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第766回:特別措置法閣議決定と緊急対策第2弾
今動いているニュースを様々な角度から深く掘り下げる『ニュースオフサイド』
新型コロナウイルスの感染拡大を受けて、政府が特別措置法を閣議決定したニュースと、このあと発表される緊急対策第2弾についてお伝えしました。
お話を伺ったのは、首都大学東京教授で憲法学者の木村草太さん。閣議決定された「新型インフルエンザ等対策特別措置法改正案」について、木村さんは「元々あったもので、適用したはずだ」といいます。『緊急事態宣言』発令が出来るとはいえ、何でもかんでも出来るというわけではないとのことですが、「どういう場合に合憲なのか、丁寧に見ていかなければならない。もし出すとなった時には、新しい感染者が出なくなって2週間などの具体的にイメージできるものを提示すべき。」だとし、ここ1~2週間に行われてきた休校などの対応が、木村さんが言う「内閣独裁権条項」だったように思うとも語ってくださいました。
スタジオでは、このあと発表される新型コロナウイルス感染症に関する緊急対応策第2弾の概要を、西村志野記者が整理。政治ジャーナリストの安積明子さんは、この緊急対応策第2弾を「新型コロナウイルスは発症率も死亡率も高くはないが、感染率が高い。全国に広がってしまっていることからも、対策としては遅すぎるし、かなりおおざっぱ。」とバッサリと斬りました。
中小企業への実質無利子・無担保融資などを政府が打ち出しましたが、これも「無利子とはいえ借金。GDPも下方修正されたこんなに体力がない状況で、貸し付ける金融機関が果たしてあるのか?」と疑問視。固定費をどうにか軽減するように補助をしてほしいとい声が上がっていることや、国民民主党・玉木代表が「もっとダイナミックな経済対策を打たないと!」と危惧されていたことなどもお話してくださいました。
「今」を切り取る『きょうのナマチュウ』でお伝えしたのは2つです。1つ目は「世界経済に大打撃!コロナショック拡がる。」ニューヨークと東京市場で株価が急落した背景を、三菱UFJモルガン・スタンレー証券 景気循環研究所のシニアエコノミスト 宮嵜浩さんが解説。新型コロナウイルス感染拡大防止のため外出もできず、企業の活動が制限されているせいで、リーマンショックの当時に比べると政策の打ち方が難しいそうです。どういうプロセスでウイルスが終息するのか見通せないために期待感も薄いとのことでした。---------------------------------2つ目は、明日で丸9年を迎える東日本大震災と福島第一原発事故の被災地からの中継。岡田紀子記者のレポートです。福島県富岡町では今日、原発事故で出されていた避難指示が一部で解除されました。しかし、道路が一部解除になっただけで、今、富岡町に住んでいる方も、もともとの場所に戻るのはまだまだ。9年経っても、ようやく1歩進み始めたところです。陸と海がワンチームとなって復興に取り組んでいる富岡町の複合商業施設「さくらモールとみおか」内にある、創業70年、浜鶏ラーメンの藤田大さんのお声をお聴きいただきました。▼濃厚スープが人気!復興を願う2酒「とみおかワインドメーヌ」と富岡町産米でつくったスパークリング日本酒「萌(きざし)」も誕生。いよいよ明日から発売となります。
もうまもなく、聖火リレーがスタートしますが、地元の皆さんは「もう(放射能の)染料は気にしていない」と心配していない様子だったそうです。
つづいて、地震による津波でおよそ900人が犠牲となった宮城県名取市。特に被害の大きかった閖上地区には奥山拓也記者が行っています。▼震災後初のショッピングモール「かわまちてらす閖上 」は2019年の4月にオープンしました。名取市の津波の被害者900人のうち、754人がここ閖上地区。震災後の閖上地区を取材してきた奥山記者によると、建物の土台が全くなかった場、未だに何もない状態のままの所もありますが、少しづつ住宅や公民館などが立ちつつあるそう。
毎年3月11日に開いてきた追悼イベントは、新型コロナウイルス感染拡大防止のため中止に。およそ3000枚のメッセージと、復興を願って全国から寄せられた9000枚の絵やメッセージを灯ろうに取り付け、あかりをともす計画でした。「なとり復興プロジェクト」の実行委員長、佐々木悠輔さんは、個人で、全国から集まった灯篭を灯しに行くということです。
石川真紀キャスターの『SAKIDORIニュースパレード』では、報道スポーツセンターからこのあとの『ニュースパレード』でお伝えする、主な項目を紹介してもらっています。今日は、ユニリーバ・ジャパンが履歴書から顔写真や性別などを排除というニュースも取り上げました。ユニリーバ・ジャパンのブランドの一つ、ラックスが、国内で採用活動の書類審査を担当する会社員や会社経営者400人以上を対象に行った調査で、採用において性別への先入観が無意識に存在することや、履歴書の段階で貼られた写真が、合否に影響していることも明らかになったということで、顔写真や性別なの項目を排除することで採用活動で性別への偏見をなくす狙いがあります。
コメンテーター 俳優の石田純一さんが『今日のオピニオン』
テーマは「恐怖心は事実を圧倒する」「恐怖や怒り、パニックなどの感情は、真実・事実に勝ってしまう」と、2001年「9.11.」のアメリカ同時多発テロ事件の例を挙げ、新型コロナウイルスについて語り下ろした石田さん。当時アメリカでは、政府のプロバガンダにより、テロとは関係のないイスラムの人々に対しても、怒りや恐怖心を煽られ、その結果、多くの人が犠牲となりました。人間は生き延びるために、本能的に危険を過大視します。ノーベル賞学者のダニエル・カーネマンによる「速い思考(=無意識に脳が動くことで答えが出るもの)」と「遅い思考(=頭を使って意識して注意して考えること)」。世界的に見て、新型コロナウイルスに関しては「速い思考」になっているが、冷静になって数字や確率をもとに「遅い思考」でやっていくことが重要だとし、「過去にも人類とウイルスとの闘いがあった。いずれにしても、買い占めなどに走らず、手洗い・うがいをしっかりとして、禁煙・禁酒など生活を正して備えていこう。」と語りました。
『SAKIDORIスポーツ』寺島啓太アナウンサーが取り上げたのは、柔道の話題。
東京五輪 男子60キロ級日本代表に選ばれた高藤直寿選手にスポットを当てました。先日、所属先のパーク24主催の記者会見に臨んだ高藤選手、4年前のリオデジャネイロは勢いだけで行ってしまった、努力が必要だと感じたと振り返り、「平常心は苦手。ですが、練習していく!金メダルが獲れなかったら死ぬくらいの(つもりでやる!)」と意気込みを語りました。アテネ以来、金メダルが出ていない階級・男子60キロ級は、開会式の翌日、7月25日に登場予定です。日本選手団の金メダル第1号となれるのか!?『ニュースパレードアネックス』今日3月10日は、東京大空襲から75年。犠牲者らの遺骨が納められている東京都慰霊堂で法要が営まれましたが、例年は遺族らおよそ600人が参列するものの、今年は新型コロナウイルスの感染拡大防止のため一般参加がなく、遺族代表らおよそ10人で行うという寂しいものとなりました。亡くなられた10万人中、縁者が引き取ったのは2万ほどで、残りは無縁仏のままだといいます。「改めて思い起こしてほしい」と鈴木敏夫デスク。
【今日の1曲】 旅立ちはフリージア / 松田聖子