こんにちは。

はい、職員でおられました。

はい。

週に3回ほどみえてました。

ええ、今は千葉県の我孫子市というところです。以前は東京の渋谷にございました。

そうですね。鳥だけの研究所は、私どもの研究所だけですね。

はい。

けっこういろいろありますが、危険なほうでいうとヤンバルクイナとかアホウドリ、タンチョウとかシマフクロウ。

あぁ、そうですね。

ええ、うちにもいろいろ問い合わせが来てました。

「どうやってつかまえるか？」とかね。

そうですか。

ええ。

いないですね。

はい。

ヒナが巣立ったのは38年ぶりといわれてますが、非常に長い保護の歴史があるんですね。トキに関してはちょうど私が生まれた頃に佐渡でまだ生き残ってたというニュース、1950年代に少数が佐渡にいたという。

ええ、そうです。それが徐々に減ってきました。いくつか理由がありますがもう一ケタになって、このまま野外に置いといたのでは絶滅してしまうということで、当時の環境庁が私ども山階研究所に全部捕獲−5羽いたんですが、捕獲して人工増殖するので手伝ってほしいという依頼がありました。

私どもは79年80年81年の3年間かけて、5羽のトキをつかまえて無事にケージに入れることまでは成功したんですね。

30数年前ですね。そこまではうまくいったんですが、残念ながらその時に飼われていたキンちゃん含め6羽しかいなくて、風前の灯で、その6羽からは次の代の子どもが産まれることはなかったんです。

中国で81年、捕獲した年にそれ以前は日本にしかいないと思われていたのが、実は中国にもわずかいた。それも7羽、一ケタですね−いたということがわかって、中国では非常にうまく野外で、あるいは飼育下で数が増えてきまして99年でしたか、そのうちの1つがいが日本に送られてくることになりました。

そこから、日本の中国産のトキの増殖がスタートしたわけです。現在は100数十羽、200羽近くのトキが飼われてます。

人の手をかけてやったことで野外での危険が減らされて、1回に卵を4個産みますが、最初の卵は全部取って人工ふ化して次の卵を抱かせる。1シーズンに2腹といいますが2回チャンスがある。そうすると数が増えていきますね。人が助けてやれば、そういうことが可能です。

ただ、これはあくまで飼育の中であって、野外に返すのが元々の目的だったので、これまで90羽ぐらい野外に放鳥してます。そのうちの3つがいが、今年やっと繁殖した。非常に長い保護の歴史があります。

そうです。

先ほどちょっといいませんでしたが、絶滅した理由がいくつかあります。ひとつは江戸時代から明治時代になって鉄砲を使って…。

そうですね。ツルとかハクチョウが全部減りました。その中でトキも羽根がきれいだということで捕られたことがあります。それに追い打ちをかけたのが農薬。

農業のやり方はご承知かもしれませんが水田はほとんど工場みたいになってまして、水が必要な時は水をいっぱい入れるけれど、いらない時は全部落としてしまえるという構造です。

ということは、水がない時があるんですね。

そうすると水で生活していたドジョウやカエルなどがいなくなってしまう。そのやり方が、トキがいなくなった大きな原因です。

トキは水の中、泥の中にいるエサを食べるという動物で、しかも泥の中に口ばしを突っ込んで、口ばし探りをしてとる。見えないエサをとるんです。

エサがある程度以上減ると、全然効率が悪くてエサがとれなくなってしまう。

泥がなくなって、その中にいるドジョウがいなくなる。ですから、トキはエサがとれなくなってしまう。

そうです。同じような環境にいるサギなどは目で見てエサをとりますので、もうちょっと効率が今でもいいわけです。

トキは減ったドジョウに頼ってたものですから、急速に数が減ってしまったということですね。

そうですね、冬の間エサを維持するということで。

そうですね。トキを捕獲する時、実はすごく記憶にあるんですが地元で反対がありました。「このまま絶滅するのも美学だ」−変な話ですね（笑）。「絶滅するものを何も無理やり生かすこともないんじゃないか」というお考えもあって、私どもが捕獲した直後に雪のところに文字が書かれて「トキをとるな」というような…。どなたが書いたかわかりませんけれどレスポンスはありました。

ただ私は人が原因で減ってきたものは、やっぱり人が何らかの手を尽くしてやるべきだと思います。それでも絶滅する場合もあると思いますが、やはり人が責任を持って何らかの手助けをして回復できるものは回復させたいという気持ちで今、関わっています。

はい。

はい、わかりました。

ありがとうございました。