグビー中継を行った。
私は開幕戦と南アフリカ戦の実況を担当したが、これは人生の宝物だ。
ジャパンの快進撃とともに、とんでもない数の「にわか」ファンを作ったが、
ラグビーというスポーツには「自分が」いや「人間が」こうありたいと願う
理想のようなものが詰まっていると思う。
試合終了のことを野球は「ゲームセット」といい、
サッカーは「タイムアップ」というが、
ラグビーは「ノーサイド」という。美しい言葉だ。
死力を尽くした戦いが終わったらそこには敵と味方はなくなるという意味だ。
30人もの選手が80分入り乱れて戦うのを裁くのはたった1人のレフリーだ。
見えないところで姑息なプレーをしようと思えばいくらでもできる。
でもやらない。なぜか。そんなことをしたら勝っても負けても必ず後悔するからだ。
だから自制する。何より仲間を信じ、大切にする。ここには「闘争の倫理」がある。
4年前多くの人がこれに気づいた。だから大きなムーブメントになった。
さて今回のフランス大会。
我らがジャパンはどうかな。期待は大きいが前回大会に比すると、強い相手との試合を多くやっていないのが少々気にはなる。
しかしベテラン堀江翔太選手の「チームになるのが早い」という言葉を信じよう。
中継等が今回はできないのが残念だが、4年に一度の大イベント。
全力で楽しみたい。